港区まち創り研究会(まち研)ブログ

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世界の街から32---オーストラリア キャンベラ

2012-01-17 21:42:37 | オーストラリアの街から
1 計画都市の功罪
 計画都市といわれる街を訪ねて、いつも何か失望感に襲われる。計画都市は確かに都市工学的にすばらしいが、住んでみたいかと問われると、NOと答えざるを得ない。その理由は、人間くささ、人の営みが感じられない。どうしようもない寂寥感がある。都市のもっている役割・顔は多様であり、毎日変化している。この多様さ・変化が、面白いのである。一人の人間が都市全体を設計するのは、神の摂理に反することなのかもしれない。
 オーストラリアの首都キャンベラを2日間訪れた時もそのような感を受けた。世界的なコンペティションでアメリカの建築家バーリー・グリフィンが当選した案である。
1927年にシドニーから遷都され、1960年に完成した。人口34万人で、公共交通機関はバスのみである。日本でも遷都論が盛んな頃、一つのモデルとしてもてはやされたことがある。

キャンベラ航空写真 グーグルアースより

キャンベラ都市地図

2 キャンベラの都市の構成
サークル道路と放射状道路を組み合わせた道路パターンとなっている。
中心に国会議事堂を据え、そこから放射状の道路が延びている。
川をせき止めてつくられたバーリー・グリフィン湖が市街地の中心部にある。環境的には、いろいろな効果が期待できるよい案だと思う。が実際見てみると、かなり大きな湖に感じる。湖岸もきれいに整備されていて、遊歩道もあり散策するにはもってこいである。しかし、そこには歩いている人はほとんどいない。
新国会議事堂は誰でも中に入ることができ、高さも抑えて、大部分のあまり見えなくしているので、民主的でオープンな印象を受ける。その後、世界的なテロ事件などの影響から、誰でも気軽に入れなくなってきているようだ。
新国会議事堂から旧国会議事堂を通して、湖を超え、戦没者慰霊塔まで一直線に見通す景観の軸が新国会議事堂から見える。軸ははっきりして、とてもきれいであるが、これをつくった意味がよくわからない。

幹線道路の真ん中から見た風景

緑地帯に珍しい鳥がいる

幹線道路とバス停 屋根もベンチもある

中心市街地風景

中心商業地の広場

住宅地の景観

住宅地の景観

大きな公園

中央に緑地帯のある幹線道路

バーリーグリフィン湖の沿岸 ややさびしい

バーリーグリフィン湖

船着場

新国会議事堂

景観としての都市軸 旧国会議事堂の向こうが戦没者慰霊塔

戦没者慰霊塔


3 キャンベラの印象まとめ
 2日間、観光バスなどで見ているため、キャンベラのごく一部しか見ていないので、印象雑感を述べてみたい。
・緑が豊かで、バーリー・グリフィン湖があるので、身近に自然に接することができる。
・道路、公園など都市のインフラはレベルが高い。
・34万人の人口の割に、都市のスケールが大きい。
・そのため、賑わいがかけ、都市全体が寂しい。夜の治安は大丈夫なのか。
・繁華街でも歩いている人が少ない。
・一つ一つの建物が大きく、歩いて移動するのに大変である。
・その割に公共交通機関はバスだけである。車の移動を基本としている。
・首都機能という特化した都市は、面白さに欠ける。
・かなり均一的な階層の人だけが住んでいる印象である。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (神岡実希、森由佳)
2019-06-18 22:28:32
平井麗奈、大石芽依
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Unknown (オーストラリア)
2019-06-18 22:29:13
オーストラリア
返信する

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