職員室通信・600字の教育学

小高進の職員室通信 ①教育コミュニティ編 ②教師の授業修業編 ③日常行事編 ④主任会トピックス編 ⑤あれこれ特集記事編

★薬師丸T(養護教諭)の新採3年間の鍛えられ方は、僕のそれとは、まったく比較にならないくらいスゴイ!

2013-06-09 16:12:26 | 僕のモンマルトル日記

 

茫漠特急 乱氏の語りがよかったのか? 「各校務分掌からの目標」がよかったのか?(*^_^*)
2013
06.09


★昨日、全盲の鍼灸師・岩本光弘氏と読売テレビでキャスターを務める辛坊治郎氏が、小型ヨットでの太平洋横断に向け、大阪・北港を出発した。
 いったん、福島県小名浜に立ち寄った後、米国サンディエゴまでの8160キロ、55日間の航海へ出発する。
 twitter{ブラインドセーリング@b_sailing」やブログによると、福島までは乗組員4人、福島から岩本・辛坊の2人になるらしい。
 今だと、たぶん串本沖、通過中かなぁ~?
 僕も辛坊氏に負けないように……と思って、昼、テントを干し、人生、最後の旅の準備をした(^_^)v。(画像)

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★辛坊治郎氏がヨットで太平洋横断に挑戦。死と隣り合わせの負荷を課し、過去の「辛坊」を振り切る
★辛坊治郎がPOWERを主題に蜷川実花にインタビュー。僕には誰もインタビューしてくれないから僕が僕に




★遂に6月――僕は6月というと、伊東静雄の詩「水中花」が口を衝いて出てきて、身が引き締まる。

 今歳水無月のなどかくは美しき。
 軒端を見れば息吹のごとく
 萌えいでにける釣つりしのぶ。
 忍しのぶべき昔はなくて
 何なにをか吾の嘆きてあらむ。
 六月の夜と昼のあはひに
 万象のこれは自ら光る明るさの時刻。
 遂ひ逢はざりし人の面影
 一茎の葵の花の前に立て。
 堪へがたければわれ空に投げうつ水中花。
 金魚の影もそこに閃きつ。
 すべてのものは吾にむかひて
 死ねといふ、
 わが水無月のなどかくはうつくしき。

 6/5は、北国の街への出張だった。
 ずっと新幹線でもよかったのだが、時間に余裕があったので、旅程の最終区間は各駅停車の在来線に乗り換えた。
 新幹線だと、30分。
 在来線だと、1時間30分。
 画像は、その乗換駅で、ひとつ向こうのホームをパチリ。
 静かなプラットホームで、こんなふうに列車を眺めていると、伊勢物語の「はるばる来ぬる旅をしぞ思ふ」とか「かぎりなく遠くも来にけるかな」とかというしみじみとした旅情にうたれるとともに、「すべてのものは吾にむかひて/死ねといふ、/わが水無月のなどかくはうつくしき」という静雄の絶唱に襲われた。

 「すべてのものは吾にむかひて……」ああ、僕の人生の旅はもう少しつづくのか?

★今、読みたい本→『時代屋の女房』(村松友視)。
 DAKA古書店跡の本を整理していて、たまたま見つけた。
 映画――安さん=渡瀬恒彦、真弓&美郷=夏目雅子――は、以前、観た。
 時代屋は「時代」を売る。
 僕は、だれに、何を売りたいのか?

★昼、斜坑堂主人から『三田文学』№113「季刊」春季号が届く。
 斜坑堂主人の評論が掲載されている。

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★拝啓 斜坑堂主人様。『反響』(伊東静雄)落手。落手時の一瞬一瞬の僕の気持ちをありのまま記述しますと
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★のちの人生の身過ぎ世過ぎに、なんの脈略もなしに、このときの彼女のまなざしを思い出すことがあった



職員室通信 2013/06/09号
★薬師丸T(養護教諭)の新採3年間の鍛えられ方は、僕のそれとは、まったく比較にならないくらいスゴイ!

★教務部が毎週発行する「教務週報」には毎日の授業・行事・教職員の動向とともに、その週の各校務分掌からの目標が掲載されている。
 例えば「教務週報9(6/3~6/7)」の場合――
 校長=「子ども思い」「保護者思い」の教師になる。
 総務=帰る際の戸締まり、机の整頓に気を配ろう。
 教務=教育実習スタート。教育実習生から学ぶことも多いなぁ。
 研修=黒板に向かって「説明」しない!
 生徒指導=衣替えを機会に服装の点検を。
 保健=残さいを出させない指導の工夫を。
 けさの職員朝会で教務主任・乱氏が、これらの目標について語っているのを聞いているとき(←秒単位の時間だったのだが……)、教育課程に記述された教育目標や方針などが、現実の「感じ」として伝わってきた。
 授業で指示・発問・語りかけをしている教師。
 夕刻、家庭訪問をして保護者や生徒と話し合っている教師。
 給食の時間。
 短学活の時間……等々。
 これらの教育行為や時間・場面が、教育目標などの指し示す方向に向かって連動しながら前進している「感じ」だった。
 こういう「感じ」にふれるとき「教育のたのしさ」で――僕がいつもいう「教育だけが人生だ」に近い感覚で――胸がいっぱいになる。
 自分の中に、常にこの「感じ」をよびおこす工夫が必要だ。
 本日の場合は、乱氏の語りがよかったのか? 「各校務分掌からの目標」がよかったのか? そのどちらかはわからない(*^_^*)。
  教務週報の「各校務分掌からの目標」が、この「感じ」を触発する燃料になればいいと思っている。
 燃料になれるように目標としての精度を高めていきたい。

★同じく、職員朝会で養護教諭の薬師丸Tが「生徒の健康診断結果」という一覧表を教師たちに配って「その中の視力結果をみて、眼鏡の有無、座席位置の適否を確認してほしい」という発言があった。
 一覧表には、視力に配慮しなくてはいけない生徒の氏名に★印がついていて、「眼鏡の有無」「座席位置の適否」というチェック欄がついている。
「おお、これが仕事だぁ~」としびれてしまった。
 薬師丸Tは養護教諭4年目の若いTだが、過去3年間の鍛え方(鍛えられ方?)が、自分の新採3年間にくらべてスゴイと思った。

★「教務週報」にもあったように、今、MINAMI中に教育実習生が3人来ている。
 ピッチリと実習計画が組まれていて、その中に、僕が担当する時間も3時間、設定されている。
 きょうの1時間目が、その時間だった。
 以前は、他の指導者と同じように、講義あるいは参観形式でやっていたが、実習日誌の内容や、その後の実習生の行為行動から、僕の講義は、ほとんど効果がない……というか、実習生の骨身にまったく沁みていない……ということがわかった。
 ならばということで、3年前から、実習生に徹底的に骨身を削ってもらおうと、本校の経営の重点1「学びの喜びと確かな学力の保証をめざし、知的で楽しい授業を創る基礎・基本の修業を徹底する」との関連で、「模擬授業」形式を取り入れている。
 3人には、前々日に指導案(シナリオ)を渡し、説明してある。
 本日は本番だ――
 各自10分間の模擬授業、そのあと乱氏のコメント2分間、僕のコメント2分間、ひとり合計15分間。

 シナリオの冒頭だけ、アップすると……。

 〈シナリオ〉

〈板書〉
 またひとり顔なき男あらはれて暗き踊りの輪をひろげゆく  岡野弘彦

〈指示&発問〉
①きょうは、この短歌を勉強しましょう。
②背筋を伸ばして、黒板をみて、各自、3回黙読しましょう。
 声に出すのではありませんよ。
 黙読です。
 では、黙読、はじめ。(黙読 終わり)
③では、○○さんの列の人、立ちなさい。
 1人ずつ読んでもらいます。
 読んだら座りなさい。
 読めない漢字があったら、「何とか……」でいいです。
 では、○○さん、読みましょう。
④全員、起立。
 ひとりひとり声を出して3回読んだら座りなさい。
⑤いっしょに読みましょう。(シナリオ、後略)

 模擬授業のあと、僕がコメントした内容を、主な項目だけ列挙する。
(1)黒板の消し方。
(2)目線の配り方。
(3)ほめ方。
(4)禁句(授業中の教師が使用してはいけない語)
 例=「~ください」、「~(中止法の)ですが」、「わかりましたか?」&「いいですか?」、他、追加指示等。
 それぞれの項目の背後にある教育思想(含・経営の重点)について、本日は、簡単に触れる程度にとどめた。
 次時、くわしく説明するつもりだ。

★模擬授業の感想(S実習生の「実習日誌」から)

 模擬授業では、早く楽な気持ちになりたいのと、多くの助言をもらいたいのとで、トップバッターを志願しました。
 昨日の夜はだいぶ練習したのに、本番ではほとんど頭から飛んでしまいました。
 でも、声量、生徒への目線、表情はほめられました。
 ただし、飛んでしまったぶん、スムースに進まなかったので、リズムが悪いと指摘されました。
 また、生徒が発言しているとき、発言している生徒ばかり見ている。
 まわりの聞いている生徒の反応もみなければいけない。
 生徒に向かって語るときは、ひとりひとりの生徒と目をあわせる。
 はじめは、教室の隅の生徒から反対側の隅の生徒へと、目、目、目、目、目、目……と、途切れないように、つないで練習するとよい等と指導を受けました。
 そのほか、音読させるときは「サン、ハイ!」ではなく、「読みましょう」でスタートさせる。
 「~してください」ではなく、「~しましょう」「~しなさい」に。
 板書は、生徒に背を向けてしまうのではなく、半身で生徒を見ながら。
 わたしが意外だったのは、教師は生徒に「いいですか?」「わかりましたか?」と言ってはいけないということでした。
 このほかにもたくさんのことを教えていただきました。(実習生の「実習日誌」抜粋、以上)





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