万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

米軍慰安婦訴訟―アメリカに慰安婦像が設置された理由

2014年06月26日 15時21分53秒 | 国際政治
韓国で元「米軍慰安婦」122人が国に賠償求め集団提訴(産経新聞) - goo ニュース
 韓国は、これまで熱心に旧日本軍による”慰安婦”問題を追及してきました。ところが、今度は、米軍慰安婦の賠償を求めて元慰安婦達が韓国で集団訴訟を起こしているそうです。この流れは、韓国が、何故、アメリカに慰安婦像を設置しようとしているのかを推測する手がかりとなります。

 ”慰安婦問題”は、一先ずは日韓二国間の問題なのですから、関係のないアメリカに慰安婦像が設置されることは不自然なことです。韓国が、アメリカ各地において慰安婦像の設置を求める理由としては、(1)在米韓国系アメリカ人の増加による、韓国の米国内における政治活動の活発化や(2)米韓共闘による対日糾弾の強化などが挙げられてきました(最近では、慰安婦問題を普遍化する傾向にありますが、そうであれば、なおさら日韓間の慰安婦問題だけを特別に取り上げるのは不自然です…)。何れにしても、国際世論にも多大な影響を与えるアメリカにおいて、韓国の主張が既成事実化すれば、韓国は、国際社会において日本国に対し有利なポジションを築くことができるというものです。その一方で、韓国が米軍慰安婦を賠償対象に加えてきたことを考慮しますと、もう一つの理由として、(3)慰安婦問題でアメリカに対しても圧力をかける、という思惑が隠されていた可能性もあります。実のところ、河野談話の民間検証に際しても指摘されているように、唯一の”証拠”とされる元慰安婦の証言の中には、”ジープ”や”クリスマス休暇”といった日本軍には存在しないものも登場しており、朝鮮戦争時の慰安婦ではないか、と疑う声も以前からありました。実際に、韓国軍には、直属の慰安隊が存在してましたし(強制連行もあったとも…)、休戦後も現朴槿恵大統領の父親である朴正煕大統領が慰安婦施設を管理していたことは、資料等により確認されている事実です。集団訴訟を起こした元慰安婦達が、アメリカ政府に対して賠償訴訟を起こす可能性が高くはないものの、非人道的な扱いを受けたと訴えているのですから、証言の内容や裁判所の判決次第では、アメリカもまた心理的な圧迫を受けることになります(韓国の裁判所は政治判決が常態化…)。

 あるいは、(1)と(2)が予想以上も苦戦しているため、韓国政府は、”最後の切り札”として米軍慰安婦問題を持ち出したのかもしれませんし(弱みや秘密を握って脅すのは韓国の常套手段…)、背後に中国や北朝鮮が糸を引いているとしますと、この問題をめぐる事態はさらに混迷化します。以上に述べたように、仮に、慰安婦像の設置がアメリカを揺さぶる脅迫カードであるとしますと、今後、アメリカ国内で慰安婦像が設けられることは、最早不可能となるのではないかと思うのです。

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2 コメント

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Unknown (ねむ太)
2014-06-27 07:13:01
おはようございます。
米軍慰安婦訴訟は朝鮮戦争時に米軍の慰安婦にされた人達が韓国政府に対して起こしたものです。
朴槿恵政権で日本からの賠償を得られると勝手に思い込み訴訟を起こしたのです。
これで韓国は逃げられなくなり、米国からも完全に見限られる可能性が大きくなって来ました。
米高官が韓国に対して「韓国は過去の事は蒸し返さず、米日・韓で連携する事だ」と呼びかけてきましたが、朴槿恵氏は忠告に耳を貸さず中国に擦り寄り、感情だけで暴走し告げ口外交を続け、韓国の国際的な信用を失墜させました。
これこそが、北朝鮮・共産革命を夢見る連中・無政府主義者の望みだったのです。
自業自得・人を呪わば穴二つ・天に唾する・・・幾つもの諺がありますが、国を上げて実践して見せてくれるとは
これ以上、韓国が中国にすり寄る姿勢を強め慰安婦や戦争責任を言い募りますと、朝鮮戦争、韓国独立に関わる米国の関与にまで踏み込まなくては収まりがつかなくなリます。
金大中大統領の約束通り河野談話で歴史は過去の問題として鉾を収めておけば最悪の事態は避けられた筈です。
過ぎたるは及ばざるが如し。
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ねむ太さま (kuranishi masako)
2014-06-27 07:48:45
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 最近、頓に顕著となってきた中韓による”歴史問題共闘”を、アメリカは、どのように捉えているのか、興味深いところです。攻撃対象が日本国に限られている間は、静観、あるいは、中韓と歩調を合わす、なのかもしれませんが、アメリカにまで共闘の対象が拡大するとなりますと、対韓政策を見直さざるを得なくなるのではないかと推測しております。アメリカは、米韓同盟に加えて、朝鮮戦争やベトナム戦争において、共に戦った経験から、韓国びいきではあるのですが、このままでは、地獄への道連れになる可能性もあります。リスク回避のために、アメリカには、是非ともに、韓国という国の実像と性質を理解していただきたいと思うのです。
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