ウイグル人大量拘束を認めよ、アムネスティが中国に説明要求
イスラム教徒でもあるウイグル人の居住地域は、新疆ウイグル自治区の名で中国の一部とされ、今日、同国の地方行政区が設置されています。しかしながら、この地に対する中国領有の根拠は希薄です。第二次世界大戦後の混乱期に、謎の航空機墜落事件が発生したのを機に、中国が詐術的に併合してしまったと言っても過言ではありません。
こうした経緯から同地域ではウイグル人による独立運動が展開されてきたのですが、習近平国家主席が独裁色を強める中、イスラム過激派、並びに、分離主義、即ち、ウイグル独立運動を抑え込む名目で、異民族であるウイグル人に対する弾圧と中国化が強まっていると報じられています。拘束されたウイグル人等の数は100万人にも上るとされ、その数にも驚かされますが、徹底した共産主義イデオロギーの洗脳、イスラム教の棄教、ウイグルの慣習放棄が強要されています。また、真偽は確認できないものの、抵抗するウイグル人は虐殺された上に臓器が摘出され、臓器売買市場に提供される、あるいは、ウイグル人女性が漢人男性と強制結婚させられる、といったおぞましい情報も伝わります。こうした行為は、明らかに国際法の「ジェノサイド条約」に違反しています。
「ジェノサイド条約」は、1948年12月に国連第3回総会にて採択された国際犯罪に関する条約であり、中国も、締約国の一国です。その第2条には、ジェノサイドの定義が明記されており、(a)集団の構成員の殺害(b)集団の構成員に対する肉体的、又は、精神的な危害(c)破壊的生活条件の強要(d)出生妨害(e)子供の強制分離が挙げられています。中国の弾圧は、これらの全ての要件を充たしており(一つでも該当すれば国際犯罪と認定…)、同条約違反であることは明白です。ジェノサイドが発生した場合の解決策として、同条約は、司法解決と警察的行動を予定しています。
同条約において司法解決の機関として期待されているのは、第6条の国際刑事裁判所(ICC)と第9条の国際司法裁判所(ICJ)の二つです。責任者個人を裁く前者については、中国はICC規程の当事国ではありませんので、スペインが北朝鮮の金正恩委員長を訴追したような形でしか習近平国家主席の罪を問うことができません。一方、国家間の紛争を対象とする後者の紛争の解決にも、その付託には、紛争当事国の要請を要件としています。ウイグルのように異民族の支配下にある民族が、ここで云う‘紛争当事国’として認められるか否かの判断はICJの判断に任されることとなりましょうから(ICJが中国の領有を不法と認定した場合には紛争当事国となり得る…)、この方法も確実ではありません。もっとも、ウイグル人保護のために、イスラム教国の一国が当事国として名乗り出るという方法もあり得るかもしれません(それとも、何れの締約国であれ、中国を条約履行違反の廉で提訴できる?)。
その一方で、警察的活動としてジェノサイドの予防行動に責任を負うのは国連です(第8条)。同条文には安保理とは明記されておらず、総会での決議を以って防止行動を採ることができます。この方法では、常任理事国による事実上の拒否権行使を回避することも可能なのです。もっとも、当事国である中国が妨害する可能性もあり、この手段にも不安が残ります。
中国の非人道的な蛮行に国際レベルで対処するには、「ジェノサイド条約」に活用が効果的なのですが、以上に述べてきたように、70年ほど前に作成されたためか、同条約の仕組みは完璧ではありません。しかしながら、ジェノサイドの罪を厳しく問うことは、国際レベルでの対中批判を強める効果はありますし、対中制裁の合法的な根拠ともなり得ます。中国の強大化した軍事力を考慮すれば、日本国を含む何れの諸国もウイグル人の過酷な運命は‘明日の我が身’ともなり得るのですから、中国に対する人道的な見地からの制裁を真剣に検討すべき時期に至っているのではないかと思うのです。
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イスラム教徒でもあるウイグル人の居住地域は、新疆ウイグル自治区の名で中国の一部とされ、今日、同国の地方行政区が設置されています。しかしながら、この地に対する中国領有の根拠は希薄です。第二次世界大戦後の混乱期に、謎の航空機墜落事件が発生したのを機に、中国が詐術的に併合してしまったと言っても過言ではありません。
こうした経緯から同地域ではウイグル人による独立運動が展開されてきたのですが、習近平国家主席が独裁色を強める中、イスラム過激派、並びに、分離主義、即ち、ウイグル独立運動を抑え込む名目で、異民族であるウイグル人に対する弾圧と中国化が強まっていると報じられています。拘束されたウイグル人等の数は100万人にも上るとされ、その数にも驚かされますが、徹底した共産主義イデオロギーの洗脳、イスラム教の棄教、ウイグルの慣習放棄が強要されています。また、真偽は確認できないものの、抵抗するウイグル人は虐殺された上に臓器が摘出され、臓器売買市場に提供される、あるいは、ウイグル人女性が漢人男性と強制結婚させられる、といったおぞましい情報も伝わります。こうした行為は、明らかに国際法の「ジェノサイド条約」に違反しています。
「ジェノサイド条約」は、1948年12月に国連第3回総会にて採択された国際犯罪に関する条約であり、中国も、締約国の一国です。その第2条には、ジェノサイドの定義が明記されており、(a)集団の構成員の殺害(b)集団の構成員に対する肉体的、又は、精神的な危害(c)破壊的生活条件の強要(d)出生妨害(e)子供の強制分離が挙げられています。中国の弾圧は、これらの全ての要件を充たしており(一つでも該当すれば国際犯罪と認定…)、同条約違反であることは明白です。ジェノサイドが発生した場合の解決策として、同条約は、司法解決と警察的行動を予定しています。
同条約において司法解決の機関として期待されているのは、第6条の国際刑事裁判所(ICC)と第9条の国際司法裁判所(ICJ)の二つです。責任者個人を裁く前者については、中国はICC規程の当事国ではありませんので、スペインが北朝鮮の金正恩委員長を訴追したような形でしか習近平国家主席の罪を問うことができません。一方、国家間の紛争を対象とする後者の紛争の解決にも、その付託には、紛争当事国の要請を要件としています。ウイグルのように異民族の支配下にある民族が、ここで云う‘紛争当事国’として認められるか否かの判断はICJの判断に任されることとなりましょうから(ICJが中国の領有を不法と認定した場合には紛争当事国となり得る…)、この方法も確実ではありません。もっとも、ウイグル人保護のために、イスラム教国の一国が当事国として名乗り出るという方法もあり得るかもしれません(それとも、何れの締約国であれ、中国を条約履行違反の廉で提訴できる?)。
その一方で、警察的活動としてジェノサイドの予防行動に責任を負うのは国連です(第8条)。同条文には安保理とは明記されておらず、総会での決議を以って防止行動を採ることができます。この方法では、常任理事国による事実上の拒否権行使を回避することも可能なのです。もっとも、当事国である中国が妨害する可能性もあり、この手段にも不安が残ります。
中国の非人道的な蛮行に国際レベルで対処するには、「ジェノサイド条約」に活用が効果的なのですが、以上に述べてきたように、70年ほど前に作成されたためか、同条約の仕組みは完璧ではありません。しかしながら、ジェノサイドの罪を厳しく問うことは、国際レベルでの対中批判を強める効果はありますし、対中制裁の合法的な根拠ともなり得ます。中国の強大化した軍事力を考慮すれば、日本国を含む何れの諸国もウイグル人の過酷な運命は‘明日の我が身’ともなり得るのですから、中国に対する人道的な見地からの制裁を真剣に検討すべき時期に至っているのではないかと思うのです。
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