万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国は”ファシスト”の悪しき点を指摘できるのか?

2015年02月24日 15時15分28秒 | 国際政治
「歴史の真実認めぬ者いる」=戦後70年で安保理公開討論―中国外相(時事通信) - goo ニュース
 国連安保理の公開討論において、中国は、第二次世界大戦から70年を迎えた今年を「反ファシスト戦争勝利70周年」と位置付けたそうです。しかしながら、中国は、ファシストの何処が闘うべき悪であったのか、指摘できるのでしょうか?

 ファシストの一党独裁体制こそが、崩壊すべき”悪”であるならば、現在、中国もまた、共産党による一党独裁体制を敷いております。それとも、ナチスによるユダヤ人弾圧を糾弾しているのでしょうか。マイノリティーの国民に対する迫害を問題とするならば、中国こそ、チベット人やウイグル人を弾圧しております。ナチスによるポーランド侵攻に対する戦いが第二次世界大戦の意義であるならば、ここでも中国は、チベットやウイグルを侵略しております。しかも、今なお、周辺諸国に対する領土的野心を隠そうともしていないのです。そして、ヒトラーやムッソリーニによる独裁体制を悪と認定するならば、習近平主席が進めている個人崇拝体制や批判を許さない言論統制の徹底、そしてライバルの粛清は、まさに、ファシスト的手法そのものです(なお、1942年の連合国共同宣言では、”反ヒトラー主義”という言葉が使われている…)。

 中国は、ファシストの悪とは何かを具体的に指摘するよう求められた途端に、返答に窮するのではないかと思うのです。


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コメント (4)
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