万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ユダヤ人こそ冷静に『我が闘争』を研究すべきでは

2015年02月21日 15時30分31秒 | ヨーロッパ
「わが闘争」、来年再出版へ=注釈付きで2巻―ドイツ(時事通信) - goo ニュース
 バイエルン州が所有してきた著作権が切れることで、再出版の行方が注目されてきたアドルフ・ヒトラーの『わが闘争』。報道によりますと、来年1月、注釈付で「現代史研究所」から再出版される予定なそうです。

 最も民主的と評されていたワイマール共和国にあって、ヒトラー率いるナチスが政権を獲得し得たのは、暴力的な活動手法に加えて、大衆煽動に長けていたからと指摘されています。『我が闘争』も大衆プロパガンダに一役買っており、ヒトラーが公衆を前に訴えた反ユダヤ主義は、全てではないまでも、多くのドイツ国民の共感を呼んだのです。それでは、何故、ドイツの一般大衆は、ナチスに同調したのでしょうか。ユダヤ人に対する全くの偏見からなのでしょうか、それとも、ドイツ人の憎悪を引き出す何らかの原因が、ユダヤ人の側にもあったのでしょうか。実のところ、この問題は、ユダヤ人こそ、冷静に分析し、真剣に解明すべき問題です。今日、ユダヤ人は、ホロコーストの否定に監視の目を光らせ、言論を封じることで、反ユダヤ主義に対処しようとしています。しかしながら、”原因”と”結果”の関係を考えますと、”結果”、即ち、反ユダヤ主義の出現を立法措置をとってでも押さえつけることばかりに気をとられ、その”原因”についてはなおざりにしてきた感があります。

 ユダヤ人は、『我が闘争』に記載された反ユダヤ主義の主張に誤りがあれば、それを学術的に反論すべきですし、首肯すべき点があるならば、素直に反省し、改善のための教訓とすべきです。歴史を繰り返さないためには、原因の究明こそ最も基礎的な作業ではないかと思うのです。

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コメント (2)
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