万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

テロリスト擁護者のイメージを強めた山本太郎氏の弁明

2015年02月08日 15時41分27秒 | 日本政治
【イスラム国事件】山本太郎氏、決議棄権で釈明 「日本に責任ないのか?」「テロとの戦いに巻き込まれる」(産経新聞) - goo ニュース
 テロ非難決議に唯一反対し、全会一致の成立を阻止した山本太郎議員。世論の厳しい批判を浴びてか、弁明の動画を公開したそうです。

 動画による氏の弁明によりますと、決議の採択を棄権した主たる理由は、”検証が済んでいない”とのことです。誘拐から殺害に至るまでの人質事件の検証と思いきや、イラク戦争から今日至るまで過程、すなわち、中東の地に過激なテロ集団を生み出した根本原因の検証が欠けているというのです。氏の論理を整理してみると、「現在の中東のテロリズムの原因を突き詰めていけば、イラク戦争に行き当たる。日本国政府は、根本原因であるイラク戦争に加担したのであるから、テロの責任は日本国政府にもあり、その日本国政府が、テロを批判するのは間違っている。故に、自分は、テロ批判決議に反対した。」ということになります。しかしながら、この弁明、詭弁にしか聞こえません。第1に、氏は、検証が必要と主張しながら、検証結果を待たずに先回りし、疑問文の形をとりながらも、テロの発生は、日本国政府に責任があると決めつけております(犯罪の責任転嫁…)。第2に、如何なる理由があろうとも、テロと言う行為は、その行為自体が重大な犯罪として否定されております。第3に、2003年から今日至るまでの検証を、どのようにして為そうというのでしょうか。政府であるのか、国会であるのか、具体的な方法は明示しておりません。また、仮に、検証機関を設けたとしても結論に達するには、相当の時間を要しますす。検証の結果を受けて決議を採択するとなりますと数年後となり、その時には、非難決議の効果は殆ど消えていることでしょうし、氏の想定とは違う結果となるかも知れません。しかも、如何なる検証結果となろうとも、それによって、テロが正当化されることもありません。

 山本議員は、自己正当化のために動画を公表したのでしょうが、国民を納得させるどころか、さらにテロリスト擁護者のイメージを強めてしまったのではないでしょうか。

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コメント (2)
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