万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

遅すぎる国連のISIL対応

2015年02月10日 15時48分13秒 | 国際政治
プーチン大統領、「イスラム国」対応巡り米批判(読売新聞) - goo ニュース
 日本国内には、野党を中心に、”ISILによる人質事件を引き起こしたのは、中東を訪問した安倍首相が、2億ドルの中東支援を約束したためである”と非難する声があります。有志連合への事実上の軍事支援が、ISILが、日本国を敵国として認定する根拠となったと…。

 しかしながら、ISILは、国際社会においては、暴力で他国の領土を強奪し、非合法的に支配地を広げている”賊”に過ぎず、”賊”である以上、海賊と同様に”人類の敵”として討伐の対象となるべき存在です。いわば、国際秩序と平和は、テロ集団によって脅かされているのですが、上記の見解がもっともらしく主張される原因の一つは、国連の遅すぎる対応にもあります。ISILに対する非難声明などは頻繁に発せられてはいるものの、明確に、ISILを、国際社会が協力して闘うべき”賊”と認定する決議が成立していないため、有志連合の形態をとらざるを得ません。ISILは、国家ではないのですから、”賊の討伐”を認める決議成立は、一般の戦争よりも格段に容易なはずなのです。決議成立に反対する加盟国は、本来、存在するはずがないからです。仮に反対する国家が顕れるとしますと、その国こそ、ISILを陰で支援している国かもしれません。

 国連の事務総長が韓国出身の潘基文氏であることを考慮しますと、国連の動きが遅いことにも、何らかの背景があるのかもしれません。議論の場を国連に移すことは、ISIL、延いてはテロの容認度をはかる各国に対するリトマス試験紙ともなるのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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