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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

尖閣諸島-清国の領有を証明できない中国

2013年02月26日 15時39分13秒 | アジア
尖閣、盗んだことには変わらない…中国外務省(読売新聞) - goo ニュース
 中国では、”尖閣諸島は日本国が盗んだ”と公式に説明されているらしく、昨日も、中国外務省の定例記者会見で、”人から盗んだものをポケットに長いこと入れておいたからといって、盗んだことには変わらない”との糾弾発言があったそうです。実際に、これから盗もうとしているのは、中国側なのですが…。

 窃盗という概念は、所有権の所在が明確であって、初めて成立します。正当な所有の権利を持つ者から、不当な手段で奪った場合に、奪った側に窃盗罪が成立するのです。それでは、尖閣諸島についてはどうでしょうか。地球上において、今日の世界地図に描かれている法的な国境線が引かれたのは、近代以降のことであり、法なき時代は、戦争の勝敗などによって国境線は頻繁に移動していました。この状態は、領土拡張を狙う国にとりましては”切り取りご免”のパラダイスでしたが、普通の国にとりましては、領土争いは絶えませんし、他国の侵略に常に怯える不安定な状況であったのです(周辺諸国が無法国家ですと、今でもこの恐怖は去らない…)。国際法が普及するにつれ、全てではないまでも、ようやく国境線は安定し、領土取得の条件も法によって定められるに至ります。近代化のメルクマールの一つは、国際法を受容することにあり、日本国もまた、明治の開国と共に、国際法を共有する近代国際社会の一員となったのです。尖閣諸島とは、その国際法が認めた無主地先占の法理によって日本国が領有したものであり、沖縄県に所属せしめた1895年に、国際法において日本国の領有権は確立しました。もし、中国が、”日本が盗んだ”と主張するならば、無主地先占以前に、当時の清国が、尖閣諸島の領有権があったことを証明する必要があります。尖閣諸島は、中国大陸から300キロメートルも離れた無人島であったのですから、もちろん、清が実効支配を継続的に及ぼした歴史はありません(正当な領有の要件を欠く…)。中国は、しばしば明朝の史書を持ち出して根拠を示そうとしていますが、清による領有権が国際法上成立していない以上、現在の中華人民共和国が、その領有を主張できるはずもないのです。もしかしますと、現在の中国が明朝に拘るのは、清朝が女真族の国家であり、異民族国家の清国を倒した辛亥革命を重視しているからかもしれません(昨日の記述に誤りがありましたので、訂正しました)。

 中国は、ICJという自国の領有権を証明する場がありながら、何故か、この方法を避けています。”日本国が盗んだ”と主張するならば、裁判に訴えるのが、正当な手段であるにも拘わらず…。1895年当時において、清朝が尖閣諸島を合法的に領有していたことを証明しない限り、日本国を”泥棒国家”と批判することは、誣告に当たると思うのです。

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コメント (2)
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