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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

「エセ日本人」論に潜む巧妙なすり替え

2013年02月21日 15時33分34秒 | その他
なぜ日本は「エセ日本人」だらけなのか? 「健全な愛国心」と「不健全な愛国心」(東洋経済オンライン) - goo ニュース
 東洋経済オンラインの記事に、”日本人は「エセ日本人」だらけ”とする記事が掲載されておりました。この記事、成り済まし日本人問題を扱ったのかと思いきや、外国を知らない一般の日本人こそ、「エセ日本人」と定義しているのです。

 筆者の主張は、”日本人とは、日本人としてのアイデンティティを身につけた日本人である。アイデンティティーの認識には、外国との比較による日本の特質を知る必要がある。それ故に、インターナショナル・スクールに通うような日本人こそ、真の日本人である。”というものです。確かに、他者との比較によって、自らの存在を深く知ることはありますが、この論法、どこか、三段論法的な誘導があると思うのです。筆者は、子弟をインターナショナル・スクールに通わせた経験から述べているようですが、この論法によりますと、一般の義務教育を受けて育った大多数の日本人は、「エセ日本人」のレッテルを張られてしまうことになります。主観的に”日本人”の定義を定め、その定義に合致しない日本人を、「エセ」呼ばわりする姿勢には、普通の日本人に対する悪意さえ感じさせます。インターナショナルな環境に育った日本人こそが、本物の日本人ならば、一体、世界中に、”日本人”は何人いるのでしょうか。

 ”日本人も、己を知るために外国のことを学ぼう”と呼びかけるならば、まだ理解できる範疇に入りますが、「エセ日本人」と見下し、偽物扱いしたのでは、納得しない読者も多いはずです。「エセ日本人」論には、アイデンティティーの重要性を説きつつ、大多数の日本人を「エセ日本人」に巧妙にすり替える巧妙なレトリックが隠されていると思うのです(いつの間にか、本物が偽物にすり替えられる…)。

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コメント (18)
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