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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中央銀行の人事は政策決定の場

2013年02月02日 16時03分03秒 | 国際経済
民主、日銀総裁の判断基準を策定・公表へ(読売新聞) - goo ニュース
 中央銀行の独立性は、司法の独立と同様に、不可侵であると見なされがちです。しかしながら、中央銀行は、裁判所と同様に、政治的に無色で中立的な存在なのでしょうか。

 中央銀行の政策決定者と裁判所の裁判官とは、共に任期があり、その道の専門家から選任されます。しかも、任免者といえども、政治的な理由で簡単に罷免することはできませんし、政策決定や判決に口を挟むこともできません。高い身分保障と職務上の独立性において、両者は共通しているのです。しかしながら、金融政策の分野にあっては、政策手法は、個々の学派や経済観により、相当の違いがあります。つまり、誰を中央銀行の総裁や役員に選ぶかによって、その任期中の政策は、およそ決まってしまうのです。このため、時の政府は、金融政策の直接的な決定者とならずとも、自らの政策方針を実現するに相応しい人物を選ぶことで、大凡の方向付けを行ってきました。このことは、任期中に政権交代が起きた際の、政府と中央銀行総裁との間の摩擦をも説明しています。民主党前政権のお墨付きの下で、デフレ政策と超円高政策に邁進してきた白川総裁は、自民党政権誕生後は、政府に対する抵抗勢力と見なされるようになりました。

 アベノミクスにより、中央銀行の独立性が侵害されるとの主張がありますが、インフレとデフレの違いだけで、実際には、遠の昔から、少なくとも中央銀行総裁の人事は、政府の政策手段の一つでした。独立性という言葉は、決して政策的な中立性を意味するものではなく、むしろ、中央銀行の人事は、政策決定の重要な場なのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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