万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

レーダー照射事件-隠蔽では元の木阿弥

2013年02月11日 15時26分50秒 | アジア
レーダー照射の中国艦、政府が動画など公開方針(読売新聞) - goo ニュース
 中国艦船によるレーダー照射事件について、小野寺防衛相は、国益を踏まえて慎重に検討する方針を示し、いささか弱気に転じたと報じられています。しかしながら、ここでこの事件を隠蔽しては、元の木阿弥になると思うのです。

 次いで、防衛相は、衝突を回避するメカニズム構築の必要性を強調し、ホットラインの設置や中国との対話再開については積極的な姿勢を見せております。事件を穏便に隠蔽する代わりに(中国に恩を売る?)、中国を対話に引き込もことが狙いなのでしょうが、この方針、日本国にとりましては、危険すぎます。何故ならば、事件そのものを中国側は、”日本国の捏造”と主張しているのですから、事件の存在を前提とした再発防止の協議に、中国側が応じるわけはないからです。もし、応じたとしますと、事件が実際に起きたことを、中国は、認めることになります。しかも、話し合いは、日本国に有利に展開するとは限りません。日本国側が、尖閣諸島周辺海域に軍艦を派遣することを自粛するよう求めたとしても、中国側が、承諾するとは思えません。ならばとて、尖閣諸島海域で、両国の行動ルールを決めるとしますと、日本国側が、当海域での中国の艦船の行動を認めることにもなりかねず、それは、事実上、”領土問題”の存在を日本国政府が承認したことを意味します。

 日本国側の態度が軟化したと読んだのか、中国側は、再び、尖閣諸島海域での挑発活動を活発化させてきているそうです。国際社会に対して明確な証拠を開示し、射撃管制用レーダーを照射した事実を証明しませんと、日本側の隠蔽を見込み、同様の事件が、よりリスキーな瀬戸際作戦として繰り返される可能性があります。日本国政府は、レーダー照射を証明する動画を、速やかに公開すべきと思うのです。

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コメント (2)
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