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土佐いく子の教育つれづれ~またあしたね〈30〉

2014年02月15日 | 土佐いく子の教育つれづれ

いい職場から先生が育つ

◎いい職場とは

 若い先生が増えました。生き生きと育っていく先生と、辞めていく先生とは、何がどう違うのでしょうか。個々人の事情はあるのでしょうが、若い先生が育つには、職場のありようが大きく関係しているということを実感しています。

 それでは、いい職場とは、どんな職場なのでしょうね。

 まずは、何と言っても管理職のありようでしょう。今日の管理職は、非常に厳しい状況の中で、できれば辞めたいと悲鳴を上げながらそれでも奮闘しています。いい職場は、管理職が子どものことをよく知っていて、職員室で先生方と子どもの話をしっかりしているのです。そして、先生方の意見に耳を傾け、共感したり、励ましたりしています。先生方が悩んだときは、よく話を聴いてあげ、対保護者との問題のときなどは、一緒に解決のために行動しています。

 二つ目は、頼りになる先輩方がいて、若い先生と一緒に学んだり、教育活動を創ろうと努力している職場です(組合員にはそういう方が多い)。

 三つ目は、若い先生同士がよく話をしたり、飲みに行ったり、学びの場に足を運んだりしている職場です。

◎私の職場作り

 私自身も学級作りと同じぐらい職場作りにエネルギーを注いできました。そうすることで、働きやすい職場になり、自分の教育実践も豊かに展開できるからです。そのためには、志を共にできる組合の仲間が増えることが大切でした。

 転勤していった学校は荒れ、親からの苦情が委員会にずいぶん上がっていたようで、管理職は疲れ果てていました。学校は汚れ、職員室もドロドロ。みんな疲れておられるんだと一目でわかりました。余裕がなくなると、お互いを責め、ギスギスした関係になり、飲み会すらできない状態だったようです。

 子どものようにお互いの悪口をひそひそ話でしている職場の空気にギョッとしたものでした。ずいぶん悩み落ち込みましたが、ある日、ふっと思ったのです。悪口を言うのは他人には関心があるんだ、しかし先生たちが自分の仕事に自信や確信や喜びが持てないからなんだと。

 その時から私は、対応を変えました。大変だった学校の様子、一人ひとりの先生方の悩みや不安を聴かせていただこうと努力し始めました。同時に、職員室で子どもの話をたくさんして、先生方の頑張りが明るく語れる空気を作っていきたいと考えたのです。

「先生、今日の全校朝会のときの話良かったですね。子どもにすっと入っていて、よく聞いてましたね」「さっき廊下通ってたら先生の板書が見えて、ていねいに書かれた、よく整理された板書で、まねさせてください」「先生とこのあの子どもの絵、いいですね。一人ひとりすごく個性的で、のびのび表現できていて、どんなふうに指導しはったんですか。教えてください」「さっき印刷室に先生とこの学級通信が落ちていてもらってきました。おもしろいですね。子どもの日記、うちの組でも読んであげたいです」と大きな声で話しかけていったのです。どの先生からも笑顔が返ってくるのです。

 掃除や片付けが大好きな私ですから、職員室を美しくして、いつも花も生けました。

 お酒の好きな友だちと相談して、飲み会を計画し、管理作業員、給食調理員さんにも声をかけ、みんなに呼びかけました。「長いこといろいろ大変だったから、飲み会もない淋しい学校になってたんや。やってくれてありがとうね」と調理員さん。

 久々にこられたPTAの会長さんが「学校の空気変わりましたねぇ。職員室に先生が寄ってきて、笑い声が聞こえますなあ」と言ってくださったものでした。

 若い先生たちが教材研究したいと集まるので、一緒に仲間に入れてもらい、共に学び合いました。組合の「せんせの学校」に来てくれたり、サークルに一緒に行く若者も出てきて、職場のなかに「学ぶ」という雰囲気が広がってきたのは大きな力でした。

 管理職の理不尽な言動にはすぐに対応したので、頼りにされるようになり、組合への信頼も広がりました。職場って変えられるんですねと新しく組合に入った若者の言葉です。

(とさ・いくこ 和歌山大学講師・大阪大学講師)

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2月14日(金)のつぶやき

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