ーそれでも夜は明けるー12 YEARS A SLAVE
2013年 アメリカ 134分
スティーヴ・マックィーン監督 キウェテル・イジョフォー(ソロモン・ノーサップ/プラット)マイケル・ファスベンダー(エドウィン・エップス)ベネディクト・カンバーバッチ(フォード)ポール・ダノ(ジョン・ティビッツ)ポール・ジアマッティ(フリーマン)ルピタ・ニョンゴ(パッツィー)サラ・ポールソン(エップス夫人)ブラッド・ピット(バス)アルフレ・ウッダード(ショー夫人)
【解説】
奴隷制度がはびこっていたアメリカを舞台に、自由の身でありながら拉致され、南部の綿花農園で12年間も奴隷生活を強いられた黒人男性の実話を映画化した伝記ドラマ。主人公が体験した壮絶な奴隷生活の行方、そして絶望に打ち勝つ希望を描き出す。監督は『SHAME -シェイム-』のスティーヴ・マックィーン、黒人男性を『2012』などのキウェテル・イジョフォーが演じる。共演には、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、ブラッド・ピットら豪華キャストがそろう。
【あらすじ】
1841年、奴隷制廃止以前のニューヨーク、家族と一緒に幸せに暮らしていた黒人音楽家ソロモン(キウェテル・イジョフォー)は、ある日突然拉致され、奴隷として南部の綿花農園に売られてしまう。狂信的な選民主義者エップス(マイケル・ファスベンダー)ら白人たちの非道な仕打ちに虐げられながらも、彼は自身の尊厳を守り続ける。やがて12年の歳月が流れ、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バス(ブラッド・ピット)と出会い……。
(シネマトゥデイ)
【感想】
今年のアカデミー賞作品賞の作品賞を受賞した作品ですが、なんか重たいテーマに気後れして、見るのが遅くなりました。
そして予想に違わず、重い作品でした。
この監督のスティーブ・マックイーンは黒人監督で、黒人監督として初めて作品賞を獲得したそうです。
奴隷解放宣言は1863年に出されたものなので、この作品はその20年くらい前の話ということになります。
ニューヨークで家族と暮らす自由黒人のソロモン(キウェテル・イジョフォー)が体験した実話ということなので、とても説得力のある話です。
自由とはいえ、奴隷が合法的であった時代には、黒人の権利や人権はかなり危ういものであったと思われます。
ソロモンのようにだまされて売られる人もいたのでしょうね。
最初の雇い主のフォード(ベネディクト・カンバーバッチ)は気弱で、奴隷も人間かもしれないと考えている人物ですが、気弱さのせいか、借金の形にソロモンを売ってしまいます。
ベネディクト・カンバーバッチ
次の雇い主のエップス(マイケル・ファスベンダー)は、サディストともいえる残酷な人間で、パッツィー(ルピタ・ニョンゴ)という綿摘みの名人を性的に虐待するし、いたぶるし、最悪の人間でした。
マイケル・ファスベンダー
最終的にカナダ人の建築家バス(ブラッド・ピット)に出会い、自分の素性を知る人物に連絡を取ってもらって裁判で解放されるのですが、その歳月は12年にも及んでいました。
実話なので、すごく感動的というわけにはいかず、淡々と辛い日々が描かれていきます。
ここのところ、アメリカの映画に黒人の作品が多いのは、オバマ大統領が出現したことも大きいのではないでしょうか?
たぶんまだまだ差別はあるし、黒人は貧しい人が多いとも思いますが、こういう作品に後押しされて、すべての人が幸せになれたらいいですね。
内容はつらいものですが、主演のキウェテル・イジョフォーをはじめ、悪役ぶりをいかんなく発揮したマイケル・ファスベンダーもよかったです。
ひどい目に遭わされるルピタ・ニョンゴは助演女優賞を獲得しました。