マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ウォルト・ディズニーの約束

2014-04-08 10:45:03 | 映画ー劇場鑑賞

ーウォルト・ディズニーの約束ーSAVING MR. BANKS

2013年 アメリカ 126

ジョン・リー・ハンコック監督 エマ・トンプソン(P..トラヴァース)トム・ハンクス(ウォルト・ディズニー)ポール・ジアマッティ(ラルフ)ジェイソン・シュワルツマン(リチャード・シャーマン)ブラッドリー・ウィットフォード(ドン・ダグラディ)ルース・ウィルソン(マーガレット・ゴフ)メラニー・パクソン(ドリー)アニー・ローズ・バックリー(ギンティ)コリン・ファレル(トラヴァース・ゴフ)

 

【解説】

エマ・トンプソンとトム・ハンクスという英米のオスカー俳優が共演を果たし、傑作ミュージカル映画『メリー・ポピンズ』誕生秘話に迫る感動のヒューマンドラマ。ウォルト・ディズニーの映画製作の舞台裏を初めて描き、原作者と映画製作者の激しい攻防を情感豊かに映し出す。ポール・ジアマッティやコリン・ファレルら名優たちも豪華共演。頑固な作家の心の奥深くに秘められた、ある思いを浮き彫りにする展開に心打たれる。

 

【あらすじ】

1961年、パメラ・L・トラヴァース(エマ・トンプソン)は、ウォルト・ディズニー(トム・ハンクス)が長年熱望する「メリー・ポピンズ」の映画化について話し合うためにロサンゼルスに向かう。傑作児童文学の著者である彼女は気難しい性格で周りを困惑させる。スタッフたちはどうにかしてトラヴァースに映画化の契約書に署名してもらおうと心を砕くが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品は、オーストラリア人で「メリー・ポピンズ」シリーズの著者・パメラ・L・トラヴァースの伝記を製作したプロデューサーが持ちかけ、イギリスのBBCフィルムズが融資を決め、脚本が作られたが、ウォルト・ディズニー・カンパニーの許諾が無くては作れないということで、持ち込まれた作品だそうです。

 

ウォルト・ディズニーも登場して、ディズニー映画の裏側を見せる作品。

ジョン・リー・ハンコック監督は、そのキャラクターや脚本について、カンパニー側から干渉を受けなかったということなので、その太っ腹がうれしい作品です。

 

お陰で、オリジナルの「メアリー・ポピンズ」で使われた名曲の数々が楽しめます。

東風とともに、バンクス家にナニーとしてやって来たメリー・ポピンズ。

しつけやお行儀に厳しい反面、思いもよらない方法で、人々を幸せにしていきます。

 

私はこの映画を劇場で見た覚えがあるのですが、たぶん中一くらいだったと思います。

すごく気に入って、サントラも買ったと思います。

「スーパーカリフラジリスティクスエスピアリドーシャス」と歌えて、友達に自慢したけど、誰も感心してくれなかったなあ。

でもこの作品に出会って、当時の頃が蘇りました。

とても楽しいひとときでした。

 

ロンドンに住んでいる作家のP..トラヴァース夫人(エマ・トンプソン)。

自分の作品である「メアリー・ポピンズ」の映画化の許可をウォルト・ディズニー(トム・ハンクス)から求められて20年、ずっと拒否し続けていた。

それでもウォルトは諦めず、最後の企画書の契約をするために話し合いたいと、夫人にアメリカのディズニースタジオまで来るように知らせが来た。

 

夫人の方も、最近は新しい作品も書けず、生活も困窮し始めていた。

弁護士に促されて、ロサンゼルス空港に降り立った夫人を迎えに来ていたのは運転手のラルフ(ポール・ジアマッティ)。

気難しい夫人の相手をしながらディズニースタジオに着くと、脚本家のドン(ブラッドリー・ウィットフォード)、作曲家のリチャードと(ジェイソン・シュワルツマン)ロバート(B・J・ノヴァク)のシャーマン兄弟もにこやかに出迎えるが、夫人はかなり手厳しい。

 

ウォルトに会って説得され、とにかくドンたちと脚本の擦り合わせを始めるが、話し合いをテープに録音することを要求し、そもそもミュージカルにすること自体が気に入らないし、アニメは絶対にダメ。

 

映画のエンディングにこのときの録音の音声が流れて、当時の緊張した様子をかいま見ることができます。

 

なぜ、これほどまでに夫人はこの作品に執着するのか?

そこには、夫人の幼い頃の悲しい経験が隠されていたのです。

 

☆ネタバレ

原題は「SAVING MR. BANKS」。

バンクス氏は、メリー・ポピンズの雇い主であり、子供たちの父親です。

この人物にはモデルがいました。

夫人のお父さん、トラヴァース・ゴフ(コリン・ファレル)です。

自分のペンネームに使っているほど愛着のある父。

しかし、その思い出はとても悲しいものでした。

 

夫人は幼い頃からとても想像力の豊かな子供でした。

父もとても想像力の豊かな人で、二人はとても気が合っていました。

でも、そんなお父さんは銀行家という職業には合っていなかったのでしょう。

酒に溺れ、体も弱らせていきます。

お母さんも、そんなお父さんや子育てに疲れ、自殺を図ってしまう。

そんなときに東風とともにやって来たのが、母の姉であるメリー・ポピンズのモデルとなった伯母さんでした。

 

父は失意の中で亡くなり、夫人の心にはトラウマが残りました。

 とても、ディズニーがやりたいようなハッピーなお話ではなかったのです。

 

でも、ディズニーが言った「バンクス氏を救う物語なのです」という殺し文句に、夫人は負けました。

 

ラストはすごく面白かった。

「ややこしいから夫人はプレミアに呼ばない」というディズニーの思惑に反して、夫人はロンドンからやってきます。

このへんの運転手・ラルフとの交流もとても楽しいです。

そして、苦々しい顔で見ていた夫人の表情がラスト「凧をあげよう」では涙に変わります。

私も思わずもらい泣き。

エマ・トンプソンにはよく泣かされます。

私の涙腺を刺激する演技力です。

 

たしかに、ディズニーの作品は、悲しいお話でも明るいミュージカルに仕立て直して、そのキャラクターが一人歩きをしてしまうと感じることがあります。

原作者には忸怩たる思いもあるでしょうね。

それでも、ディズニーの世界観がとてもしっかりしているので、全世界に愛されるのでしょうが、イメージが統一されてしまうという側面もあるかと思います。

この映画はそういうマイナス面にも切り込んだ画期的な作品だと思いました。

 

それにしても、メリー・ポピンズのオリジナルの歌は最高ですね。

この作品を見て以来、ずっと名曲たちが頭の中で蘇っています。

「お砂糖ひとさじで」「笑うことが好き」「2ペンスを鳩に」とか、「踊ろう、調子よく」までです。

「メリー・ポピンズ」を初めて見た思春期の私が、とても感動してサントラを何度も聴いたんだなあと思い出しました。

こうして、今の映画好きの私ができあがったのでしょうね。

 


スティラーズ

2014-04-08 10:38:43 | 映画ーDVD

ースティーラーズーPAWN SHOP CHRONICLES

2013年 アメリカ 113

ウェイン・クラマー監督 ブレンダン・フレイザー(リッキー)イライジャ・ウッド(ジョニー)ヴィンセント・ドノフリオ(アルトン)ペル・ジェームズ(シンディ)シャイ・マクブライド(ジョンソン)マット・ディロン(リチャード)ポール・ウォーカー(ロウドッグ)

 

【解説】

『ワイルド・スピード』シリーズなどのポール・ウォーカーが出演した異色アクション。アメリカ南部を舞台に、怪しげな者たちが生き残りを懸けた戦いを強いられる運命の一日を映し出す。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズなどのイライジャ・ウッド、マット・ディロン、ブレンダン・フレイザーら、実力派たちが競演。『ワイルド・バレット』で、ポールと組んだウェイン・クラマー監督がメガホンを取る。クセある人物にふんした彼らが披露する怪演はもとより、ブラックジョークとバイオレンスが渦巻くタッチも必見。

 

【あらすじ】

アメリカ南部。白人至上主義者である強盗団リーダーは、ドラッグディーラーから大金を奪い取ろうとたくらんでいた。その頃、エルヴィス・プレスリーを崇拝する巡業芸人は宗教めいたことを口走る男と出会い、妻を何者かに誘拐された過去を持つ男は女性ばかりを狙った猟奇犯と遭遇する。一見、無関係な彼らであるが、奇妙な巡り合い、欲望や怨嗟(えんさ)といった感情、ヒステリックな小人、手癖の悪い料理人など、さらに奇々怪々な連中の登場によって、予想だにしなかった事態に身を投じていくことになる。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ポール・ウォーカーが昨年11月に交通事故で亡くなったので、何か見たいなあということでレンタルした作品。

別に、ポール・ウォーカーが主演ということはないけど、あまり彼の作品を見ていないので、面白そうかなあと思って。

タランティーノが絶賛ということだけど、いえいえ、タラちゃんの作品の方がずっと面白いです。

この作品は、どちらかというとグロじゃないかな?

 

南部の小さな町の質屋を介在して起こる事件を、オムニバス風に展開した作品。

質屋の親父と近所の親父の会話はなにやらジム・ジャームッシュ風。

 

大きなエピソードは3つかな?

 

ひとつは、ポール・ウォーカーの出て来る、ジャンキーの強盗団の話。

強盗といっても、お金がないので、麻薬の売人を襲って麻薬を強奪しようというもの。

 

 

次は、婚約者と旅の途中に質屋に寄ると、誘拐された元妻の指輪を見つけて、復讐心に火がついて、誘拐犯を突き止め妻を見つける男(マット・ディロン)の話。

この誘拐犯がジョニーというサイコ野郎。

イライジャ・ウッドがやっているんだけど、はまっています。

ここに捕まっている全裸の女性たちが、ジョニーを慕っているのがよくわからなかったなあ。

 

最後は、エルビスプレスリーのモノマネ芸人だけど、お金がなくてプレスリーのペンダントを質入れしに来るリッキー(ブレンダン・フレイザー)の話。

悪魔に魂を売る話になっていきます。

 

最後、この3つの話がカーニバルのシーンでまとまるんだけど、なんか、つまらなかった。

テーマが、人種差別や悪魔やサイコという日本人にはあまり縁のない奇抜なものだからかなあ。

 


クロワッサンで朝食を

2014-04-08 10:32:46 | 映画ーDVD

ークロワッサンで朝食をーUNE ESTONIENNE A PARIS

2012年 フランス/エストニア/ベルギー 95

 

イルマル・ラーグ監督 ジャンヌ・モロー(フリーダ)ライネ・マギ(アンヌ)パトリック・ピノー(ステファン)フランソワ・ブークラー(モーリス)フレデリック・エポー(ドミニク(ギャルソン))ヘレ・クニンガス(リディア)

 

【解説】

『死刑台のエレベーター』や『突然炎のごとく』などで知られる大物女優、ジャンヌ・モローが主役を演じた味わい深い人間ドラマ。年齢や性格や境遇が全く異なる2人の女性が、ぶつかり合いながらも次第に心を通わせていく過程を描き出す。パリで次第に輝きを取り戻していく家政婦を、エストニア出身の女優ライネ・マギが好演。ジャンヌの演技や、生きる喜びを思い出させてくれる物語に魅了される。

 

【あらすじ】

エストニアの小さな町で暮らすアンヌ(ライネ・マギ)は、2年間付きっ切りで介護をしていた母親を亡くし放心状態だった。そんな折り、多少フランス語が話せる彼女にパリでの家政婦の仕事が舞い込んでくる。意を決して憧れのパリに向かったアンヌを、しゃれたアパートで待っていたのは、気難しいエストニア出身の老婦人フリーダ(ジャンヌ・モロー)だった。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

「クロワッサンで朝食を」という邦題、なんか日本語として変じゃないですか?

「ティファニーで朝食を」を意識しているのは間違いないですよね。

でも、ティファニーは場所なのでわかるけど、クロワッサンは食べ物なので、「朝食はクロワッサンで」が正しい言い方ですよね。

これでは、色気がないですが。

 

実際、これがフリーダ(ジャンヌ・モロー)のセリフです。

しかも、アンヌ(ライネ・マギ)が用意したものを一口食べて「これはプラスティク」と投げ捨てます。

二人の関係を端的に表しているシーンでした。

 

エストニアの寒い夜。

長年自分の母を介護して疲れているアンヌ。

別れた夫が酔っぱらって訪ねて来て、さらにうんざり。

 

そのうちに母が亡くなって、子供たちも遠く離れていてしかも忙しい。

 

孤独なアンヌの元に、パリで家政婦として働かないかという依頼が来る。

 

雇い主はカフェを経営するステファン(パトリック・ピノー)。

フリーダの高給アパルトマンに案内して、彼女の世話をするようにいう。

自殺未遂をしたことがあるので、薬箱には必ず鍵をかけるように言われた。

 

フリーダは、痴ほうでもなくも心身の状態も良さそうだ。

しかし、家政婦の存在はよく思っておらず、食べないことと毒舌で抵抗して、追い出そうとする。

ステファンに相談すると、勤めを続けるように言われた。

覚悟を決めてふたたびフリーダの元へ。

 

ステファンとフリーダの関係が明らかになるにつれて、アンヌとの距離も縮まって行く。

 

☆ネタバレ

エストニア人とパリの関係性がよくわからないけど、アンヌにとっては華のパリ、憧れだということがわかります。

フリーダに冷たくされても、夜のパリを歩き回って、元気を取り戻すのも、故郷には帰りたくないという気持ちの表れかもしれません。

 

フリーダは、パリのエストニア人社会とうまくいかず、やはり孤独と老いの中にいる人ですが、本来の気丈さでその思いと闘って来たのでしょう。

お金があって、愛人がいても、なんの解決にもならないことはよく知っているのです。

そのあたりの誇り高さを、ジャンヌ・モローは威厳たっぷりに見せてくれました。

 

フリーダとアンヌが、無くてはならない関係を作って行くところは、何気なくていい感じです。

その間で右往左往するステファンもいい人でした。

 

肉親との絆から離れてしまった他人同士の絆をどう繋いでいくか、やはり人生の大きなテーマですね。

 

老いてもファッショナブルなジャンヌ・モローの着こなしが素敵でした。
自分の服を使っているそうです。
さすがですねー。