マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

グリース

2007-11-20 10:00:41 | 映画ーDVD
ーグリースー
1978年 アメリカ ランダル・クレイザー監督 ジョン・トラヴォルタ オリヴィア・ニュートン=ジョン ジェフ・コナウェイ ストッカード・チャニング バリー・パール イヴ・アーデン ジョーン・ブロンデル ディディ・コーン ダイナ・マノフ フランキー・アヴァロン アリス・ゴーストリー

【解説】
 71年に初演された人気ブロード・ウェイ・ミュージカルを基に、当時「サタデー・ナイト・フィーバー」で人気絶頂だったトラヴォルタと、70年代に数々のヒット曲を出したポップス・クイーン、O・ニュートン=ジョンの共演で描いた学園ミュージカル。舞台は50年代のアメリカ。サマー・バケーションで知り合ったダニーとサンディ。ひと夏の恋で終わったはずが父の転勤でダニーと同じ高校に転校してきたサンディは突然の再会に喜ぶ。しかしダニーはテカテカのリーゼントに皮ジャンという出立で“T・バーズ”と言う不良グループのリーダーだった……。続編「グリース2」あり。(allcinema ONLINE)

【感想】
ミュージカルの王道。歌よし、ダンスよし。
流れる曲はロックンロール。
ああ、リアルタイムで見たら、もっと感動しただろうに、残念です。

今見た私は「オリビア、まあ懐かしい!!」
トラボルタはやっぱりかっこいいとは思わないなあ。
個性的なお顔。
でも、なんであんなにダンスがうまいのでしょう!!

登場人物、高校生にしてはちょっと老けていますねえ。
ま、固いことは言いませんが。

この映画を見ていない私でさえ知っているヒット曲の数々。

ダンスシーンにうっとり。
舞台のような面白さプラス、カメラワークも面白い。
カラフルでおしゃれなシーンがどんどん続きます。

中身はハッピーな学園ロマンス。
不良といってもタバコ吸って突っ張っているくらい。

今は、なんか暗い世の中だなあ。

彩の国シェイクスピア・シリーズ第18弾 『オセロー』大阪公演

2007-11-20 09:58:23 | 舞台
2007年11月17日 大阪梅田芸術劇場シアタードラマシティー
原作=シェークスピア
演出=蜷川幸男
キャスト=オセロー:吉田鋼太郎
デズデモーナ:蒼井優
イアゴー:高橋洋
エミリア:馬渕英俚可
ロダリーゴー:鈴木豊
キャシオー:山口馬木也
ブランバンジョー:壤晴彦
【解説】
 『オセロー』は、壮年の黒人の将軍と若き白人の娘との結婚が巻き起こす悲劇を壮大なスケールで描き、シェイクスピア四大悲劇のひとつとされ、シェイクスピア作品の中でも人気の高い作品だ。さらに、これまでシェイクスピアの四大悲劇では、『リア王』3回、『マクベス』3回、『ハムレット』は6回もの演出を手掛けた蜷川が、『オセロー』だけは1回しか演出をしておらず、13年ぶりの『オセロー』挑戦は自身にも期するところがあり、期待の公演となること間違いない。

【物語】
 舞台はヴェニス。オセローは、ヴェニス公国に仕えるムーア人の将軍。彼は数々の戦で手柄を立て、周囲から尊敬されていた。しかしオセローがキャシオーを副官に昇格させたことに不満を抱いている人物がいた。オセローの旗手であるイアゴーだった。イアゴーは、オセローがヴェニス元老院議員ブラバンショーの娘デズデモーナと密かに結婚をしたことを知り、デズデモーナに恋をしているロダリーゴーをそそのかし、ブラバンショーに娘の駆落ちを密告する。ブラバンショーは、オセローが娘をたらしこんだと公爵に訴えるが、オセローは、敵国トルコ軍の侵略を阻むため、新妻を伴いキプロス島へ派遣されるところだった。
 ヴェニス軍がキプロス島に到着すると、激しい嵐で敵軍は全滅。軍の勝利とオセローの結婚の喜びに島中が酔いしれる夜、イアゴーはキャシオーを泥酔させ、けんか騒ぎを起こさせる。イアゴーの陰謀とは知らないオセローは、イアゴーの話を鵜呑みにし、キャシオーを副官から解任する。落胆するキャシオーは、イアゴーの提案で、オセローに取り入ってもらうようデズデモーナに嘆願する。よからぬたくらみを秘めつつも忠実な部下を装うイアゴーは、オセローにデズデモーナがキャシオーと密会していると告げる。ちょうどその時、デズデモーナは夫からのプレゼントであるハンカチを落としてしまう。イアゴーは妻エミリアが見つけたそれを、デズデモーナの不貞をオセローに信じ込ませる証拠として使うことを思いつく。彼はハンカチをキャシオーの部屋に落としておき、何も知らないキャシオーは、それを娼婦ビアンカにやる。ビアンカが持っているハンカチを見たオセローは妻の不義を確信するのだが……。
(e+theatrix!より)

【感想】
私はバレエの「オセロー」をパリのオペラ座で見て、あらすじくらいはわかっていましたが、部下の言葉に踊らされ、嫉妬に狂って妻を惨殺する権力者の夫の話なので、いいお話とは思っていませんでした。
私の見たオセロー将軍はとてもかっこよかったのです。

この舞台では、勇敢なオセロー(吉田鋼太郎)は肌の色の黒いムーア人には違いがありませんでしたが、中年でした。
不幸な生い立ちを経て、百戦錬磨の末、今の地位まで上り詰め、気がつけば中年にさしかかっていた人です。
いまでこそ、たくさんの部下を持ち、元老院から信頼も厚く、人格者として認められているけれど、この地位に来るまでには、マイノリティ出身ということもあり、数々の苦難をくぐり抜けてきた苦労人ということが容易に想像されます。

一方のデズデモーナ(蒼井優)は、年若く有力議員の娘。
親子ほども年の違う二人が少々話し込んでいたとしても、それ以上の関係になるはずはないと、親も気を許していたのでしょう。
でも、心清らかなデズデモーナはオセローの経歴にいたく心を動かされ、憐れみから彼を愛するようになったのです。

父親の怒りを越えて、ふたりは結ばれます。
オセローの有能さを知っている元老院はこの結婚を指示します。
デズデモーナの父親は憤死してしまうほどの怒りでした。
「父親も欺くような女、いずれあなたも欺かれるであろう」不吉な預言を残します。

この二人の背景がこのあとの悲劇をより悲劇的なものへ導く伏線になっていました。
人格者オセローといえども、今このときが青春、うぶな青年と変わりない心の状態なのに、年若い妻に負い目も感じている。
「なぜ、デズデモーナのような人が、私を選んだのか?」
愛するが故の不安や恐怖に油を注いだのが、どす黒い野心を持つイアゴー(高橋洋)だったのです。
もともと、不安に覆いをかけていただけの結婚なのだから、イアゴーのような姦計を弄する者の手にかかったら、愛はたちまち嫉妬の炎に焼かれ、憎悪に変わってしまったのです。

そうとも知らずに、オセローの人が変わってしまったようなひどい仕打ちに耐え、不吉な予感に怯えるデズデモーナ。
それでも、一筋の愛を信じようとけなげに歌うデズデモーナの歌声に、涙が止まらなくなりました。

オセローは、イアゴーの口車に乗り、いとも簡単に疑心暗鬼の地獄に堕ち、本人に確かめる、真実を知る、と言う簡単なこともせずに、デズデモーナに手をかけてしまいます。

吉田鋼太郎さんと演出の蜷川さんは、オセローの威厳を損なうことなく、オセローの弱さをあぶり出すのに成功しました。
とても緊張感溢れる辛い内容の舞台なのに、ときどき観客席から笑いが漏れるユーモラスなシーンもありました。

オセローとデズデモーナがが愛を確かめあうシーンはどれも微笑ましく、とても好感が持てました。

高橋洋さんはイアゴーのいやらしい性格を最後までぶれることなく演じ続け、実力のあるところを見せていました。

現代にも通じる男と女の心の闇。
愛とはかくももろいものか、嫉妬によって愛が憎悪に変わる瞬間を見ました。

カーテンコールはスタンディングオーベーション。
蒼井優ちゃんが涙ぐんでいるように見えました。