マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

あかね空

2007-11-27 11:38:43 | 映画ーDVD
ーあかね空ー
2006年 日本 浜本正機監督 内野聖陽(永吉/傳蔵)中谷美紀(おふみ)中村梅雀[2代目](平田屋)勝村政信(嘉次郎)泉谷しげる(源治)角替和枝(おみつ)武田航平(栄太郎)細田よしひこ(悟郎)柳生みゆ(おきみ)石橋蓮司(清兵衛)岩下志麻(おしの) 

【解説】
時代小説の第一人者、山本一力の直木賞受賞作品を映画化した感動作。市井に生きる人々の愛と人情、そして家族の再生を描く。本作の企画には、2003年の『スパイ・ゾルゲ』をもって監督業を引退した篠田正浩がたずさわっている。主演は内野聖陽と『嫌われ松子の一生』の中谷美紀。石橋蓮司や、篠田正浩の実生活での妻でもある岩下志麻など個性派が脇を固める。VFX映像でリアルによみがえらせた永代橋など、江戸の町並みも見どころのひとつ。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
永吉(内野聖陽)と江戸っ子のおふみ(中谷美紀)が深川の長屋に開く豆腐店「京や」は、なかなか客が入らない。だが、明るいおふみの笑顔と努力で客が入り始め、繁盛しだす。やがて3人の子どもにも恵まれ、小さいながらも幸せに満ちている生活を送っていた……。(シネマトゥデイ)

【感想】
典型的な人情劇でした。
ベタなお話ですが、臭さがなかったのは、主人公の永吉(内野聖陽)、おふみ(中谷美紀)夫婦、相州屋夫婦(石橋蓮司・岩下志麻)、悪役に平田屋に中村梅雀を配したキャストが良かったからだと思いました。

特に、永吉と傳蔵という全く違う個性を演じ分けた内野聖陽が光っていました。
個人的には、傳蔵のキャラクターの方が好き。

豆腐屋永吉は理想的すぎるように思いました。
豆腐を作っている姿は、おふみでなくとも、惚れ惚れするいい男ですが。
それに比べて、親とはぐれ裏社会で生きるほかなかった傳蔵、でも、心は美しいまま、人情味溢れる人間性の持ち主に成長していました。
その切ない心情が忍ばれて、最後のどんでん返しがすっきりしたものになりました。

結局、豆腐屋一家にはなんの種明かしもありませんでしたが、お天道様(この場合は観客ですが)はお見通しだ、といわんばかりのラストシーン、良かったと思いました。

この映画には、現代にも通じる家族の問題が描かれていました。
跡取りと立てて育てた長男を溺愛の果てにだめにしてしまう母親。
それには、自分の不注意で大火傷を負わせてしまったという負い目があったようでした。
子供を信じようとしても、信じきれない母親の弱さ。
水に映った姿は夜叉の姿でした。

でも、この夫婦はずっと揺らぎのない愛情でつながれていて、その絆でなにもかも乗り越えてきた強さもありました。
最愛の夫が死んでもなお、その絆はおふみを強く支えていました。

結局はそれが傳蔵の気持ちを動かし、平田屋を懲らしめる結果につながっていきました。

あまりヒットはしなかったようですが、内野聖陽の陰と陽の演じ分けが見事なので、ぜひ見て欲しい映画です。