エネルギーの使い方

エネルギーの使い方                  2007.11.5. 金森正臣

 CO2の削減が、京都議定書に間に合わない状況になって来ている。各企業は、省エネに努力しているが、なかなか効果は上がらない。日本のマスコミの論調を聞いていると、個人の消費は、あまり問題にされていない。せいぜい空調の温度を問題にするぐらいである。
 
 皆さんは、どの様にエネルギーを使っておられるであろうか。エネルギーを使うほど、健康にはよろしくない。夏は冷房、冬は暖房を使っていると、次第に自分の耐えられる温度の幅が狭くなってくる。私自身は、冷房や暖房をあまり使わない方法で生きてきたので、研究室にも冷房は無かった。学生さんには気の毒では有ったが、やはりその様な状況を体験しておくことは、自分の耐える幅が広がる。また暑さや寒さに耐えることによって、生理的活性も高くなると思っている。
 
 特に50代の中ごろから始まったアフリカでの調査は、一日の温度差が大きく、30度ぐらいの変化があった。日中は40度を越し、明け方には10度を切っていた。赤道直下ではあるが、標高が1300付近で、昼は高温、夜は冷える乾燥するサバンナ地域である。もちろん文明とはほど遠く、ほとんど人が住んでいない。2-3か月の調査で、数キロから10キロぐらい痩せることがあったが、帰ってくると学生は、元気になっていると言って驚いていた。自分自身の感覚でも、明らかに生理的活性が高まっており、疲労感は少ない。お寺における修行の時にも、冬でも暖房は無い。かなり冷えて夜眠れないこともあるが、風邪をひくことは無い。自分自身の適応力が高まっているからであろう。

 まれには風邪をひくこともあるが、あまり熱も出ないし、自分の中で抗体が上がってくるのを待つ。この30年ぐらいは、ほとんど薬は使わない。だいたい風邪で熱が出るのは、白血球が、風邪のウイルスを攻撃するのに、最適なように体温を上げるのである。下げてしまったら、酵素の働きが鈍くなり、抗体の出来も遅くなる。まして解熱剤は、胃に負担がかかるものが多く、体力も落ちる。お医者さんはこのような事を理解して、薬を処方しているか疑問が多い。最も患者からの評判は、いろいろ直ぐしてくれる方が良い。昔大阪の大学の医学部に居た頃、良く患者の評判は医者の力量に反比例すると話していたことがあったが、今もその思いはあまり変わらない。高温が続いて、体力が著しく低下してくれば、解熱剤も必要であろう。むやみに使うことは、抗体の生産能力も損なう。30億年の遺伝子の歴史には、必要な物は備わっている。自然に任せるのが、最も優れた方法である。たかだか2000年の、知識では、追い付かない。

 各自が、自分の生活の中で余分なエネルギーを使わないことが、自身の健康を維持する上で最も大切なことであろう。これには精神の開拓も必要であって、ストレスの少ない人は、病気になることも少ないように思われる。また、「病気」と言うくらいで、気になると病気に取りつかれ易いとも思われる。このような意識が、今の省エネには最も必要なことではなかろうか。老後の長い日本人は、特に考える必要があろう。

 話は異なるが、多くの先進国は、CO2の削減に無責任と言わざるを得ない。先進国のわずか20%ぐらいの人口が、80%以上のエネルギーを使ってしまっている現実をどのように考えているのだろうか。すでに使ってきたエネルギー量からいえば、さらに多量の割合になる。自分たちのして来た生活の向上(本当に向上しているかは疑問だが)を、後進国の人たちが求めることを、阻止する権利があるだろうか。先進国は、サミットなどを開くよりも、まず自分たちが如何するかを明らかにして、その上で後進国の人たちと協議するべきであろう。特に日本は、京都議定書などを策定したからには、その責任は重い。CO2 ガスの少ないエネルギーを探すよりも、使わないことを考えるべきであろう。使って何を得てきたかは、現在の日本を見れば明らかである。喜びの少ない、ストレスの多い生活を得ただけではなかろうか。

 日本の多くのリーダーたちは、現在の生活を維持することに専念している。現在から異なる方向に踏み出さなければ、人類の未来は存在しない。日本人の最初のノーベル賞学者、湯川秀樹さんは、京都大学の退官記念講演で、「真理は常に少数から始まる」と述べている。現状に追随していると、誤った道を歩くことに成りかねない。
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