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●科学技術ニュース●日立造船、オマーンでのメタネーション(メタン合成技術)実証に関する覚書を締結

2024-05-08 09:35:43 |    化学
 日立造船および同社の100%子会社であるHitachi Zosen Inova AG(スイスHZI)は、このほど、オマーン政府や日本の商社などが出資するオマーン国のLNG事業会社Oman LNG LLC(オマーンLNG)と、「メタネーション(触媒を充填した反応容器内で水素と二酸化炭素を反応させ、天然ガスの主成分であるメタンを合成する技術)の事業化に向けた協力覚書」を締結した。

 オマーンは、日本と同じく2050年までに温室効果ガス排出量ネットゼロ達成を目指しており、両国政府は2022年12月に「水素・アンモニア及びメタネーションを含むカーボンリサイクルに関する協力覚書」を交わしている。

 今回の覚書は、両国間の協力覚書に基づいた取り組みとなり、オマーンLNGが保有するLNGプラントにメタネーション装置を実装し、CO2の資源化を目指すもの。

 オマーンLNGは、既存LNGプラントの隣接地に小規模なパイロットプラント(メタネーション装置および水電解装置)を建設し、1,200N ㎥/hの合成メタン(e-methane)を生産する予定。

 同覚書の締結にあたっては、同社および HZIのメタネーションに関する知見や実績の他、メタネーションに必要な水素を製造する水電解技術や水処理技術、大型プラントを建設する EPC(Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設))能力を同社グループが有し、全体システムの最適化を図ることができることが高く評価された。

 なお同社は、経済産業省・資源エネルギー庁が2024年1月に公募した「令和6年度「産油国石油精製技術等対策事業費補助金(石油天然ガス権益・安定供給の確保に向けた資源国との関係強化支援事業に係るもの)」」に採択されており、同覚書のパイロットプラントの基本設計と商業化検討については当該補助金を活用する。

 同社グループは、中東において水処理プラント建設で豊富な実績を有している。また、現在は、HZIを通じてごみ焼却発電プラントの分野でも中東に貢献している。

 国内外でメタネーションおよび水電解に関する事業実証や社会実装の機会創出を目指す中、環境事業の中東へのさらなる展開を図り、日立造船とHZIのそれぞれが有するメタネーションおよび水電解技術の連携を深め、グループの力を結集して同件に取り組む。<日立造船>
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