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●科学技術ニュース●ラピダスと米エスペラント、共同で低消費電力のデータセンター向けAI半導体の開発・製造を推進

2024-05-22 09:37:04 |    電気・電子工学
 ラピダスは、RISC-Vベースのコンピューティング・ソリューションを開発する米エスペラント・テクノロジーズと、協力覚書を締結した。

 今回の協力覚書締結により、本格的なAI時代の到来で必須となる低消費電力のデータセンター向けAI半導体の開発・製造を推進していく。

 エスペラント・テクノロジーズは、オープンスタンダードのRISC-V命令セット・アーキテクチャをベースに、人工知能/機械学習のための高性能なコンピューティング・ソリューションを開発している。同社は生成AIやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の分野において、高いエネルギー効率を実現する半導体設計技術を有している。

 一方、ラピダスは、北海道・千歳市において、国内初となる2ナノメートル(nm)以下の最先端ロジック半導体を製造する施設「IIM(Integrated Innovation for Manufacturing)」の建設を、2023年9月から開始した。

 ラピダスは、並行して現在、世界最先端の半導体研究拠点の一つである米国ニューヨーク州のAlbany Nanotech Complexに研究員を派遣し、IBMとの協働により、2nmのロジック半導体生産に関する技術開発を進めている。

 また、べルギーの微細電子工学研究機関「imec(アイメック)」において、最先端半導体の生産に不可欠なEUV露光装置の技術を習得する予定。

 こうした技術を活用し、IIM-1において2025年4月にパイロットラインを稼働し、2027年には量産を開始する計画。

 生成AIに代表される本格的なAI時代の到来を迎える中で、データセンターの消費電力量が増加している。AIで文章や画像を自動生成するために大量のデータを機械学習する必要があり、そのために大量の電力が必要となっている。

 IEA(国際エネルギー機関)によると、世界のデータセンターでは、生成AIなどの影響で電力需要が伸びており、2026年には約1,000TWhに達する可能性があるとされている。これは日本全体の総電力消費量に匹敵する数字。

 このような状況を踏まえ、今後省エネルギーを実現させる半導体開発・製造が必須となる。

 ラピダスが製造を目指す2nmノード半導体は、従来の半導体よりもさらに微細化されることにより、処理性能の向上だけでなく、消費電力を飛躍的に低減することが可能となる。

 今回協力覚書を締結したエスペラント・テクノロジーズは、生成AI、HPC、エッジデバイスなど様々な分野で消費電力性能に優れた製品開発を行っており、同社との協業による次世代半導体の設計・製造によって、AI時代に即したエネルギー効率に優れた製品開発を目指す。<ラピダス>
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