“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「エイジング革命」(早野元詞著/朝日新聞出版)

2024-05-31 09:48:36 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:エイジング革命~250歳まで人が生きる日~

著者:早野元詞

発行:朝日新聞出版

 ヒトは老化をいかに超えるか? ヒトの寿命はいかに延びるか? 「老いない未来」が現実化する今、エイジング・クロックやエイジング・ホールマークスといった「老化を科学する」視点をわかりやすく解説する。気鋭の生物学者が導く、寿命の進化の最前線。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「大学1・2年生のためのすぐわかる解析力学」(吉田弘幸著/東京図書)

2024-05-31 09:48:09 |    物理



<新刊情報>



書名:大学1・2年生のためのすぐわかる解析力学

著者:吉田弘幸

発行:東京図書

 高校物理から大学の物理へ、「大学」の解析力学のエッセンスを1冊に凝縮。同書が扱う「解析力学」は、ニュートン力学の理論を数学的に緻密に整備した理論形式となっている。そして、その数学的な手順を精確に学べば、様々な力学現象をオートマティックに分析することができる。ただ、理論の形式がニュートン力学とは大きく異なるため、はじめて解析力学を学ぶときには戸惑いを感じるかもしれない。そのような戸惑いを持たずに解析力学を学んでもらうことが同書の大きな目的。同書によって解析力学の基本的な手法を呼吸をするように使いこなそう。【目次】Chapter 1 数学の準備 Chapter 2 ニュートン力学の復習 Chapter 3 解析力学の概観 Chapter 4 ラグランジュ形式 Chapter 5 対称性と保存則 Chapter 6 変分法 Chapter 7 様々な力学系 Chapter 8 ラグランジュの未定乗数法 Chapter 9 ハミルトン形式 Chapter10 正準変換 Chapter11 ハミルトン・ヤコビの理論




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●科学技術ニュース●NIMS、ネオジム磁石の高性能化に向けたデジタルツインを開発し微細組織の最適化による究極の保磁力への道拓く

2024-05-31 09:47:44 |    物理
 物質・材料研究機構(NIMS)は、電子顕微鏡観察から得られるネオジム磁石の微細組織を有限要素モデルに取り込み、外部磁界の影響で磁石が減磁する過程を数値シミュレーションで再現することに成功した。

 このシミュレーションを通じて、磁石の強さの指針の一つである保磁力を物理的限界に近づけるために必要な微細組織を予測することが可能になる。

 同研究の成果は、商用磁石の磁気特性が物理的限界に遠く及ばない原因を明らかにし、究極の性能を持つ磁石開発への指針となることが期待される。

 風力発電、モビリティー用途で使用されるモーターは高性能永久磁石に大きく依存しており、その中でもネオジム (Nd-Fe-B) 磁石は最も強力で需要が増大している。しかし、ネオジム磁石の保磁力は、そのほとんどが物理的限界をはるかに下回っている。

 同研究では、超微細粒Nd-Fe-B磁石の微細組織を電子顕微鏡で観察し、それを大規模モデルで再構成する新しいアプローチを提案した。

 このアプローチは、走査型電子顕微鏡(SEM)と集束イオンビーム(FIB)による研磨を組み合わせて取得した多数の2次元画像データを、高品質な3次元モデルに変換するというトモグラフィーに基づくもので、磁石研究に限らず他の多結晶材料に適用して、材料科学の幅広い数値計算のモデルとして応用できる。

 このトモグラフィーとシミュレーションの組み合わせは、現実の現象を仮想空間に構築するデジタルツインの実現であり、先進的な超微細粒Nd-Fe-B磁石の保磁力を再現し、そのメカニズムの説明を可能にするとともに、磁石の強さを支配する微細組織の特徴も明らかになった。

 今回開発したネオジム磁石のデジタルツインは、微細組織と磁気特性の両方を再現するのに十分な精度を備えており、保磁力が物理的限界を下回っている原因の解明や、高性能な永久磁石の設計・開発に利用できる。

 例えば、自動車用駆動モーターや可変磁束モーターなど、特定の用途に必要とされる磁石の要求特性を入力すれば、データ駆動型の予測を通じて、その用途に最適な磁石の組成、プロセスの詳細、微細組織等を提案することができるようになり、用途に応じて必要とされる磁石の開発期間を著しく短縮することができると期待される。

 同研究は、Anton Bolyachkin (NIMS若手国際研究センター ICYSリサーチフェロー) 、Hossein Sepehri-Amin (NIMS磁性・スピントロニクス材料研究センター グリーン磁性材料グループ グループリーダー、筑波大学数理物質系 連携大学院准教授) 、大久保忠勝(NIMS 磁性・スピントロニクス材料研究センター 副センター長) を中心とする研究チームによって実施された。本研究の一部は、文部科学省データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト事業 (DxMT) JPMXP1122715503、および、日本学術振興会科学研究費補助金 (助成番号JP23H01674)の助成を受けたもの。<物質・材料研究機構(NIMS)>
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●科学技術ニュース●住友林業と京都大学、世界初の木造人工衛星を完成させJAXAへ引き渡し宇宙での運用へ

2024-05-31 09:47:00 |    宇宙・地球
 住友林業と京都大学は、2020年4月より取り組んできた「宇宙木材プロジェクト(LignoStella Project)」で、約4年かけて開発した木造人工衛星(LignoSat)を完成させ、6月4日にJAXAへ引き渡すこととなった。

 完成した木造人工衛星は、1辺が100mm角のキューブサットと呼ばれる超小型の衛星で、NASA/JAXAの数々の厳しい安全審査を無事通過。世界で初めて宇宙での木材活用が公式に認められた。

 宇宙空間での運用に向け2024年9月に、米国フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げ予定のスペースX社のロケットに搭載し国際宇宙ステーション(ISS)に移送する。

 ISS到着から約1か月後に「きぼう」日本実験棟より宇宙空間に放出される予定。

 今後は木造人工衛星から送信されるデータ解析を通じ、木の可能性を追求し木材利用の拡大を目指す。

 今回の木造人工衛星の開発は2022年3月~12月までISSの船外プラットフォームで実施した木材宇宙曝露実験をはじめ、地上での振動試験、熱真空試験、アウトガス試験など様々な物性試験の結果得られたデータに基づいて行っている。

 木材宇宙曝露実験では温度変化が大きく強力な宇宙線が飛び交う過酷な宇宙の環境下でも、割れ、反り、剥がれ等はなく木材の優れた強度や耐久性を確認している。

 その他の地上試験でも木材は宇宙飛行士の健康や安全、精密機器や光学部品などに悪影響を及ぼさないことが明らかになった。数々の実験、試験を経てNASA/JAXAの審査に合格したことで、宇宙空間での木材活用の安全性が証明された。

 木造人工衛星がNASA/JAXAの安全審査に合格し、宇宙空間での木材利用が認められたことは宇宙業界にとっても木材業界にとっても非常に貴重な1歩。持続可能な資源である木の可能性を広げ、更なる木材利用を推進する上で大きな意義がありる。

 ISSから放出後は、木造構体のひずみ、内部温度分布、地磁気、ソフトエラーを測定し、京都大学構内に設置された通信局にデータを送信する計画。今後はこの木造人工衛星から得られる各種データの分析を進める。

 京都大学は今回のLignoSat1号機の開発ノウハウと運用データを、これから計画を進める2号機の設計や2号機で計測を検討するデータの基礎資料としていく。

 住友林業は、今回の開発を通して得られた知見をさらに分析し、ナノレベルでの物質劣化の根本的なメカニズムの解明を目指す。このメカニズムを解明することで木材の劣化抑制技術の開発、高耐久木質外装材などの高機能木質建材や木材の新用途開発を推進する。従来は木材が使われていなかった箇所での活用、例えばデータセンター施設等への木材利用の拡大に繋げ、林業界、木材業界の発展に貢献する。<住友林業>
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