心筋梗塞になったのは4年前。東日本大震災の翌年のことだった。胸に激痛があり、救急車で搬送され命を救ってもらった。まさか自分が、と戸惑った。東北の被災者に対し同情があったが、どこか他人事であった自分が、命の瀬戸際までいった。それからはいろんな風景の見え方がちがう。いつか自分にも終りが来ると、今は実感できる。予告なく突然くるその日まで、一日一日充実させようという気持ちになれた。これは家族といえども健康な人には分かってもらえない。仕方がない。幼い娘には言葉ではなく、日々の過ごし方で示せればと思っている。
出水市 山下秀雄 2016/8/16 毎日新聞鹿児島版掲載
出水市 山下秀雄 2016/8/16 毎日新聞鹿児島版掲載