世の中にはいろんな卒業があるものだ。「東京卒業」。30年前だったか、あるドラマで主人公がつぶやく言葉だったと思う。都会に疲れて夢半ばで故郷に帰ろうと考えていた、若き日の自分にびったりあてはまった。
「酒卒業」。これはまだまだ私にはできそうにない。
「黒髪卒業」。今年の3月ごろ、美容室前の道路にずらりとのぼり旗が立っていた。高校を卒業する人たちへ染髪をすすめる広告なのだろう。さあこれからおしゃれをと考えている子たちへのメッセージ。なかなかうまいなと思った。そもそも、こちとら「髪の毛卒業」なのだが。
鹿児島県出水市 山下秀雄(53) 2022.7.20 毎日新聞鹿児島版掲載