はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

病気に負けないで

2017-06-01 21:03:24 | はがき随筆
 パーキンソン病の病名が判明したのは数年前のこで、義兄は病名が判明するまでに病院を何軒も訪れた。
 筋肉の収縮の働きが悪い難病。「歩」の第一歩を自らの力で踏み出せず、健康的な真の姿がよみがえる日に夢や望みを掛けた。
 やがて27年間の闘病、在宅介護にピリオドを打った。後を追うように姉も半年後にすい臓がんで生涯を閉じた。
 4分の1世紀にわたりパーキンソン病のため命を削られた。悲痛でふびんな五体の数年間を見守った姉とめいには深くありがとうの例を贈りたい。

  加治木町 堀美代子 2017/5/27 毎日新聞鹿児島版掲載

小さな横綱

2017-06-01 20:56:07 | はがき随筆
 生来弱体の私は3歳まで生きられるかと医者から言われ、母が懸命に育てて今の私がある。それだけに、我が子が生まれる度に健康でと祈ったものだった。幸い子供たちは小柄ながらも健やかに成長し、妻似のたくましい母親になり、子育てに奮闘中である。近く3歳になる孫は小柄なため娘は案じているが、妻は小さく産んで大きく育てとエールを送る。過日、娘からメールが届いた。稀勢の里の奉納土俵入りのテレビを見た孫は、食卓の上で雲竜型の土俵入りをまねている。様になっている姿がほほえましく、人生の横綱をつかんでほしいと思う。
  出水市 宮路量温 2017/5/26 毎日新聞鹿児島版掲載