はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

娘からのメールに

2011-02-10 15:34:03 | 女の気持ち/男の気持ち
 「園のおばあちゃんが亡くなって今夜はお葬式だよ」
 「そう。大変なお仕事だね」「亡くなるのは寂しいし悲しいし大変なことが多いけど、お世話してると皆かわいいよ。手がかかる人ほどかわいいよ。人生の最後を看取る事ができて家族の人に感謝されて、やって良かったと思えるよ」
 特別養護老人ホームで介護福祉士をしている娘とのメールのやりとりです。
 職員の皆さんはきっと娘と同じ気持ちでお年寄りに接してくださっていて、家族の方々にもその気持ちが通じていることでしょう。
 娘は脳梗塞で寝たきりだったおじいちゃんと小さい時から一緒に生活していました。
 「小さい時にはおじいちゃんに何もしてあげられなかったけど、おばあちゃんや、先々お父さんたちの介護もちゃんとしてあげられるようになったから安心してね」と言ってくれます。
 職場ではそんな気持ちを持った沢山の介護職員の皆さんが働いてくれているに違いありません。利用者の皆さんや家族の方の思い通りにできないことは多々あると思います。高齢化社会のなかでさまざまな問題が起きています。私もいずれは施設の御世話になって介護を受けたり、その家族の立場になったりするでしょう。その時には職員の皆さんに感謝の気持ちを持って接していきたい。そう思わせてくれた娘のメールでした。
  垂水市 宮下康 2011/2/10 毎日新聞の気持ち欄掲載

旅の抄その3

2011-02-10 15:29:32 | はがき随筆
 「野菜、果物は自給。リンゴだけは輸入。失業者が多く、公務員の給料は安く、学校に行けない子どもが多い。貧しい人々の住まう所……」と、エジプトの現状を包み隠さず話し、見せてくれた。
 日本の現状も、きちんと把握していた。
 ガイドを通して、接する人々との親善を目指している気配が感じられた。
 バスからムバラク大統領の写真が見えた。「彼は世襲制をもくろんでいるのではないかと私は心配しているんだ」と言った彼の言葉を思い出している。
  鹿屋市 伊地知咲子 2011/2/10 毎日新聞鹿児島版掲載