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産業毎の品質保証第15回

2014年05月16日 | Weblog
化粧品分野の品質保証(続)

 化粧品業界の市場は流行の変化が激しい。このため、ファッション感覚に優れる顧客の心を掴む新素材や機能訴求型の商品が求められると共に、世代各層のニーズに対応した商品開発が求められる。時代の変遷と共に、生活者のライフスタイルも変化し、男性用化粧品も需要を伸ばしている(2012年男性化粧品の市場規模*15)は1008億円で、前年の1.3%増)。

 相俟って、『流通販売チャネルもカウンセリングによる特約店での「制度品販売」や「訪問販売」に加え、ドラッグストアなどでのセルフ型商品の「一般品販売」、情報通信の発達による「通信販売」、美容院やホテル向けなどの「業務用販売」と多様化している。

 外資系や他産業*16)からの参入も多い。フランスやアメリカの外資系メーカーは、高級ブランド品を主に百貨店で販売し、製薬会社からの参入では、つながりの強いドラッグストアを販路にしている。わが国の化粧品大手各社は、成就化した国内市場から海外市場に販路や生産拠点を拡大し、販売を強化している』。特に開発途上国では、品質保証の点でわが国の化粧品のブランド力は大きな武器となっていると考えられる。

 化粧品分野の品質保証の前提として「薬事法」がある。その薬事法における化粧品の定義は『人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、または皮膚もしくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう』とある。これは、『メーカーが化粧品を開発、製造、販売するうえで品質、有効性、および安全確保の基本となるものである。化粧品は人体の皮膚、頭皮などに直接作用させる方法で使用されるため、品質保証項目は重要な条件として管理しなければならない』。

 一方、『化粧品は新製品依存の高い業種であるため、市場ニーズや同業他社の動向の把握から1つの商品を生み出すまでの期間をできるだけ短くすること、すなわち短期間での新製品開発の実現が重要である。・・・』このような業界の競争環境は、新しい製品開発への活力ではあるが、検証不十分な製品を市場に出すリスクも抱えている。

 化粧品分野における品質保証の特徴を「ガイドブック」は次のようにまとめている。

 『品質保証項目として、①「安全性」(刺激性・毒性)、衛生性(防腐、防かび試験・微生物汚染度試験など)、②「安定性」(色調・匂い・物理化学安定性・主剤安定性など)、③「使用性」(美容テスト・官能テストの使用試験など)、④「有用性」(製品別各種効果試験など)の製品そのものへの保証に加え、容器外装保証がある。それは、①「バルク(化粧品そのもの)保護」(耐光性・透過性など)、②「材料適正」(耐薬品性・耐腐食性・耐光性など)、③「機能性」(物理的機能・人間工学的機能など)、④「使用上の安全性」(使用環境・使用方法など)、⑤「対環境」(廃棄処理の容易性。廃棄上の安全性など)、⑥「表示」(薬事法・消防法・不当景品法および表示防止法などへの適法表示)。

 以上を受け、生産部門では化粧品GMP(Good Manufacturing Practies)*17)とISO9000sを融合したマネジメントシステムにより、量産化工程設計と監視、改善を繰り返し、よりよい製品供給を行う。・・・』としている。




 *15)業界全体の市場規模は1兆7,608億円、直近5年間は平均年-0.45成長(平成24-25年版 業界動向SEARCH.COM)
 *16)国内では花王がカネボー化粧品を傘下(2006年2月)にして参入したし、富士フィルムは写真フィルムの研究で培ってきた技術が化粧品に生かせると参入(2006年秋)した。
 *17)製造管理および品質管理に関する技術指針で、1981年に日本化粧品工業連合会の自主基準としてまとめたもの。主に次の3つを要件としている。①混同、手違いによる人為的な誤りを最小限にする。②製品に対する汚染および品質低下を防止する。③高い品質を保証するシステムを構築する。この化粧品GMPは2007年にISOにおいて新たに規格化されている。by「ガイドブック」

 本稿は、(社)日本品質管理学会編2009年日科技連刊“新版品質保証ガイドブック” (文中「ガイドブック」と略称)第Ⅳ部第19章「化粧品分野の品質保証」を参考にし、『 』内は直接の引用です。
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