埼玉知事選から見えるもの
埼玉県人でもないけれど、与野党対立知事選挙ということで結果は気になった。自民党が擁立したのはスポーツコメンテーターの元ヤクルトのプロ野球選手。TBSの「ひるおび」で拝見したことがあったがプロ現役時代のことは記憶に薄い。テレビでのコメントは印象の悪いものではなかったが、急に知事にと言われても翔んで埼玉県人の多くも首をかしげたのかもしれない。一方野党候補は、元官僚で前参議院議員、前知事の路線継承という。どちらが保守で、どちらが革新かわからないけれど、それにしても投票率が前回より5ポイント以上がっても32%程度とは淋しい限り。
今回の与党候補は、県連が推したのかどうか知らないけれど、東京都知事選など結構都連と本部自民党の意見が異なり、結果自民候補は落選が多かった印象がある。候補者は自民党公認となれば選挙費用も出るし、当選確率も上がると喜ぶのだろうが、東京や埼玉では強い自民党支持層はそれほど厚くないのでないか。
元々自民党は地民党で、農家のように地べたを資産とする人々、そして事業者、大企業まで。要は資本家の党なのだ。継ぐべき地べたもなく地方から上京し、安アパートでバイト暮らしの人々に豊かさの恩恵は伝わり難い。無党派層の多い都会の選挙では自民党公認は当選保証にはならない。
地民党と言えば、小野党を渡り歩く元自民党の幹事長さんなどは筋金入りで、どこの党に居ろうがその選挙手法は変わらない。民主党での政権交代時には、子供手当、高速道路無料化に加えて農家への戸別補償を謳い、自民党の新たな農政に付け込んだ。結果、昔自民党の票田だった地方票を民主党支持に変えた。後は知らない責任は取らない。国民民主党に潜り込んでも参院選で同じような公約を並べていたことでも分かる。
来年は東京都知事選がある。自民党二階幹事長は現職を推すようなコメントを出していたけれど、彼女は当時の石原(伸晃)都連会長が党内から候補者を募った際には手を挙げず、都連が候補を擁立してから自民党を蹴飛ばして立候補した。それが却って功を奏した。その前の舛添さんの時には、元々自民党を離党していたのに自民党が推した。党内には当然に筋が通らないと不満があったが推薦候補の勝つことを優先した。結果任期中に地金を晒して辞職に追いやられた。
仁義に反するようなことはやるべきではない。二階幹事長は「当選できる候補者が居ないではないか」と言っていたが、人を育てず行き当たりばったりの候補者選びは政権政党の本来の姿から遠い。私など岡目八目で言えば、ここは前都連会長の石原伸晃さんが立つべきと思う。総裁になれないなら、一議員や閑職大臣で終わるより首都の知事で力を発揮する方がいい。お父さん(慎太郎氏)の跡を継ぎ都知事になれば、喜ぶ都民も多いだろう。
自民党は国政選挙6連勝で本当に勝っているつもりかもしれないけれど、1強などと安定政権のつもりだろうが、人を育てない組織は続かない。組織はトップの器に従うものだ。