国防
私は、現政権が発足する先の衆議院選挙の前後から、政権交代のリスクを本エッセーで幾度も強調した。大災害はいつ起こるかもしれず、寄せ集めの民主党政権では的確な対応が困難であるという予測である。私の危惧は不幸にも的中してしまった。それは国防にもつながる。
現在、約70%の国民は、このような時に首相交代論はおかしいと考えているという世論調査結果があるけれど、衆愚政治という言葉がある通り、世論がいつも正しいとは限らない。このような時にこそ国家のトップリーダーは非常に重要であることは論を待たない。西岡参議院議長の言われる*21)通りなのだと私も考える。
首相は浜岡原発を止めることを要請し、中部電力は従った。それは、明日東海大地震が起こり、福島原発の同様の事態が起こることを想定したためと説明された。一部に近隣の横須賀米軍基地を守るため、米国からの強硬な申し入れがあったためとも聞くけれど、浜岡原発停止は、そこに至るプロセスに疑問符は付くもののほとんどの国民の賛同を得た。
その結果は期せずしてかどうかは知らないが、「要するに原発は津波に弱いのだ」との国民への刷り込みのダメ押しに成功した。今回の福島原発の初期対応における東電と官邸関与の不手際が当面覆い隠されることになった。もし、初期対応が最善に行われてのこの事態であるなら、日本の原発は1基も動かすことはできないのではないか。今回の津波の大きさを想定外と言うなら、想定外のリスクは津波だけではなかろうと思うからである。
今回の事態では、官邸は米国等の協力を取り付けることの窓口や状況に応じて住民避難の対応として機能し、後は電力会社の技術者の対応に全てを任せて、結果責任だけを取ることを明言すれば良いことだった。原発そのものは、確かに廃棄物処理などに困難な問題は山積しているけれど、その本質的な問題と今回の事故対応は分けて考えないといけない。当面地震にも津波にも耐え得る能力を備えているかもしれない。
原子力に詳しい自分が現場を視察するとのパフォーマンスがベントのタイミングを誤らせたとの疑念を抱かせ、今は「私は原子力の専門家ではない」と言い、また「海水注入する報告さえ受けて居ない自分が中止させることはあり得ない」と国会で押し問答をしていた*22)けれど、東電に押し掛けて何らかのアクションをしたならば、この事態に至ったことに無罪と言うことはあり得ない。
テレビによく登場する某評論家氏は、国会で首相の言った言わないをやり玉に挙げるのでなく、与野党で復興についての議論を高めるべきだと、逆に首相を追及する野党党首を批判していたけれど、明日東海地震が来るかもしれないと浜岡原発を止めたということは、今回の震災に匹敵する国難が別の形でさえいつ起きてもおかしくないということではないのか。その時に現政権で日本は大丈夫と、当の評論家氏は考えているのだろうか。正論を口にしているつもりだろうが、結局国家のことなど全く考えていない発言に思える。
近くに居る者さえ見限る首相であれば、一刻も早く替えることが国難に対応する第1の方策ではないのか。勿論民主党の一部議員の小沢氏待望論は論外で、軽い神輿の傀儡政権は願い下げなのだけれど。
震災に同情を寄せ、被災国民の道徳心の高さを賛美さえする国際社会の中でさえ、この機に韓国さえ巻き込んで*23)北方四島に実効支配を強め、10万人の自衛官を災害対策に送り込んだ間隙に、その防衛体制を伺う隣国もある。
国の防衛は、国民の生命財産を守る政府の最重要の任務だ。原発対応の住民避難さえ後手後手の現政権に、万一某国の工作部隊がわが領土である島嶼にでも侵入してきた時、周辺島民の安全確保と毅然とした討伐作戦を指揮できるとは考えにくい。
政治とは見えない部分で他国の要人や自国のアウトローまで、網の目のようなネットワークを築いていることで、有事にここを押せばここまでが動き、これだけの仕事ができると算段できることである。仮設住宅の建設さえ遅滞する現政権に我が国の防衛は任せられない。
*21)5月20日、読売新聞朝刊への西岡参議院議長の寄稿文による
*22)5月26日、東京電力は、海水の注入は所長の独自判断で継続され、当初伝えられた注入の一時中止はなかったと発表した。
*23)ロシア、イワノフ副首相ら5閣僚は15日、日本政府の中止要請を無視する形で東日本大震災の発生後、初めて北方領土の国後島と択捉島を視察。5月24日には、韓国の国会議員3名国後島上陸。☆産経Webニュース☆
私は、現政権が発足する先の衆議院選挙の前後から、政権交代のリスクを本エッセーで幾度も強調した。大災害はいつ起こるかもしれず、寄せ集めの民主党政権では的確な対応が困難であるという予測である。私の危惧は不幸にも的中してしまった。それは国防にもつながる。
現在、約70%の国民は、このような時に首相交代論はおかしいと考えているという世論調査結果があるけれど、衆愚政治という言葉がある通り、世論がいつも正しいとは限らない。このような時にこそ国家のトップリーダーは非常に重要であることは論を待たない。西岡参議院議長の言われる*21)通りなのだと私も考える。
首相は浜岡原発を止めることを要請し、中部電力は従った。それは、明日東海大地震が起こり、福島原発の同様の事態が起こることを想定したためと説明された。一部に近隣の横須賀米軍基地を守るため、米国からの強硬な申し入れがあったためとも聞くけれど、浜岡原発停止は、そこに至るプロセスに疑問符は付くもののほとんどの国民の賛同を得た。
その結果は期せずしてかどうかは知らないが、「要するに原発は津波に弱いのだ」との国民への刷り込みのダメ押しに成功した。今回の福島原発の初期対応における東電と官邸関与の不手際が当面覆い隠されることになった。もし、初期対応が最善に行われてのこの事態であるなら、日本の原発は1基も動かすことはできないのではないか。今回の津波の大きさを想定外と言うなら、想定外のリスクは津波だけではなかろうと思うからである。
今回の事態では、官邸は米国等の協力を取り付けることの窓口や状況に応じて住民避難の対応として機能し、後は電力会社の技術者の対応に全てを任せて、結果責任だけを取ることを明言すれば良いことだった。原発そのものは、確かに廃棄物処理などに困難な問題は山積しているけれど、その本質的な問題と今回の事故対応は分けて考えないといけない。当面地震にも津波にも耐え得る能力を備えているかもしれない。
原子力に詳しい自分が現場を視察するとのパフォーマンスがベントのタイミングを誤らせたとの疑念を抱かせ、今は「私は原子力の専門家ではない」と言い、また「海水注入する報告さえ受けて居ない自分が中止させることはあり得ない」と国会で押し問答をしていた*22)けれど、東電に押し掛けて何らかのアクションをしたならば、この事態に至ったことに無罪と言うことはあり得ない。
テレビによく登場する某評論家氏は、国会で首相の言った言わないをやり玉に挙げるのでなく、与野党で復興についての議論を高めるべきだと、逆に首相を追及する野党党首を批判していたけれど、明日東海地震が来るかもしれないと浜岡原発を止めたということは、今回の震災に匹敵する国難が別の形でさえいつ起きてもおかしくないということではないのか。その時に現政権で日本は大丈夫と、当の評論家氏は考えているのだろうか。正論を口にしているつもりだろうが、結局国家のことなど全く考えていない発言に思える。
近くに居る者さえ見限る首相であれば、一刻も早く替えることが国難に対応する第1の方策ではないのか。勿論民主党の一部議員の小沢氏待望論は論外で、軽い神輿の傀儡政権は願い下げなのだけれど。
震災に同情を寄せ、被災国民の道徳心の高さを賛美さえする国際社会の中でさえ、この機に韓国さえ巻き込んで*23)北方四島に実効支配を強め、10万人の自衛官を災害対策に送り込んだ間隙に、その防衛体制を伺う隣国もある。
国の防衛は、国民の生命財産を守る政府の最重要の任務だ。原発対応の住民避難さえ後手後手の現政権に、万一某国の工作部隊がわが領土である島嶼にでも侵入してきた時、周辺島民の安全確保と毅然とした討伐作戦を指揮できるとは考えにくい。
政治とは見えない部分で他国の要人や自国のアウトローまで、網の目のようなネットワークを築いていることで、有事にここを押せばここまでが動き、これだけの仕事ができると算段できることである。仮設住宅の建設さえ遅滞する現政権に我が国の防衛は任せられない。
*21)5月20日、読売新聞朝刊への西岡参議院議長の寄稿文による
*22)5月26日、東京電力は、海水の注入は所長の独自判断で継続され、当初伝えられた注入の一時中止はなかったと発表した。
*23)ロシア、イワノフ副首相ら5閣僚は15日、日本政府の中止要請を無視する形で東日本大震災の発生後、初めて北方領土の国後島と択捉島を視察。5月24日には、韓国の国会議員3名国後島上陸。☆産経Webニュース☆