品質保証システムの構築と改善
「品質保証を効果的・効率的に実践するためには、「市場調査・企画」から「回収・廃棄・再利用」に至るプロセス別の品質保証を個々に工夫・改善するだけでは不十分で、相互のつながりを考えて全体を設計・運営し、そのパフォーマンスを評価して、必要な改善を行うことが必要となる」。ガイドブック第Ⅱ部の最終章は、「品質保証システムの構築と改善」である。
その役割をガイドブックは、「個々のプロセスの役割を認識したうえで、全体として品質保証を効果的・効率的に実践するためのシステム(体系)を考え、その最適化を図る」ことであるとし、重点活動を、「①品質保証システムの構築・運営、②品質保証システムの評価・改善」として、その詳細な解説を行っている。また、品質保証システムの構築と改善におけるISO9001の活用触れている。
まさに私などが、品質保証をシステムとして捉え学んだのは、90年代の初頭にISO9000対応が最初であった。ここで、自社の品質保証システムを第三者に理解してもらうための鳥瞰図として、品質保証体系図があることを知った。また、その作成を通じて、本社機能と工場各部署の役割のつながり、部署間のインターフェイス(業際)の在り方、情報のフィードバックの大切さ等を知り、その運用の徹底の重要性を体験した。ISO9000では、単に業務システムをきれいな図面で示すだけでは何にもならず、その通りに業務が成されていることを、エビデンス(証拠)で示す必要があったからである。
一方、ガイドブックにも触れているけれど、ISO9000は「競争力のある製品・サービスの提供という点では限界があることに留意しなければならない」。それは、ISO9000が顧客に直接見えたり感じたりできる製品やサービスそのものを評価するものでなく、顧客が見ることのできない品質保証プロセスを顧客に代わって確認するものであるからである。
確かに、魅力ある製品・サービス作りという観点では、別のスキルが企業に求められる。しかし、より多くの顧客が引き続いて自社の製品・サービスを愛用してくれるためには、信用第一である。お客さまの見えない部分までしっかりと品質保証することが基本であることに変わりはない。その意味で、品質保証システムの構築やその改善にはISO9000を活用することが便利である。
ただ、私は中小企業の経営者の方々に、ISO9000の取得そのものはお勧めしていない。重要な取引先からの要請があれば別だけれど、従業員20名に満たない所謂小規模企業では、コスト的にも人材面からも負担が大きいように思うからである。しかし、ISO9000の考え方、そのエキス分は十分に有益であり、自社の管理に取り入れることはお勧めする。一方で日本的品質管理の真骨頂というべきTQC(=TQM)については、小集団活動や改善提案活動という形で、大いに推奨させて貰っている。
品質保証のプロセスでは、そのプロセスを定義し、作り込み、確認し、処理する効率のよいシステムを構築することを求められるが、それが成果をあげるためには、運用する人に掛かっていることを忘れてならない。教育・訓練が重要なことは勿論、個々人が人間としての気高さを忘れてなるまいと思う。
本稿は (社)日本品質管理学会編2009年日科技連刊“新版品質保証ガイドブック”(「ガイドブック」と略称)第Ⅱ編第14章を参考にしています。
「品質保証を効果的・効率的に実践するためには、「市場調査・企画」から「回収・廃棄・再利用」に至るプロセス別の品質保証を個々に工夫・改善するだけでは不十分で、相互のつながりを考えて全体を設計・運営し、そのパフォーマンスを評価して、必要な改善を行うことが必要となる」。ガイドブック第Ⅱ部の最終章は、「品質保証システムの構築と改善」である。
その役割をガイドブックは、「個々のプロセスの役割を認識したうえで、全体として品質保証を効果的・効率的に実践するためのシステム(体系)を考え、その最適化を図る」ことであるとし、重点活動を、「①品質保証システムの構築・運営、②品質保証システムの評価・改善」として、その詳細な解説を行っている。また、品質保証システムの構築と改善におけるISO9001の活用触れている。
まさに私などが、品質保証をシステムとして捉え学んだのは、90年代の初頭にISO9000対応が最初であった。ここで、自社の品質保証システムを第三者に理解してもらうための鳥瞰図として、品質保証体系図があることを知った。また、その作成を通じて、本社機能と工場各部署の役割のつながり、部署間のインターフェイス(業際)の在り方、情報のフィードバックの大切さ等を知り、その運用の徹底の重要性を体験した。ISO9000では、単に業務システムをきれいな図面で示すだけでは何にもならず、その通りに業務が成されていることを、エビデンス(証拠)で示す必要があったからである。
一方、ガイドブックにも触れているけれど、ISO9000は「競争力のある製品・サービスの提供という点では限界があることに留意しなければならない」。それは、ISO9000が顧客に直接見えたり感じたりできる製品やサービスそのものを評価するものでなく、顧客が見ることのできない品質保証プロセスを顧客に代わって確認するものであるからである。
確かに、魅力ある製品・サービス作りという観点では、別のスキルが企業に求められる。しかし、より多くの顧客が引き続いて自社の製品・サービスを愛用してくれるためには、信用第一である。お客さまの見えない部分までしっかりと品質保証することが基本であることに変わりはない。その意味で、品質保証システムの構築やその改善にはISO9000を活用することが便利である。
ただ、私は中小企業の経営者の方々に、ISO9000の取得そのものはお勧めしていない。重要な取引先からの要請があれば別だけれど、従業員20名に満たない所謂小規模企業では、コスト的にも人材面からも負担が大きいように思うからである。しかし、ISO9000の考え方、そのエキス分は十分に有益であり、自社の管理に取り入れることはお勧めする。一方で日本的品質管理の真骨頂というべきTQC(=TQM)については、小集団活動や改善提案活動という形で、大いに推奨させて貰っている。
品質保証のプロセスでは、そのプロセスを定義し、作り込み、確認し、処理する効率のよいシステムを構築することを求められるが、それが成果をあげるためには、運用する人に掛かっていることを忘れてならない。教育・訓練が重要なことは勿論、個々人が人間としての気高さを忘れてなるまいと思う。
本稿は (社)日本品質管理学会編2009年日科技連刊“新版品質保証ガイドブック”(「ガイドブック」と略称)第Ⅱ編第14章を参考にしています。