中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

経営のこと、政治のこと、社会のこと、趣味のこと、人生のこと

AIとは何だ 第10回

2018年10月28日 | ブログ
AIに期待すること

 50歳で外資系の関連会社に出向になった。元の職場からは、マネージャークラスの人材が求められているというのが転出理由であった。そもそも職場内の人事に関する件で、上司には意見を述べていたことが癪に障っての放出で、出向先の転入者合同歓迎会で所長からは私に対する歓迎の言葉はなく、職場に未だマネージャー不在を詫びる言葉があったのみだった。

 要は適材適所の人事ではなかった。それを分かっていてやる上司も上司だが、彼は結局50代半ばで会社を去っていった。一方私は一応定年までほぼ9年間を英語ができないまま外資系企業で勤め上げ、物流管理では年間1億円以上のコストダウンを達成し、本社の英国人の財務部長が工場に来たときにはファーストネームで呼ばれ、握手を求められたりした。

 当該外資系企業においては特に少なくとも英語くらいは話せないと、マネージャーにはしない。マネージャーになど成らなくて良かったのだけれど、業績に対する評価は、いかに企業価値の増大に貢献したかを基準にするべきで、語学力はそのためのツールでしかない。ここらあたりも目的と手段の取り違いがあるのだけれど、要は報酬はやるべく少なくしたい理由づけとして分かりやすい査定条件に前提を付けただけ。もっとも英語力は彼らにとっては仲間内のコミュニケーションに必須のツールだからその能力は外せない。

 その後、ユニクロや楽天が英語を社内公用語とすると宣言するなど、国内企業にもそんな気運が高まったけれど、ここに来てAIの進歩で、簡単なアプリでどこの国の人とでも普通に会話できる世の中となれば、語学力は能力として他人と差別化する大きな要素と成り難くなる。英語は話せなくとも、それぞれが持つ能力を十二分仕事に発揮すれば企業価値を高められるわけで、英語を話せない社員をそれだけで排斥する公用語構想は、企業の戦略としてそもそも間違っていた。 

 東京オリンピックまでに自動翻訳会話ソフトがどこまで発達するか知らないけれど、普通の人が訪日客と普通に会話できれば、さらに友好は深まる。

 AIはIOTとの組み合わせで、社会インフラコストなどを大幅に低減させる可能性を持つ。エネルギーのさらなる効率化で、資源・エネルギー問題や二酸化炭素排出量削減にもつながるであろう。

 AIが高度に発達した社会が、人権を無視した監視や権力者、資本家の権力や富を増幅させる手段だけでなく、人類の真の幸福につながることを願うばかりだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AIとは何だ 第9回

2018年10月25日 | ブログ
今の人工知能でできること(下)

 現在、世界の自動車メーカーは電気自動車や水素燃料車の開発さらにAIによる自動運転車の開発競争で凌ぎを削っているようだ。

 自動運転と聞くと、鉄道の自動運転化が嚆矢のようで、航空機にしても船舶にしても航行中の多くは自動運転化されているようだ。

 鉄道車両はレール上しか走れないからモニター管理が容易で、これまでの技術で実現可能であったと思われる。現在でも東京の「ゆりかもめ」はじめ地方でも市中を走るモノレールなど自動化されているところは多い。東京の山手線にも自動運転化の計画があるようで、地下鉄も続くのではないか。生産年齢世代の減少が著しいわが国では、路線バスの運転手や貨物トラックの運転手は人手不足が深刻な状況のようだ。貨物輸送なども、倉庫を自動化して高効率化しても配達するトラックの手配が間に合わない。

 AIがそれほど発達していない時点で、そこそこ進展していた乗り物の自動運転化。囲碁や将棋で人間を凌駕したディープラーニングを活用すれば、一般乗用車の実用化も真近い。まずタクシーや貨物トラックの運転手の代替が進めば、人手不足だけでなく、運転手の過労からくる高速道路の追突やタクシー強盗など事故や人が傷つく犯罪の減少にも貢献する。

 自動運転車には4つのレベルがある。レベル1は、加速・操舵・制動のいずれかの操作をシステムが行うもの。レベル2は加速・操舵・制動のうち複数の操作を一度にシステムが行うもの。レベル3は加速・操舵・制動をすべてシステムが行い、システムが要請したときにのみドライバーが対応するもの。レベル4は加速・操舵・制動をすべてシステムが行い、ドライバーが全く関与しないもの。

 自動ブレーキや速度を一定に保つなどはレベル1、高速道路で、車間距離や速度を保つのはレベル2である。レベル3についてもすでに一部実用化されており、レベル4は試験走行の段階ではあるが、技術的には公道を走ることができるレベルに達しているそうだ。

 自動運転技術は、ドローンにも生かされ、その活躍できる領域が、物流や農業だけでなく、治安維持などへも進展するであろう。


本稿は、三津村直貴著「AIビジネス入門」成美堂出版、2017年9月刊を参考にしています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AIとは何だ 第8回

2018年10月22日 | ブログ
今の人工知能でできること(中)

 画像認識と同様にディープラーニングが得意な音声認識でも実用化が進んでいる。電子機器は人の声による指示で動くようになってきた。IBMが開発したWatson(質問応答システム・意思決定支援システム)はすでに多くの所で活躍しているそうだ。(Web「IBM Watson」参照)

 またソフトバンクのPepper(ペッパー:人型ロボット)は、人口知能が人間の声を参考にその合成によって自分の声を手に入れたことで、自分の感情を声で出来るようになっているそうだ。「変なホテル」の登場も画像(顔)認証技術との組み合わせで誕生したようだ。

 『「変なホテル」は先進技術を導入し、ワクワクと心地よさを追求した世界初のロボットホテルです。フロントでは多言語対応のロボットたちがチェックイン・チェックアウトの手続きを行い、クロークではロボットアームが荷物を預かります。

 どこか温かみを感じるロボットたちとの楽しいひとときに、心をくすぐられることでしょう。更に、客室前で顔認証をすれば、その後はまさに顔パス感覚。鍵の持ち運びのわずらわしさ、紛失の不安から解消されます。

 「変」には「変化し続ける」という意思が込められ、目指すは、常識を超えた先にある、かってない感動と快適性。「変なホテル」へのご宿泊の皆さまを未体験のサプライズで一足先の未来へいざないます。』

 もっとも最新の情報では、最初に変なホテルとしてロボットを導入し、そのことでギネスにも登録された長崎ハウステンボスのホテルでは2015年の開業時6種類82体を導入しており、その後27種類243体まで増やしていたが、先月になって16種類85体まで減らしたそうだ。

 パソコンが一般の社員に行き渡るようになった時代、事務所に溢れたパソコンを整理する企業が現れた現象に似ている。

 性能が悪いロボットではサポート役の従業員が必要になり、またメンテナンスの手間も増えて必ずしも効率的で無いという現実に直面したそうだ。

 先述のWatsonは試験的であるが、大学で教授のもとでその講義をサポートし、学生からのメール対応や質問への回答を担当し、学生から人工知能であることを気づかれなかたという。

 また銀行では、音声認識システムをコールセンターに導入することで、オペレータが顧客の話を聞いている間に先回りして問い合わせの情報を収集するのだという。

 いずれにしてもどんどんと活躍の場を広げ、またその精度も急速に上がってゆくのであろう。



本稿は、三津村直貴著「AIビジネス入門」成美堂出版、2017年9月刊を参考にしています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AIとは何だ 第7回

2018年10月19日 | ブログ
今の人工知能でできること(上)

 人工知能の仕組みは知らなくても、現代ですでに実用化されている人工知能による技術は巷でも有名で、私なんぞがここで紹介するのは僭越至極なのだけれど、「AIとは何だ」と始めた話の流れ上触れないわけにはゆかない。

 まず、お隣の大国で活用されて有名な「監視カメラ」がある。日本の交番に貼り出している指名手配の凶悪犯は、日本でもこの監視カメラが普及すれば用無しになるだろう。犯罪者を見つけ出すのにはめっぽう便利なようで、お隣の国では民主化運動家など、現政権に不都合な人物の行動を監視することが主目的なような趣があるところは、胡散臭い使われ方だ。

 中国人の方で、日本で評論家として活躍されている方は、民主主義のスタンスで話をされているので、中国への里帰りは怖くてできないようにテレビで話されていた。空港の到着ロビーの監視カメラに引っ掛かって一発アウト。当局に連行される羽目になる懸念が濃厚なのであろう。

 国際機関のトップを務める中国人の高官でさえ、中国に一時帰国すると途端に身柄を拘束され、国際機関に断りもなくその任が解かれる国だ。そのように恐ろしい国へ日中友好(どこが友好だったのか)40年だとか何とか理由を付けて勇んで訪中予定の内閣総理大臣もいる。先方がわが国に微笑むのはトランプ大統領健在の間。米民主党などの中国が御しやすい大統領に代わった途端、袖にされるのは目に見えている。

 米国で活動していたサウジアラビアのジャーナリストがトルコのサウジアラビア総領事館に結婚の届け書類を取に入ったまま出てこなくなった。彼はサウジアラビア政府に批判的発言をしていたため拷問の上殺害されたとの推測がもっぱら。

 わが国だって、先の総裁選での安倍派自民党議員の対立候補へのパワハラは、マスコミ向けとさえ見えたものだ。技術は進んでも人間の情念は変わらないものだが、権力を握った者が、反対者を封じ込めるのはここに来て世界的な潮流で、人権とか自由・民主、思想・発言の自由などが制約される時代となっている。

 もっとも、この国の野党のようにリベラルかどうか知らないが、9条改正や安保法制反対で、米軍基地反対。そのくせ軍備は削減。原子力発電反対、福祉拡大、各論はそれぞれ成り立つようで、それらを繋ぎ合わせると、国家としての存続まで危うくさせる非論理となる。そんな政策を掲げて国会で政府を追及するは、言論の自由とは異なる次元の単なる幼児性。

 話が相当本分から逸れた。AIの画像認識能力の向上は、監視カメラだけでなく、医療にも貢献する。レントゲンやCTスキャンなど医療検査機器には多くの画像が用いられているが、すでにこれらの画像解析から、人工知能は平均的な医師よりも高い確率で病気を発見できるようになっているという。



本稿は、三津村直貴著「AIビジネス入門」成美堂出版、2017年9月刊を参考にしています。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AIとは何だ 第6回

2018年10月16日 | ブログ
ディープラーニング

 人工知能まで行かなくとも、コンピュータは人類に多くの利便性を与えてきた。鉄道などの切符の予約手配など、昔は盆暮の混雑時には、1週間前に徹夜で並んで指定席を手に入れたりしていたものだ。テレビゲームも家庭用の安価な小型機で遊べるようになったし、銀行のATM、企業の経営システム支援ソフト、インターネットと便利な世の中だ。

 さらにここにきて、囲碁や将棋ソフトはプロを凌駕した。生産年齢人口の減少で、人手不足と言われ、女性も老人も外国人も活用社会だと言っているけれど、コンピュータの進化でエリート業種であった銀行員など、銀行が支店を減らし、窓口業務を減らし社員を減らすため、リストラされる危機に直面している。

 高度な知能が必要と考えられていた職業が、コンピュータ(AI)に席巻され始めた。それもこれも2012年、ディープラーニングを用いた人工知能が画像認識に圧倒的な成果を収めたことに始まるらしい。今や「ディープラーニングとは何か」が「AIとは何か」ということになった。ただディープラーニングはAIの要素技術の一つで、ディープラーニング自体がAIというわけではないそうだ。

 そもそも、ディープラーニング(Deep Learning:深層学習)は囲碁や将棋のコンピュータ化のように、すべてをプログラミングすることの不可能な事案を、機械学習と言って、コンピュータ自身に試行錯誤する能力を与えるものという認識がある。しかし、その仕組みは分からない。本を読んでも、もっとも読みが浅いせいもあるが、専門家に直接説明を聞いてもおそらく理解不能であろう。

 そして、ディープラーニングが画像認識や音声認識に非常に優れる成果を挙げたことで注目されたとは知らなかった。

 人工知能は、人間の脳の研究から始まったようで、人間の神経細胞であるニューロンを機械で再現を試みる挑戦であるそうな。人間の脳はニューロンの巨大なネットワークなのだ。これを模して、ディープニューラルネットワーク(DNN)というパターン認識が可能なように設計したアルゴリズム(計算プログラム)を多層構造化したものが登場したのだ。

 これは、十分なデータ量があれば、人間の関与なしにコンピュータが自動的にデータからその特徴を割り出すことができる。DNNの他、アルゴリズムには局所的な情報の抽象化及び位置普遍性をもたせた順伝播型ニューラルネットワーク(CNN)や音声、動画データのような可変長のデータを扱える中間層に再帰的な構造をもたせた双方向に信号が伝播するニューラルネットワークを利用したアルゴリズム(RNN)が開発されているそうだ。

 機械(コンピュータ)は無機質で、生命体は有機質と異なるようで、生命体であっても、この世に存在する限られた原子の組み合わせでできており、それら原子は、それぞれ原子核の周りを電子がまわっている構造をしている。人工知能の行く先には人工生命の誕生があるのかも知れない。







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AIとは何だ 第5回

2018年10月13日 | ブログ
コンピュータの進化と人工知能

 人工知能の発達に欠かせなかったのが、コンピュータの進化だった。医療においても検査機器・技術の向上が、その進歩を大いに助けるように、コンピュータのハード面の進化は人工知能にとって欠くことのできないものだった。

 人工知能の概念や言葉が生まれたが、当初その期待に反して成果はなかった。膨大なデータ処理を必要とする人工知能にとって、当時のコンピュータ能力では不十分であった。

 1970年マイクロプロセッサが登場する。コンピュータの計算処理装置(CPU)が大幅に小型化高性能化したのである。1980年代に入るとマイクロプロセッサは人工知能黎明期に比べ数百倍の計算能力を持つようになったのである。マイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータの時代となる。

 CPUの進化と併行して、データを保存するHDD(ハードデスクドライブ)も高性能・小型化し、コンピュータに搭載できるようになった。第四世代のコンピュータ*註2)の時代となり、人工知能を身近で研究できる環境が整っていったのである。

 人工知能は第一次ブームの後の冬の時代を抜け、第二次ブームを迎えることになった。データマイニング*註3)が登場(1998年)し、1997年には人工知能Deep・Blueがチェスで世界チャンピオンを破ったのである。

 しかし、さらに人工知能が自律的に物事を学ぶための「機械学習」のためには、より膨大な情報量を処理する能力がコンピュータに求められたのである。

 人間の子供なら簡単に認識できる、例えば猫と言う動物を人工知能に認識させるためには1000万枚もの猫の画像が必要であった。

 このように膨大な情報(訓練データを人工知能に与える)ためには、インターネット(Web)の普及が不可欠であったとされる。

 ビッグデータを収集できるインターネットと機械学習の進化によるディープラーニングの登場で、第三次人工知能ブームが現在進行中なのである。



*註2)第1世代コンピュータが真空菅を使用したもので、1940年代後半~1960年頃のコンピュータ。第2世代コンピュータは真空管に代わりトランジスターを使用した。1960年頃~1960年代後半頃までのコンピュータ。第3世代コンピュータはIC(集積回路)、LSIで構成され1960年代後半~1970年頃のもの。第4世代コンピュータとは1970年頃以降のもので、超LSIが使われている。
*註3)データマイニング(情報採掘)は入力された情報から、有用な関係性を見つけようとするアプローチ。データマイニングは情報の意味を考えず、情報の中に隠れた新しい価値を見つけようとするので、人間では到底発見できないような関連性を見つけ出せる。

本稿は、三津村直貴著「AIビジネス入門」成美堂出版、2017年9月刊を参考にしています。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AIとは何だ 第4回

2018年10月10日 | ブログ
人類の進化と人工知能

 人間の脳の根幹部分は、凶暴なワニなど爬虫類と同様なのだと聞く。この部分がなければ動物は生きてゆけない。馬の赤ちゃんは産まれてすぐに立ち上がり歩く。人間は母親の乳首を吸うことができる。

 本能的行動とは、運動能力であり、見る、聞くすなわち音声や映像認識能力である。続いて言語能力を得た人類は他人との高度なコミュケーション能力を身に着けることによって、社会性と論理的思考力までを手に入れる。論理的思考によって試行錯誤から新たな発見・発明を繰り返し現在までの文化・文明を築いた。

 人工知能は、実は論理的思考能力のある人類が生み出したから、単なるコンピュータの時代から、論理で説明できる計算やパズルを解くことは、普通の人間よりはるかに早く的確に行えるようになっていた。人間にとっても非常に高度な思考の一つである推論でさえ、人工知能は、普通の人間を超えることができた。すなわち多くの事象から共通する法則を見つけ、結論を出す能力は、学習と鍛錬によって養われるが、その思考経路は所詮数学理論で動いている推論装置であったため、複雑な問題であっても人工知能には苦にならなかったそうだ。

 初期の人工知能が期待したほど進歩しなかった原因は、人間には簡単なこと、子供でもできることが機械には非常に難しかったのである。すなわち音声認識・言語能力・運動能力など人間の幼児の段階で可能になるレベルのことが人工知能には大きな課題となった。感覚的能力は人類の長い進化の過程で奇跡的に得られたもので、これを数学的アプローチで再現することは難しいのである。

 現段階のAIは、見かけ上、知能があるように振る舞う特化AIである。囲碁や将棋において対戦相手の手を読み、最適な応手を探して良い手を決めることができる。しかし、このAIは他のことは全くできない。「掃除ができる」「翻訳ができる」「言葉を認識する」「顔を認識する」「ルートを予測する」など現代のAIのほとんどは特化型AIである。

 究極の人工知能とは、特殊な機能面だけでなく人間のような意識があり、人間にできるすべてのタスクをこなすもので、その完成形はまだ見えていないという。





本稿は、三津村直貴著「AIビジネス入門」成美堂出版、2017年9月刊を参考にしています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AIとは何だ 第3回

2018年10月07日 | ブログ
知能とは何か

 AI(artificial intelligence)は人工知能と訳されているが、そもそも「知能」とは何か。人工知能学会や心理学会などが知能の定義に取り組んでいるが、共通見解はまだ存在しないそうである。ただ、1994年に52名の学者が署名し、米国で発表された「Mainstream Science on intelligence」(主流知性科学:インテリジェンスに関する主流の科学)という文書には、次のように定義されているそうだ。『知能とは、論理的思考・予測・問題解決・抽象的思考・複雑な概念の理解・経験から学習する能力などを含む普遍的な知的能力のこと。学校教育や専門的スキル、試験の成績だけで測れるものではなく、「事象を理解する」「言葉の意味を捉える」「どうするべきかを導き出す」といった、周囲の物事について理解するための広く深い能力として現れるもの』(成美堂出版、2017年9月刊「AIビジネス入門」より、著者である三津村直貴氏訳)

 昔からわが国では、仕事をするための能力として、「読み書き、そろばん」と言われてきたが、ただ、書かれた文章を読む、また計算をするだけなら現代ならコンピュータで十分代替出来る。これを知能レベルとするためには、読んだ文章の内容を理解して、必要な行動に移せること、計算の目的を理解し、その結果を検証し、必要な行動に繋げることが必要である。

 また会話にあっては、相手の述べた言葉を理解し、それに対して適切な言葉を返す。また行動で示すことができる。

 人工知能はまさにそこを目指している。さらに人間に限らないが「感情」も知能の大きな要素ではないか。ライオンやトラなどの猛獣は、敵との戦いに恐怖という感情をあまり介さない分、ゴリラなど霊長類に勝るという。

 一方人類に於いては、戦国時代の武将などで、知性に劣れば、恐怖心が少ない分勇敢で良いようだが、事前の準備や戦略面では不十分となりがちで、勝ち残ってゆくことは出来ない。戦闘においてマイナスの知性と思える恐怖心と言う感情が、弛まぬ努力・鍛錬につながり、十分な準備と戦略を生むのである。

 人工知能は、この感情までも手に入れようとしている。勝負事の結果における周囲の反応から敢えて人間に負けることを選んだりするという話を以前テレビで見たように思う。

 人工知能は天使か悪魔かと言われる時、人類が作り上げた高度なロボットが、開発者の人類に対して乱を起こすというSFドラマは昔からある。

 人類の制御がどこまで可能かという命題は、高度な人工知能までゆかずとも核兵器を手に入れた人類には常に付きまとう。人に略奪、詐欺、殺人などの犯罪が絶えないように独裁国家、独裁者、領土・領海・領空さらに宇宙への拡大志向国家もその勢力を伸ばし、長いものに巻かれろ主義の軽率な周辺国家の指導者たちの補完によって拡大する。

 このように神が作った知能さえ欠点だらけである。人間に完璧な知能など永遠に作れるとは思えないのだけれど。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AIとは何だ 第2回

2018年10月04日 | ブログ
進歩の足跡

 人工知能(AI)の概念が初めて提唱されたのは1947年のこと。コンピュータの父と呼ばれるイギリスの天才数学者アラン・チューリング(1912-1954)による。計算機科学のノーベル賞と言われるチューリング賞は彼の名に因むもの。

 「人工知能」という言葉が初めて使われたのは、1956年米国ニューハンプシャー州のダートマス・カレッジで行われたダートマス会議であった。「人工知能」の名づけ親はジョン・マッカーシー(1927-2011)で当時ダートマス・カレッジ准教授であった。

 ダートマス会議(人工知能に関するダートマスの夏季研究会)のメンバーは、ジョン・マッカーシーの他、ダートマス会議の発起人の一人でもあり、人工知能の父と呼ばれるマービン・ミンスキー(1927-2016)、ダートマス会議の発起人の一人であり、情報理論をつくり、デジタル通信(携帯電話)の基礎をつくったクロード・シャノン(1916-2001)、世界初の人工知能プログラムを開発したアレン・ニューウェル(1927-1992)、意思決定の研究から世界初の人工知能プログラムを共同開発したハーバート・サイモン(1916-2001)など計10人だった。彼らは「人間の知能は機械で再現できる」という強い信念のもとさまざまな理論を展開し人工知能のプログラムに取り組んだという。

 ダートマス会議から人工知能の第一次ブームが始まったが、期待が大きかった割に成果は乏しく、停滞期を迎える。その後1970年代に入りコンピュータのハード面の発達もあり第二次ブームとなる。1997年には人工知能Deep Blueがチェスで世界チャンピオンを破るまでになった。しかし、よくできたプログラムだけれど、まだまだ知能とは呼べない。この壁を破ったのがインターネットの隆盛と2010年代に登場したディープラーニング*註1)であった。2016年囲碁の世界のトップ棋士をGoogleのAlpha Goが破ったことは衝撃的だった。現在は第三次人工知能ブームと呼ばれる。

 2020年には無人運転車が実用化される見込みであり、2045年にはシンギャラリティ(人工知能が人間の脳を超える)が起こると言われている。

 冒頭のダートマス会議のメンバー達、ジョン・マッカーシーとマービン・ミンスキー、アレン・ニューウェルは1927生、クロード・シャノンとハーバート・サイモンは1916年生。現代からほぼ1世紀前に生まれた人々によって人工知能は生まれた。100年後人工知能は現代に誕生する人々によってどこまで進歩しているであろうか。



*註1) ディープラーニング:人間の脳のメカニズムの研究から生まれた機械学習(人工知能が自分で学習し、自分自身で精度を向上してゆく技術)手法の一つ。特に画像認識、音声認識に優れている。

本稿は、三津村直貴著「AIビジネス入門」成美堂出版、2017年9月刊を参考にしています。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AIとは何だ 第1回

2018年10月01日 | ブログ
イントロダクション

 ラーメンの「ラー」ってどんな意味?どうして刑事を「デカ」と言うの?サバを読むってなぜ「サバ」なの?普段何気なく使っている言葉の意味をあらためて問われてあたふたとするゲスト回答者に、「ボーっと生きてんじゃねえよ!」と毒つくNHKの番組が好評である。「ボーっと生きてんじゃねえよ」は今年の流行語大賞間違いなしではないか。

 AIも最近非常によく聞く言葉と言うか略号だけれど、「AIってなあに?」とチコちゃに聞かれたらどう答えるだろうか。「人工知能のことです」くらいまでは答えられそうなのだが、「コンピュータとどう違うの?」と突っ込まれると「AIはコンピュータの進化したものです」などと確証もないまま答えるとして、そもそもコンピュータのことが分かっていない。

 関連用語を整理してみよう。コンピュータ(Computer)は電子(自動)計算機。IT(information technology)は情報技術:コンピュータやデータ通信に関する技術の総称。ICT(Information and Communication Technology)は情報通信技術:ITとほぼ同義だが、情報や知識の共有に焦点を当て、人と人、人とモノのコミュニケーションが強調されている。IoT(Internet of Things)はモノのインターネット:電子機器をインターネットで繋ぐことで、遠隔操作や繋いだモノの自動制御により最適効用が可能となる。工場の機械・装置をIoT化することで効率化を図る、ドイツの第4次産業革命構想が知れて、急速に広まった。

 そしてAI(artificial intelligence)は人工知能:「計算(computation)」という概念と「コンピュータ(computer)」という道具を用いて「知能」を研究する「計算機科学(computer science)の一分野」を指す言葉。「言語の理解や推論・問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピュータに行わせる技術」、または、「コンピュータによる知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野」ともされる。(byウィキペディア)

 IoTとAIを組み合わせた社会インフラへの活用、車の自動運転技術なども進化しているが、IoTでは、ICTと同様サイバー攻撃に晒されるリスクがあり、AIでは、すでにこの発達によってなくなる職業などが列記されるようになり、天使か悪魔かなどとも囁かれている通り、技術の進歩は反面人類にとって原子力に代表されるように大きなリスクも抱えている。

 それにしても、チェスに始まり将棋、囲碁までがAIに席巻された。気象予測なども従来の気圧・温度・湿度、風向きなどの現状データから予測するのではなく、当該地点の過去のデータから降水量の変化なども読み解くらしい。街の過去の犯罪地点から現在に起こる犯罪地点までも予測するらしい。結構当たるので、パトカーがその地点に先回りするらしい。

 将棋なども詰将棋の解を求めるのに、王手の可能性を次々と網羅的に潰してゆくのではなく、棋士の過去の勝負のデータから局面、局面で結果の良かった手を探すというやり方らしい。

 「AIとは何だ」恐らく分からず仕舞いに終わりそうだが挑戦してみようと思う。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする