中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

経営のこと、政治のこと、社会のこと、趣味のこと、人生のこと

2017年の展望 第10回

2017年01月28日 | ブログ
芸能・スポーツ

 昨年は、年の瀬までSMAPの解散が芸能界の一大騒動であったようだ。紅白歌合戦までが、最後のSMAPを動員しようとあの手この手で右往左往したようだ。芸能事務所の内紛とメンバーの確執が重なり合って、「飛ぶ鳥後を濁さず」とはいかなかったようだ。

 そもそもメンバーの中には、発足時まだ小学生も居たそうで、この解散劇を見る限り、社会的訓練不足の感は拭えなかった。相当以前から、5人のメンバーそれぞれにテレビに映画に活躍するようになっており、各人SMAPの看板なしでもやっていけるという自負が生まれれば、メンバー間の繋がりは薄れる。感情の縺(もつ)れがあれば離反するのは当然の成り行きで、それを商売とはいえ、仲良しのように活動を続けていたこと自体が不自然なこと。

 年が明けて、大相撲界が俄然盛り上がっている。19年ぶりの国産横綱の誕生である。思えば丁度1年前の初場所では、大関琴奨菊の10年ぶりの日本産力士の優勝に沸いた。しかしこの初場所後、横綱稀勢の里誕生を横目に、琴奨菊は大関から陥落する。ただ、この場所稀勢の里に唯一の土を付けたのはその先輩大関琴奨菊だった。

 思えば琴奨菊初優勝に一つの黒星を付けた豊ノ島は、その場所12勝3敗の好成績で殊勲賞を獲得、関脇に返り咲くことになったが、続く春場所で大きく負け越し、その後けがのため十両からさらに幕下まで陥落した。この初場所は西の幕下6枚目で6勝1敗だったようで、来場所十両復帰があるのかどうか。

 これだけ厳しい世界だけに、以前は明らかな八百長相撲や暗黙の星の譲り合い(今も一部に疑念のある結果は見かけるが)が蔓延し、自然と相撲人気は低下した。ここに来ての相撲人気はやはりその取組に品質の高さ、ガチンコ勝負が返って来たからである。

 反面、それゆえもあって、力士に怪我が多すぎる。公傷制度が一時期あったようだが、福祉制度には悪用者が絶えないようで止めになったそうだ。力士の大型化に加え、年間6場所制で、一旦負傷すれば、直る間もなく本場所を迎えることが、患部を慢性化させる。

 ノルディックスキー・ジャンプ女子、高梨選手(20歳)の活躍は相変わらず見事だが、このワールドカップ(W杯)国内戦では、4戦とも優勝を逃した。この間伊藤選手(22歳)が初優勝を含む3勝を挙げた。国内でW杯通算50勝目を目指した高梨選手だったが、お預けとなった。卓球でも番狂わせがあった。女王(日本選手権3連覇)石川佳純選手を平野美宇選手が破り、最年少(16歳9か月)日本一に輝いたのだ。

 冬季五輪は来年。そして東京五輪は3年後。選手層が厚くなり、新しい芽がどんどん伸びていることは頼もしい限りだ。

 柔道ではやはり重量級の世界王座奪還が悲願だ。王子谷、原沢、羽賀、七戸、若手では小川直也氏を父に持つ明大3年生の小川雄勢。今年の全日本選手権は楽しみだ。まだ確か高校1年生だが、2年前に亡くなった重量級五輪2度の金メダルに輝く斎藤仁さんのご子息(次男)もいる。

 芸能界は麻薬、スポーツ界はドーピング・大怪我と魔の手は常に近くにあるが、国民に楽しみと活力を与える芸能・スポーツは平和な世界を象徴するものだ。今年も健全な発展を期待している。





2017年の展望 第9回

2017年01月25日 | ブログ
観光大国へ

 当面の目標であった訪日外国人年間2000万人は、数年前倒しで昨年達成し、今や2020年の東京オリンピック年には現在の倍の4000万人が目標と聞く。

 一つは昨年暮れに成立した「カジノ解禁法」に基づく「IR(カジノを中心とした統合型リゾート)実施法案」の実現がある。海外からの投資を呼び込み、観光客数の増加を期待しているのだ。

 海外では普通に行われるカジノでの博打は、この国には無いものであったゆえに国民の不安も大きく、反対も当然にある。ギャンブル依存症や、風紀の乱れ、怪しげな外国人の増加、伴って犯罪の増加への懸念。不安は当然であり、首都圏に誘致するのは如何なものかと考えていた。

 ところが、今年1月8日、ビートたけしの「TVタックル」では、ロシア通の大学の先生が、トランプ新大統領、プーチン大統領と安倍首相で、北方四島の択捉島にこれを作る話が進んでいると紹介し、盛り上がっていたのだ。ロシアと日本の経済特区として、海外から択捉島にカジノ目当ての観光客を空路直接呼び込む算段だという。このため、安倍首相は11月にトランプ氏を訪問して意向を確認し、プーチン大統領来日に合わせて「カジノ解禁法」を成立させたと言う。事実は知らない。確かに最近、択捉島の新空港を使って、旧島民が里帰りできるようになるという新聞記事があった。択捉島で空港整備が進んでいることだけは確かなようだ。

 一方国会では、民進党の野田幹事長が代表質問で、ロシアと経済協力を約束しただけで、一歩も前進しなかったと北方四島返還交渉をやり玉に挙げ、世界の述べ100か国を廻って、計54兆円もの支援の約束をしてきたけれど、その採算性はどうかなど、安倍外交にネチネチと因縁を付けていた。外交は国民にもいちいち公表できない裏が一杯あることで、「開けてびっくり玉手箱」的なところがあることを期待しよう。

 カジノ法案はそれほどお勧めしないけれど、批判だけは得意の寄せ集め選挙互助会政党が、政権を取った際に即止めにした、当時の麻生首相が進めていた「アニメの殿堂」は海外の観光客を呼べる優れた構想だった。麻生さんが「ゴルゴ13」が好きだったから提案したのだろうくらいの軽いノリで、止めにしたのだろうけれど、事業仕訳大失敗の代表例ではなかったか。訪日外国人の出る最近のテレビ番組などを見ても、日本のアニメファンは世界に浸透している。これは現政権で復活させる必要がある。カジノよりはるかに良質な観光大国化のための方策ではないか。

 「君の名は」など中韓でも大ヒットしているそうだし、2016年のキネマ旬報の日本映画部門の第一位に輝いたのもアニメであった。「この世界の片隅に」は海軍軍港と大和を建造した海軍工廠があった広島県呉市が舞台だ。改めてあの戦争の悲惨さがグイグイと伝わってくる映画だった。さらに、テレビの連ドラなども実写であっても原作は漫画というのが非常に多いように思う。

 われわれが子供時代の鉄人28号、鉄腕アトム、だるま君、そして巨人の星やアタックNo.1、柔道一直線などスポ根ものへ。ドラえもん、ドラゴンボールにこち亀、ベルバラ、そしてスタジオジブリ、テルマエなどへと連なっていく。

 少なくともカジノより遥かに健全で、世界の青少年からお年寄りまで楽しめる。今年のこの国の観光の目玉にぜひ「アニメの殿堂」企画を一押ししたい。



2017年の展望 第8回

2017年01月22日 | ブログ
少子化対策

 すでに一部に始まっているが、若者の地方回帰・進出を援助する施策をさらに大胆に推し進めること。地方で、農業、漁業や林業など一次産業に夫婦で取り組めば、自然に子供は増える。小笠原諸島では都会からの若者の移住者があり、子供も多いという話がヒントではある。可能性は一次産業に限らない。地方はその佇まいこそが観光資源で、それを基に観光農園、観光漁業、宿泊業、お土産店に観光企画やガイドに従事してもよかろう。農産物や材木、水産加工業も誘致できる。資本と人手があれば一定の需要を生み、雇用を確保し続ける可能性がある。

 そのためには、第二の農地改革を実施する必要がある。国民の持つ過大な所有権に制限を設けるのである。放置されている農地や山林は国家が廉価に没収できるようにする。先祖伝来の山林や農地、漁業権を相続し、本人は都会でサラリーマンでは地方は荒れる。すなわち機に応じ地域のプレーヤーの交代が必要なのである。それを推進する施策を国が行うのだ。

 所有権の制限のひとつは、北海道の原野であれ、外国人が勝手に買い漁れないよう、土地の売却制限を設けることもある。次に本題の放置された山林や農地は、国家が没収できる制度を設けること。元々の所有者に配慮して、相応の対価は必要であるが、その基準は国が決める。国が所有することで、農業や林業を個人経営から企業経営に切り替えるのである。

 誰の土地かも分からぬまま活用されず、大震災後の復興施策のように、行政がいざ使おうと地主を探せば、登記者本人は亡くなっており、その相続権者が大勢いて、全員の諒解がないと行政が手出しできないなど、現憲法と同様、占領下に決められた過大な国民への権利付与ではなかったか。今や時代にそぐわない施策としか思えない。ここらあたりの法律を新しくすることで、時代の流れを変える必要があるのだ。

 行政が土地の所有権を得られれば、新たに設立した企業による計画的な農業経営が可能になる。個人農家では難しい効率的な農業経営が可能だ。ここに都会でパート・アルバイトでしか生活できない若者を呼び込むのだ。少子化の原因のひとつは明らかな若者の低収入にある。都会暮らしは若者には刺激的で面白いかも知れないが、家賃は高く、必需品のスマホなど、通信会社が当たり前のように過大の料金を若者からむしり取る。時給1000円程度の仕事では、結婚できるほどの収入は得られない。

 すでに漁業などでも地方の市町村が補助金を出して、漁師を育てる取り組みをしていることは、テレビでも紹介されている。地方に人材を回帰させることで、都会で威張っているブラックな企業は途端に人手不足で立ち行かなくなる。そして企業の雇用条件を従業員満足に副わせることも可能になるのだ。

 北方四島返還推進などと言っても、本来返還して貰うのは当たり前ではあるけれど、北海道でさえ人が住まなくなった所が多いのに、北の果ての離島に誰が住むのか。大きく国が地方に投資して若者が働ける環境を整備する必要があるのだ。そのためには国民の持つ特に土地の所有権に制限を設け、繰り返すけれど、地方のプレーヤーの交代を促すのだ。

 既得権を打破するのは大変なことである。既得権にしがみつく亡者とその人々から選ばれる政治屋。小泉進次郎氏が進めようとしている農協改革でさえ抵抗が大きいけれど、2017年が改革に大きく動き出す端緒の年にして欲しいと願う。

 少子化対策は直接的な現金支給などではなく、地方創生とも絡めて国のあり方から変える必要があるのだ。



2017年の展望 第7回

2017年01月19日 | ブログ
人口動態

 この国の人口の推移(総務省資料による)を歴史的に見てみると、鎌倉幕府成立頃は約760万人で、その後室町幕府、江戸幕府成立と約830万人から約1230万人へと増加、江戸中期の吉宗の時代には3100万人を超えた(約500年で2300万人の増加:100年で平均460万人ずつ増加)が、その後の明治維新までの120~130年間には200万人の増加(100年で200万人弱の増加)に留まっている。

 江戸時代中期以降、武家社会が定着し、農民には重税、武士であっても直系以外には子孫を残すことが難しい環境であったことが偲ばれる。この間、人口はバランスし、資源は完全に近いリサイクル社会であったようだ。

 明治以降、富国強兵による急速な工業化、軍国化が進み、約3300万人であった人口は、第二次大戦終戦の1945年までの僅か77年間に約3900万人増加し、約7200万人となっている。この間、先の大戦では300万人の同胞が亡くなっている。その後も人口爆発は進み、終戦後60年間でピークの1億2700万人まで5500万人も増加した。毎年100万人近くの人口増があったことになり、当時は人口の増加は、「毎年ひとつずつ県が増えている」として、国民の衣食住を賄うための危機的状況として報じられる一面もあった。中国の「一人っ子政策」なども、人口暴発を食い止めるための已むおえぬ施策であったろう。

 この間、使い捨て文化が蔓延り、下水道整備の遅れ、工場は公害対策よりも量産優先で、公害問題が噴出、その後は土地投機によるバブルなど、庶民生活は経済発展に翻弄される面もあった。

 そして人口が減少に転じれば、高齢化による年金・医療・介護などの問題、少子化による労働人口の減少をどう補てんするか、限界集落に地方消滅など、これまた危機的状況が喧伝されている。

 事実昨年は新生児が100万人を切ったという。確かわれわれ団塊世代では1学年で260万人くらい居たわけで、進学率が上がったとはいえ、どんどん設立された「駅弁大学」の行く末も案じられる。働く母親のための保育園の増設も未だ課題のようだが、行き渡った頃には定員割れが生じることのないよう出生数とのバランスを勘案する必要がある。

 確かに1950年頃の8000万人の人口と、2060年頃に訪れるという8000万人では、人口は同じでも内訳が全く異なる。高齢化率が50%近くなった8000万人は確かに問題である。ではどうする。移民を受け入れるのか。人型ロボット、AIの発達で労働力をカバーできるのか。

 リスクはきちんと認識しておく必要があるが、過ぎたる悲観論は問題である。若い人たちの夢を壊すような話ばかりするのは良くない。たとえば少子化対策。子供手当の充実など愚策である。現金をばらまくのは選挙対策に過ぎず、新手の買収にあたる。無責任政党が勝てばいいのだ戦略に使った顛末は記憶に新しい。ではどうするか。

 経営革新ではないが、国家も新しい時代には新しい経営方針で臨むべきで、経済の活性化の従来の経済諸策を繰り返すだけでは能がない。対策案は次号



2017年の展望 第6回

2017年01月16日 | ブログ
格差

 経済大国である米国や中国を筆頭に、世界で個人間の経済格差が広がっているとはよく聞く話だ。米国などでは上位1%の人々で、実に99%の富を握っているらしい。わが国でも近年、米国ナイズされた企業経営が蔓延り、経営者層の報酬のお手盛り、能力主義、成果主義に、非正規社員の著しい増加等により、従業員の賃金格差に累進課税の緩和も手伝って国民の貧富の差が激しくなっている印象は確かにある。

 そうは言ってジニ指数に診る国際比較では、未だわが国は格差が小さい部類ではある。税金による所得再配分後でみれば、わが国が30%台後半に対して、米国や中国は10%程度高い40%台後半である。逆にスウェーデンなど北欧の福祉国家ではわが国より10%程度低くなっている。(ジニ指数は0%で完全平等、100%は完全不平等)

 格差が少ないほど良いかと一概には言えない。昔からアメリカンドリームなどと言って、野球選手も、芸能人も、科学者もその地を目指す。野球ひとつ取ってみても、日本球界のトップクラスが、大リーグに移れば軽く10倍の年俸を取る。観客すなわち米国の国民はそれだけ高度な野球を楽しむことができる。

 北欧の某国から日本に里帰りした方から直接聞いた話だけれど、向こうでは特にお医者さんなど、週に3日くらいしか働かない人も居るらしい。働いて所得が増えれば税金で持っていかれるだけという損得勘定らしい。働かなくても生活を保障される人々が大勢居る福祉国家が、本当に幸せな国かどうか。価値観の分かれるところと思う。

 最近、この国でよく耳にするようになったフレーズに「貧困児童」「こどもの貧困」。これをなくす取り組みのため、「一人毎月1000円寄付して下さい」。なんてのもある。確かに自然災害等で親を失った児童など、保護の対象であることは確かで、行政機関の取り組みが必要であり、皆で支えなければならない。

 われわれが子供の頃には、今もあるのかな。「赤い羽根共同募金」というのがあって、毎年の年末には、10円でも寄付すると針付きの赤く染めた鳥の羽根を貰えて、襟元に刺したりしていたけれど、その後の話では、寄付金のほとんどは寄付金を集めるための人件費に消えるというようなことを聞いた。

 国連のユニセフからもダイレクトメールが来て、アフリカ等の特に紛争地の子供のために寄付をしてください。というのがあるけれど、そのような国は子だくさんで、将来有望であるかもしれない。

 国民が豊かになれば自然と少子化傾向となる。子は確実に成人する可能性が高いし、高学歴化などで子供に要する費用が増大し、子育てし難い現実がある。だから子供手当をという論議が随分とあり、現実にある程度の手当は支給しているようだけれど、現金を支給するやり方は品がないものだ。義務教育期間は、給食費や教科書などの完全無料化。保育園費用補助などの方が、確実に子供のために税金を使えることにもなるし、スマートである。給食費を滞納する子供の痛みもなくなる。

 最近はやたらと女子力活用で、専業主婦は肩身が狭いが、妻にも経済力が付けば、亭主が気に入らなくなければ我慢は止めて離婚に至るのが早くなる。昔から芸能人など最たるものだった。そして母子家庭が増えて、結果子供の貧困につながる。それでも上を目指す女性はわが国の女性の地位が低いと叫ぶ。一方「人生の幸せって何」。働くことだけではないのだから、早く帰宅しましょう。働き方改革なるものも出てくる。

 どれももっともの論理ではあるけれど、あちらを立てれば、こちらが立たずが世の常で、みなさん欲張りすぎていませんかと思う。格差というけれど、要は働き者であるか、怠け者であるかで決まる部分が大きい。勿論人生の格差はスタート時点に大きく左右されることも事実だ。しかし、格差は経済的なものだけではない。健康な体に生んで貰えれば、後は自分が成りたいような人間を目指すべきで、本来、国の施策などそのサポートでしかない。

 そうは言って今年こそ、ブラック企業は根絶、株主総会では経営者に報酬制限を設ける制度を法制化。派遣、アルバイト・パートは本人の能力、希望を考慮して極力正社員化を徹底するように政府は指導するべきであると思う。個人の努力では如何ともし難い自由競争社会の弊害は、国家が是正すべきなのである。過ぎたる格差は、社会に混乱を呼ぶことになろうし、却って個々人が能力を十分発揮できる社会でもなかろうと思う。



2017年の展望 第5回

2017年01月13日 | ブログ
中国

 「文藝春秋2017年の論点100」に批判に応えるということで、「私はなぜAIIBの顧問になったか」という元総理の肩書を持つ人物の論述があった。

 そこに、元総理は、「日本では中国が今にも武力で尖閣諸島や南沙諸島を奪うかのような報道がなされており、中国脅威論が高まっているが、それは現政権に都合がいいからで、現政権が煽っているところがある。」「そんなことをすれば世界の非難を浴びて国益を損なうことは中国自身が一番よく知っている。だからする訳がない、そのことは米国も、実は日本政府も知っている。」(中国脅威論の虚構)という趣旨のことを述べている。

 人それぞれ考え方の違いから物事の見方も変わり、意見の異なりがあるのは当然であろうが、元総理の肩書を持った人の意見は、一人一票の一般人の言いたい放題とは異なり、正確な情報に基づく確度の高い論評でなければならないだろう。中国共産党のどなたの意見を基に、「世界の非難を浴びて国益を失うようなことはしない」と確信するのか。大丈夫、大丈夫では日本人1億2700万人の生命財産を危機に晒すことにならないのか。そもそも仮に中国共産党のトップにその気はなくとも、230万人ともいわれる人民解放軍(中国共産党の私兵)の上から下まで確実に統治できる保証は誰にできるのか。軍事学も地政学も世界の歴史さえも碌に学ばずに総理にまで上り詰めた人物の論に聞こえるだけだ。

 事実南シナ海の人工島については、フィリピンがオランダ・ハーグの仲裁裁判所に申し立てていた仲裁裁判で、フィリピンの主張が認められたが、中国はこれを全く無視し、軍事基地建設を進めている。わが国への領空領海侵犯を繰り返している。空母を太平洋に繰り出す。これらの明確な事実だけをみても、元総理の言う「中国脅威論の虚構」が十分誤った認識と取れる。

 元総理は、さらに「中国は脅威どころか、日本の高い技術を、ノウハウを求めている。日中の協力を必要としているのは中国の方である。」とまで述べているが、それは1972年の日中国交正常化以来の中国のご都合主義で、米国などから圧力があれば、わが国に秋波を送り微笑めば、取り込むことができ時間稼ぎに使えることを知っているだけの話だ。あれだけ声高に機会あるごとにわが国を誹謗する中国にあらためて貢ぐ必要があるのか。

 元総理に代表されるような、友好建前論者は中国共産党を利するだけなのだ。その走狗とさえ映る。米国のオバマ大統領も大きく誤った。強大な米国が世界の警察官を止めれば、世界はさらに無法者、無法国家が跋扈する現実がある。「太平洋は米中で分け合うに十分な広さがある」という習近平の論理を、聞いたその時点で一刀両断しなければならなかったとはよく聞く話だ。太平洋は周辺国家が国際法に則ったそれぞれの領海を有する、平和の海だ。大国間で勝手に分け合えるものではない。

 しかし、中国脅威論を語るだけで東アジアの安寧が保てるわけではない。世界の自由と民主主義を標榜する国々が、団結してこれに対抗する手段を構築しなければ、東アジア、延いては世界が平和を失う。米国がこのまま国内に閉じこもってゆけば、中国という覇権国家が大手を振るだけだ。それは世界の平和と自由にとって脅威以外の何物でもない。

 一方で、その中国も内情は厳しい。チベット、ウイグルなど他民族支配への抵抗がある。香港なども本国のやり方を快く思っていない。急速な経済活動の活発化は大きな格差を生んだ。何のための地主など富裕層を葬って成した共産革命であったか。その経済も人件費の高騰や過剰設備投資もあって陰りが見えると聞く。賄賂などの悪習根絶のやり方を巡っても指導者層に政治的路線対立もあろう。一部には民主化運動も当然にある。肥大化した軍の統治も難しかろう。現体制は、外敵によらず内部崩壊する可能性が見え始める年になろう。



2017年の展望 第4回

2017年01月10日 | ブログ
外交

 弱腰外交、土下座外交など、戦後のわが国の中韓に対する外交の呼称である。兎も角謝っておけば丸く収まるとは日本人同士の一般風習で、中韓の人々は似たような容姿はしていても根性は相当に異なり、下手(したて)に出れば嵩にかかって押してくる。これに国内のリベラルか革新か知らないが、穏健派から左向きの政治屋(政治家ではない)が輪を掛けて中韓に肩入れするから始末が悪く、中韓は未だに従軍慰安婦だとか南京大虐殺とか難癖付けて高飛車にくる。

 中韓との外交は、本来敵国との認識を持つように修正してゆくべきで、決して友好国などの扱いにすべきではない。観光であろうが就労であれ、実習生、留学生に関わらず、中韓からの入国には制限を加え、入国者は十分な監視下におくべきなのである。

 空から海から領海領空侵犯を過度に繰り返す中国など、その国からの留学生を国費でもてなすなどもってのほかである。彼らは水面下でネット詐欺犯罪などに与している懸念もあり、事実摘発事例もある。中国人だけではなかろうが、入国者の一部に、人体に入り込んだ寄生虫のごとく、この国のエキスを吸い続けている輩がいる懸念は強い。

 わが国の外交は日米同盟を基軸とし、G7、日露友好、さらにインドや東南アジア諸国にブラジルなどの新興国との関係を強化してゆく方向性は正しいし、さらに安倍外交は中東やアフリカ諸国への目配りも怠っていないように診る。

 北朝鮮のミサイル強化や核開発はわが国には止めようもないけれど、当国との外交ルートは常に確保しておく必要がある。備えは必要だが、現在の北朝鮮指導者が日本に向けてミサイル攻撃を命じたり、まして核攻撃するなど考えられない。一部に国内米軍基地がターゲットになるという説もあるが、為にする理屈だ。彼らは韓国よりは親日的のように感じる。

 中国の軍事力強化、海洋進出も同様に、この国では阻止することはできない。外交交渉でも無理。しかるに敵国扱いにするしかしようがないのだ。中国の海洋進出の当面の目的は、台湾の併合(武力・恫喝による)にあるとみる。尖閣諸島の領有権は台湾にも主張する勢力があることから、台湾を手にすれば、尖閣支配も国際的に説得力を増す。

 ただ、ここにきて米国にトランプ大統領が誕生する。新大統領の一連の発言や行動をその一部ではあるが見聞していると、彼は中国の世界進出をロシアと組むことで阻止しようとしているように診る。ロシアのウクライナ問題には目を瞑り、イスラム国、中東問題と中国に対峙する戦略であり、正しい選択である。中国共産党が支配する世界など誰も見たくはない。もっともそれは白人社会が長年積み上げてきた世界支配を継続することでもある。

 トランプ氏とプーチン氏は波長が合うようだ。そしてこの国の安倍首相も両人とは良好な関係を構築、また維持してゆける可能性が高い。この国の外交にとって光明である。今年、日米露三国の首脳会談を設定し、その中で北方四島帰属問題も取り上げれば、わが国への返還の可能性も残るかもしれない。

2017年の展望 第3回

2017年01月07日 | ブログ
内政

 昨年自民党は、総裁任期を3年2期限度から3年3期に延長を決めた。すなわちわが国の首相の任期の限度も6年から9年に伸びた。米国大統領が4年2期の8年だから、特に弊害というものは見当たらず、G7など外交の席でも古株となれる可能性が高く、効果は大きい。

 安倍総裁は2012年9月の総裁選挙で選ばれているので、2021年9月まで時を得たことになる。東京オリンピックを総理大臣として迎えられる公算が大きい。勿論途中に総裁選挙もあるし、健康問題など不測の事態がなくはないが、これまでの国民の内閣支持率から見ても、短期間に失速する懸念は小さい。

 勿論、課題は山積している。内閣が絶対安泰ということはない。しかし、わが国ではトランプ氏のような本音の極論でトップを射止める首相選択システムはない。自民党総裁選挙では一般党員の意思も反映されるが、昨年の紅白の紅組勝利ではないが、選抜された審査員票が強大であったように、2012年の総裁選挙のごとく、石破氏でさえ、国会議員票の強さを越えられなかった。

 憲法は改正ではなく、現憲法は無効として廃棄とか、核武装すべし、売春禁止法破棄、大麻解禁などなど、参議院議員選挙の個別候補者には結構過激な公約もなくもないが、このような候補者が当選した事例は聞かない。

 過激ではあるが暴論ではなく、寧ろ正論であっても、戦後の刷り込まれによって国民の多くは、時局を正しく認識する能力を失っている。安倍内閣は国民感情のすれすれを飛行する。右翼と呼ばれるような思想集団に配慮しながら、一般建前論にしがみつく層からの支持を集める配慮を怠らない。

 安倍内閣の売りは、アベノミクスと呼ばれる経済政策のような印象があるが、最大の強みは外交にある。父君である安倍晋太郎氏の外相時代にその秘書を務めていたことが幸いしているとみる。かといって、北方四島が返って来たわけでも、安倍内閣で拉致被害者の一人も帰って来たわけではない。竹島は勿論、朴政権と交わした慰安婦問題解消条約も結局お金をむしり取られただけで終わりそうだ。

 刷り込みが効いているとはいえ、妙に物わかりの良いこの国の住民は、「それなら戦前のように軍国化しましょうか。竹島も北方四島も戦って奪取しますか」。と開き直られても困ることだし、元島民、近隣の漁業者、拉致被害者家族などごくごく少数者のために、国を挙げて喧嘩は御免だから仕方がないと妙に納得させられているような気がする。安倍さんが悪いとか、力不足とかの責任追及にはならない。要は相手が悪すぎるのだと誰も理解するしかない。寧ろ安倍首相が世界を精力的に飛び回り、首脳間の友好を深めているその努力を高く評価しているのだ。

 少子化問題、働き方、女性活用、年金・医療・介護、格差、TPP、皇室のあり方、移民の受け入れ、外国人の土地私有、テロ対策、安全保障と政治の課題は尽きない中で、東京オリンピックも観光大国化も実現してゆかねばならない。

 さらなる問題は、一部に言われ始めた政治家、学者、企業経営者など社会のトップリーダー層の劣化がある。今年は、目に見えぬこれら課題を見える化し、早急に改善に着手する必要が政治にはありそうである。



2017年の展望 第2回

2017年01月04日 | ブログ
経済

 トランプ新大統領(共和党)の就任式も終わっていない時点で、新しい米国がどこに向かうのか、わが国への影響の度合いなどまだまだ不透明ではあるが、そもそも米国が民主党政権であるよりは、共和党政権がわが国には良いというのが通り相場ではないか。

 ヒラリーさんの旦那のクリントン大統領(民主党)の時は露骨だった。成長著しい中国との商売を重視し、成就化して旨味の少ないとみた日本をほとんどパスした。

 新しい米国政権は内向きで、貿易の自由化にも後ろ向きとの評価があるが、経済法則を持ち出すまでもなく、自由貿易は社会的余剰を拡大させる(自由貿易の利益)ことから、米国においても最終的には市場開放に向かうとの見方が一般的なようだ。

 昨年OPEC(石油輸出国機構)が8年ぶりに減産合意したというニュースが流れ、わが国においてはガソリンや灯油の価格が上昇に転じている。米国のシェールガスが息を吹き返し、ロシアなど石油・天然ガスの資源国も好況に転じるのではないか。

 原油の低価格化はイスラム国の資金源を断つという一面もあるような話があったが、ここに来て、イスラム国の勢力も低下し、やがて終息に向かえば、恐怖と破壊、難民の増大などから解放され、世界経済には良い影響が予想される。

 わが国においては、TPPに米国が本当に参加しないことになれば、これまでの努力がふいになり、期待した成長戦略の見直しも必要であろうが、2020年の東京オリンピックに向けていよいよ施設などの具体的な建設が始まることで、経済は好調に推移するのではないか。たかだか2兆円程度の予算でも、公共投資は乗数効果(乗数理論:1単位の需要増加が派生需要を誘発し、最終的に何倍もの総需要を生み出すという考え方)が大きく、また宿泊施設など民間投資も活発化する。

 年初恒例の経済人へのアンケートの日経平均株価の予測では、ほとんどの方が2万円前後を予想しており、そのばらつきは非常に小さい。過度の期待を戒めているとも取れる結果であり、実際にはもっと上がるのではなかろうか。

 ただ、50年前の東京オリンピックの時と全く異なり、社会の成就化が進み、少子高齢化が相当に進んでいること。世界が東西対立の米ソ冷戦から、米中露の覇権争いに転じて深刻化していることなど、単純な経済成長を見込みにくい要素が多い。しかし、安全保障の観点からこの国においても、自衛隊装備を短期間に高度化させる必要に迫られている。このことは技術開発のスピードアップ、武器は完全なる消費財であることから経済活動の活発化に貢献度合いが大きい。

 その先に何があるのか。神のみぞ知るこの世界ではあるが、少なくともこの1年の世界経済、特にこの国の経済は、安全保障上の懸念も追い風に、良好に推移するのではないか。




2017年の展望 第1回

2017年01月01日 | ブログ
危機の時代

 世界は今、綺麗ごとの建前論優先から弱肉強食を是認する本音が支持される状況に転換しつつあるようだ。英国のEUからの離脱、トランプ米国の内向き志向。中国はいよいよその本性を隠すことを止めた。世界から学ぶことはもうない。必要があれば世界の軍であれ、研究機関であれ、企業であれ、必要な情報は生え抜きのハッカー集団によって手に入れればいいことだ。

 米ソの冷戦華やかしころ、核戦争までのカウントダウン時計が登場したりしていたけれど、わが国にとっては、当時の状況よりも底知れぬ闇が深い。米国、ロシア、中国の三カ国の凌ぎ合いが、まさに日本列島とわが国の有する太平洋の排他的経済水域というご馳走の分け方を巡る勢力争いになっているからである。

 一方この国では、依然として平和憲法維持、非核三原則堅持、沖縄米軍基地反対そして原子力発電さえ再稼働し難い状態が続いている。時代を認識しない幼稚な建前論にしがみついているのだ。

 軍事力より外交力などというけれど、隣国は「話せば分かる」種族ではない。国際法さえ自国に不都合なら守ることはしない。所詮この世のすべての生命体にとっては、最終的に力が物言う現実を改めて認識する必要のある時代に返っているのである。

 中国のなりふり構わぬ跋扈に対して、現政権の必死の外交努力がある。しかし、ロシアのプーチン大統領もすでに軍事拠点として価値の高まる北方四島を「引き分け」分さえ返すわけにはゆかなくなったようだ。わが国との友好的外交努力は継続しつつも、米中の出方を伺いながらご馳走の取り分を図っているかのようである。オバマ米国大統領との最後の首脳会談は、真珠湾への慰霊外交となった。

 しかし、一般には好感を持って評価されるこの真珠湾での日米外交でさえ、中韓は勿論、国内の知識人と呼ばれる人々の中にさえ、真っ向批判する勢力が健在だ。あの戦争による人的被害は、真珠湾の2400人の米兵どころではなく、アジアこそ慰霊して回らねばならない。などともっともらしい論評をするけれど、全く的を外した論理だ。日米があれほど激しく戦いながら、戦後の同盟関係をここまで深化させたことに、和解の成果を謳ったのである。いつまでも過ぎた過去を持ち出して、謝罪を要求し続ける国などと和解も何もあったものではないではないか。

 今回安倍首相のスピーチの中には、米国が戦後わが国に施した経済援助、食糧援助に感謝の言葉があった。中韓など、戦後のその経済成長の過程で、どれだけわが国の援助が役立ったかしれない筈だ。日中国交正常化交渉の際「喧嘩は済みましたか?」と毛沢東は言ったという。その時点で過去は水に流した筈だった。だから台湾さえ袖にして日中友好に尽力してきたのだ。「漢江(ハンガン)の軌跡」と呼ばれる朝鮮戦争後の韓国の奇跡的な経済復興はわが国の支援によって成された。わが国だってまだまだ貧しい時代にである。しかるに竹島は占領して離さず、従軍慰安婦を持ち出して反日を強調する。

 中韓の人々には感謝の二文字など、相手を利用している間だけしか無い様である。そのような国はけっして将来も真の発展、国民の幸せはないであろう。

 地政学的にますます厳しい現実のあるこの国にも新しい年が来た。賢いつもりの学者も、儲け一筋の経済人も、改めてこの国家を背負うという使命感を持たねばならないであろう。