北京冬季五輪
IOCとJOCは絶対開催、絶対参加であろう。ソ連のアフガン侵攻を受けて、西側諸国は一斉にモスクワ五輪(1980年)をボイコットした。この時、当時柔道選手として最盛期にあった現JOC会長の山下氏は、レスリングの高田裕司選手などと連携して出場を懇願していたことを記憶する。山下氏は確かに柔道選手としては抜群だったが、JOCの会長職は祭り上げられている感が強い。単に選手の立場を代弁するであろう。
今、北京冬季五輪開催の雲行きが怪しくなっている。元々、ウイグル、香港などの人権問題があるところに、台湾への武力恫喝。この度中国人女子プロテニス選手が、政府高官からセクハラを受けたことを本人が公表し、その後消息が途切れた事件。
諸々なくても、中共は、尖閣諸島周辺でわが国に挑発行動を繰り返し、中国とロシアの艦隊が日本列島を一周したかと思えば、19日には中国軍艦が鹿児島県・屋久島沖の領海を侵犯し、中ロ爆撃機の4機編隊が日本上空を飛行している。中国は日本を日々脅しにかかっているのだ。
そんな国の首都で、平和の祭典を開催する資格があるわけはない。欧米に先んじて日本がボイコットすべきである。しかし、現在中共は世界経済の中に莫大な影響力を持つようになっている。先進民主国家も開発途上国も中共の経済力を無視することは難しい。簡単に中共を斬れないのだ。
戦後のわが国は日米同盟で米国に防衛を依存し、軽武装で経済の復興を優先した。その成功体験が、国民にも深く浸透し、わが国の平和は平和憲法遵守にありが、未だ一部の信者に崇拝されている。過去の成功はその国際的環境にあった。米ソ冷戦当時、ソ連が経済的に重要国ではなかったことが幸いしたに過ぎない。そして平和ボケ国家として、中共に舐められ続けて何もできない国になってしまった。
歴代自民党政権は米国との同盟を重視する一方、中共との窓口も重視してきた。その政治習慣が中共を太りに太らせ、わが国は狼の前の子豚状態となっている。角栄氏の日中国交正常化(1972年、友好条約締結は1978年)に、「裸の美女が乞食と寝るようなもの」という論評があったことを今更思い出す。
中共政府は北京冬季五輪を成功させたい。欧米の外交ボイコットへの対抗策として、わが国の新任外相に目を付けた。外相同士の電話会議で王毅外相が招待したいと言ったらしい。林外相は日中友好議員連盟の会長をやっていたこともあり、本人は中共とまともに話ができると思っているらしい。素人目にも訪中は危険すぎる。訪中しても我が国に得るものはない。北京五輪に外交ボイコットさえせず、賛同参加を確約させられて終わり。中共のハニートラップの罠に落ちないためにも、行かない方がご本人のためにも無難である。
何度も言うが、ぼったくり男爵などが会長をやっているIOCに正義は無く、北京開催でなくとも五輪など止めるべきなのだ。フェンシングのIOC会長に騎士道なく、JOC会長に武士道が感じられない。