中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

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新、時事散歩 第10回

2024年04月28日 | ブログ
円安

 私など団塊世代が物心ついてから25歳になるまで、1ドル360円という固定相場だった。その後変動相場となり、第一次、第二次オイルショックを経て1985年のプラザ合意で遂に円は1ドル200円台から1987年には150円まで急速に値上がりした。夢だった海外旅行が一般人にも解放された感があった。

 現在1ドル158円と近年にない円安となっており、「貧しくなった日本」、「家族で海外旅行など出駆けられなくなった日本」と喧伝する向きもあるが、本当だろうか。一番円が強かったのは、鳩山民主党が政権奪取した数年で、確か1ドル70円台まで高騰していた。この時期、国民は今より倖せであったか。単に、鳩山民主党すなわち親韓政党政権が、サムスンはじめ韓国メーカーを支援し、わが国の家電メーカーを潰すための円高と見えた。

 戦後の経済成長時代、松下電器(現、パナソニック)はじめわが国の家電メーカーは生産品の50%は輸出していたと聞いた。これだけの円高では家電メーカーは急速に業績を悪化させたのは当然であった。当時初めてハワイのホテルに泊まったが、客室のテレビはサムスン製、ロビーなどのテレビはLG製、すなわちいずれも韓国企業製であった。

 その後、自民党政権に戻り、アベノミクスで円安誘導、日銀の操作で株高を演出したが、以降日本の労働者の賃金は全く上がらず、少子高齢化のみ進行した。大企業は内部留保を蓄え、チャイナマネーに惑わされ、品質がほどほどなら兎に角“安く”が蔓延したことも賃金上昇を阻んだ。結局わが国の労働者の賃金は韓国までに後れを取った。先に民主党親韓政権と揶揄したが、復権後の自民党は、親中政権に落ちぶれていたのだ。すなわち、儲けを中共に投資し、わが国に十分還元できていなかったと診る。最近になって習近平の独裁強化で、ようやくその危険性に愚かな経済人も気づいたようで、中共からの撤退を始めたが遅すぎる。

 わが国の五大商社と言われる、『三菱商事、三井物産、伊藤忠、住友商事そして丸紅は、21世紀を迎えた頃から大震災の頃までは、「ラーメンからミサイルまで」と言われた商圏の幅広さが災いして、経済紙に「商社株、“万年割安”の不思議」との記事がでるほどだった。当時の商社は兆単位の有利子負債があり、稼ぐ力も今と違って心許ないものだった。業界トップの三菱商事なども当時有利子負債は3兆円を超え、純利益は623億円(2003年3月期)と現在の十分の一以下でしかなかった。

 23年3月期、三菱商事と三井物産の連結純利益はいずれも1兆円を超えた。24年3月期は前期より減益とはなる見込みだが、それでも三菱商事は9,500億円、三井物産9,400億円、伊藤忠8,000億、住友商事5,000億円、丸紅が4,500億円である。従業員の5社の平均年収は1300万円~1500万円。中堅社員以上のボーナスは年間1,000万円を超えたとも言われる。』 『 』内は文藝春秋五月号、「絶好調!五大商社を鍛えた失敗の歴史」から引用。

 現在の1ドル150円台は、あのバブル期と同程度である。問題は「円安」より、稼いでいる企業が、ちゃんとお金を、国家を支えている人々に分配しないような国家の運用(企業は減税、個人は増税)が問題なのである。





新、時事散歩 第9回

2024年04月25日 | ブログ
「女性活躍」の成れの果て

 女性がホストクラブのような風俗に嵌まるなど「昭和」の時代には考えられなかったように思う。そもそも女性客目当ての風俗店など、昭和の時代にはほとんどなかったのではないか。15歳の少女に相当の額(600万円)のお金を貢がせたホストは、客が未成年者と知りながら貢がせたとして逮捕された。大人の女性は借金返済の為、中国の都市に売春に売られ、体調を崩してしまった。などネットのニュースだったと思うが見た。

 そんなこともあってか、若い女性のハワイ向け一人旅など、売春ツアーを疑われ、入国が拒否されるなどの話も聞いた。いずれも従来の「やまとなでしこ」には考えられない汚名であり、失態である。いずこにも少数であれ犯罪者は生まれる。犯罪行為は行われる。しかし、結果には必ず原因がある。多くの要因の中で、やはり金銭問題は大きい。

 ホストクラブに通うためには、それなりの収入が必要で、先の少女はホストに連れ込まれた例外ケースだったようだ。一般の女性では、それなりの稼ぎがある場合がホストクラブ等通いのきっかけのように診る。要は「女性活躍」の成れの果てなのである。

 そもそも「女性活躍促進法」などという、いかがわしそうな法律が国会で成立したのは、安倍政権下の平成27年(2015年)8月28日とある。そもそも企業において男女間で賃金格差があることは、同一労働同一賃金の原則に反することで、これを確実になくすことが先決ではなかったか。確かに給料の多寡は仕事へのモチベーションに大きく影響する。やる気が削がれると栄進は望めない、そしてさらに男女間の格差が拡大する。同一労働同一賃金を徹底すれば、何も企業活動における「女性活躍」を前面に出す必要もなかった。 

 そもそも男性には、絶対できない、いくら同性愛の男性であっても出来ない、妊娠・出産という大事業が女性にはある。太古より女性はこの難事業を担ってきた。十分活躍してきたのである。

 議会議員の女性割合が低い、企業の管理職の女性割合が低い。いろいろのデータから女性が虐げられて来たような論調が幅をきかせるが、それは出産子育ての女性を守るための社会的システムであった。それを馬鹿な男どもが悪用して、家庭の中でさえ、自身の権限を確保してきただけではないのか。すぐわが国では数値を欧米社会と比べたがるが、その数字をどう解釈するかで見方は変わる。

 「女性活躍促進法」ができて、この日本社会が良くなった部分はほとんどない。少子化はどんどん進んだ。社会で活躍しろ、子供を生めと言われても両方はそれこそ大変である。従って、この法律は弊害ばかり目立つ。国会の婦人議員の中には、人目も憚らず、不倫を行う。しどろもどろの答弁しかできない少子化担当大臣。はたまた学歴詐称を抱えたまま東京都知事にまで上り詰め、わが国初の女性総理を目指すというレベルの政治家しか生んでいない。笑止でしかない。こんな法律はなくても、以前から各方面に優れた女性人材は生まれていた。

 女性蔑視の馬鹿な男が居る職場が問題なのであって、能力があれば性に関わらず登用するようでなければ、企業もこの世界の中で通用しなくなることは自明であろうに。









新、時事散歩 第8回

2024年04月22日 | ブログ
テレビ報道の不思議

 一時期、連日大谷選手や水原通訳関連のニュースをテレビで見ない日は無いような状態だったのに、衆議院議員の補欠選挙が始まり、首都東京も15区で9名の候補者の立候補があり、当然混戦状態で、相当ニュース価値が高いと思われるが、テレビ報道は無い。この件、ネットニュースしかやっていない。要は、現東京都知事が推す候補の応援姿を追うと、例の疑惑に対する批判の声が聞こえてしまうから控えているとしか見えない。

 朝のワイドショーは見ていないので何とも言えないが、お昼のワイドショーはTBSとテレビ朝日、両方観ることが多いのだが、選挙(今回の補選)の話はほとんど無し。島根1区、長崎3区もそれぞれ国政選挙であり、国民の関心は高いと思われるが、各局スルー(21日のNHK7時のニュースで島根一区の与野党対立は報道していた)。

 そうまでして東京都知事を守る必要があるのか。ネット情報だけでは、いくら現在の東京都知事の学歴詐称疑惑が報じられても、スマホなど使わない年寄り層には届かない。逆に7月都知事選挙の投票率は、その様な層は高かろうことを見越して、せめて少しでも現職に不利にならないよう配慮しているとしか思えない。

 一体メディアとは何なのか。現在話題となっていることを国民に周知する、民主政治のための大きな役割があると思うのだが、その沈黙は不思議でしかない。

 それでもいつものキャスターやコメンテーターも示し合わせたように沈黙のようだ。せめて日曜日の「たけしのテレビタックル」くらいでは、知事の学歴詐称をテーマに挙げるかと期待していたが、残念。

 それが真実であろうが、単なる臆測であろうが、大手出版社が大々的に報じた案件はそれこそ明確にしておかねばならない問題である。しかも当該知事は、立候補すれば、三選が間近に迫っている。

 日本は、比較的犯罪の少ない国であるが、民主政治において選挙において候補者が、自身の経歴を偽っているなどあってはならない犯罪である。政治は幼い子供たちからお年寄りまですべての国民、市民の為のものでもある。為政者が偽りの顔で、教育問題や犯罪防止について語ることができるのか。それを大手メディアがスルーしていいのか。

 自民党の裏金問題ではやたら声高に非難しながら、東京都知事の問題は完全スルーはいただけないばかりか、そのことが犯罪行為に思えるのだが。





新、時事散歩 第7回

2024年04月19日 | ブログ
大悪人を増長させるマスメディアの大罪

 スマホのGoogle情報にはよく目を通すが、ある芸能人の方が、大谷選手の通訳をしていた水原一平容疑者を「大悪人」と断じていたのには感服した。その通りであろう。大谷選手の傍らで、大谷選手の良き相棒を演じているような報道を繰り返した、日本のマスゴミの罪も大きい。

 加えて、学歴詐称問題が再燃した現在の東京都知事も大悪人の一人であろう。前東京都知事であった舛添要一氏などもネットに繰り返し、彼女の学歴に関する嘘を摘発している。さらに一時期は小池氏の参謀として小池都政を演出した、元検事で元衆議院議員の若狭勝氏なども、彼女が学歴詐称を隠すための工作に、公文書偽装の疑いを述べている。にもかかわらず、国会議員から東京都知事まで務めてこれたのも、偏に日本のマスゴミの「よいしょ」の所為ではなかったか。

 大悪人とは、表面づら好人物を演じながら、裏の顔の醜いことこの上ない人物を言う。まだまだ大悪人は居る。小池氏を何かにつけて支持していた自民党有力代議士。もっともこの方は表面づらも良くないので、ただのA級悪人。前にも書いたが、自民党をぶっ壊す総理と、それに連なる人脈にも小池氏同様の大悪人が複数居られることは、言わずもなが。

 今回、月刊文藝春秋に「私は学歴詐称工作に加担してしまった」の記事が出て、その方が小池氏の元側近の弁護士だと知ると、「外部からの登用人材には要注意、自分の主張が通らないと反旗を翻す」と小池氏擁護とも取れる発言をされた弁護士も、実は危うい方だと思っている。弁護士の敵は弁護士。マスゴミに上手く乗って、時々の話題をつまんでは稼いでいる。少し古いが中共企業(上海電力)の太陽光発電疑惑もある。

 小悪人が大悪人になるには、メディアの支援が欠かせない。テレビなどは兎に角、視聴率が命だから、その人物の本質の良し悪しなどには頓着しない。政治家に対してもそのようだ。しかし、結局悪人はどこかでボロを出す。「馬脚を現す」「化けの皮が剥がれる」などという。

 メディアの情報に振り回されて、一般国民の政治家を見る目も低下しているように感じる。もともと日本人は市井の人々も政治家の姿を比較的等身大で評価できていたものが、いつの頃からか声の大きさ、テレビへの露出度などに幻惑されてしっかりした人を選べなくなっているように思う。

 現在、テレビが小池氏の件を全く報じないのも、その影響の大きさが、選挙で現職に不利に働くことを知っているからで、どこかで闇の力が働いているのであろう。「この国は本当に法治国家なのか」。安倍政権時代の国会を無視して閣議決定で物事を進めるやり方を批判した、国民民主の玉木代表の言葉を借りて、最近よく聞くようになった。 

 「悪習は身に付きやすいが、良い習慣は続きにくい」などとも言われるが、安倍政権の悪い習慣は、岸田政権にも持ち越されているようだ。そんな中、今回の東京15区の補選候補支援の玉木代表の立ち位置には疑問がある。





新、時事散歩 第6回

2024年04月16日 | ブログ
オーバーツーリズム

 観光大国は良いけれど、外国からこれまでにない大勢の観光客が押し寄せた場合の対策が、政府・自治体に十分取られていたとは思えない。特に安倍政権以降、経済政策の失敗は明らかで、それを補うために、観光大国化構想が生まれ、コロナに阻まれたもののコロナが終息後は、“日本”人気が沸騰中である。コロナ前は中共の人々の爆買いに象徴されるように、お隣のにわか経済発展による貢献が大きかったが、コロナ後は、日本の円安効果もあって、来日し易くなり、日本の良さが欧米の観光客に受け入れられているようだ。

 ただ、京都に代表されるように、観光公害が地元住民を苦しめることになっている。確かに、私もこの3月末に京都に行ったが、まだソメイヨシノの開花前でありながら、大変な混雑で、わざわざ遠く外国から来られた観光客のみなさんは、本当に日本が、京都が楽しめるのか心配になってしまった。

 新幹線駅の改札の大混雑、大通りに空車のタクシーは通らず、市営バスは乗るのも降りるのも大変なほどの混雑。バスの乗車口から降りて、前の運転手に料金を払いに行くという乗客の対応が多くのバス停で見られた。

 ネットによれば、京都の名たる観光地では、ゴミ箱の周辺に入りきらないゴミが散らばっている写真が見られた。

 「失われた30年」とはよく聞いたが、わが国経済低迷の30年は、同時に政治の貧困化の30年であった。行政のトップが思い付きで発する言葉が先行する。先般も前総理が、東京皇居に江戸城天守閣の再建を提案していたが、これも外国人観光客をさらに呼び込む為という解説付き。確かに復元された江戸城を観てみたい気はするが、江戸時代初めの1657年の大火で焼失して江戸幕府も再建していない。江戸時代の初期からすでになかったお城を、大金を掛けて復元するほど、今の日本はお金持ちではなかろうと思う。東京は京都ほどの観光公害には襲われていないと思うが、観光客の流れもシュミレーションし、考えられる不具合を想定し、その対策を講じておく必要がある。しかも皇居は観光地ではない。トップ、都庁のトップも含め、行政の長たる政治家が思い付きで、「どうだ」というのは政治の貧困以外の何物でもない。

 政治の貧困化がなぜ生じているのか。放映権の問題もあってか、権力に媚びるテレビ局に代表されるマスコミの低能化・無力化に他ならない。今回の都知事の学歴詐称疑惑の文藝春秋記事に対するテレビ局のスルーぶりは見事だ。次の選挙に出ないとは言ったが、和歌山選出の国会議員氏が次の選挙までは現役で、彼におもんばって(配慮して)動けないのかどうか。キャスターのレベルが低い、伴ってコメンテーターのレベルが低い。本物のジャーナリストが少なくなっているのだ。

 オーバーツーリズムと関係ないようで、すべては繋がって回っているのだ。学歴詐称の都知事を生むような素地は、そのことを物語っている。

 選挙のたびに蒸し返されて「不愉快」なら、今回なら文芸春秋社並びに小島氏や北原氏を名誉棄損で訴えれば良いと思うが、それが出来ないことが真実を浮かび上がらせている。





新、時事散歩 第5回

2024年04月13日 | ブログ
詰み

 10日発売(8日には郵送されて来た)の文藝春秋五月号の緊急特集“都知事の裏の顔”「私は学歴詐称工作に加担してしまった」という記事が出た。弁護士で元都民ファーストの会事務総長であり、小池知事の最側近と言われていた方の述懐である。同誌には、小池氏のカイロ時代の友人であった女性による、「カイロで共に暮らした友への手紙」も掲載されている。いずれも小池氏の学歴詐称を告発する内容である。

 政治家に限らないが、社会に出てからの活躍と学歴がそのままリンクするものではない。ただ、公的な選挙などに立候補する場合の学歴詐称は、即アウトになることは、過去にはプロ野球の名選手そして名監督であった方の奥様が、選挙に担がれた際、学歴表示に間違いがあって、立候補はならなかった。テレビのコメンテータでよく見かける人だなと思っていたら、学歴詐称があったということで、その後まったくテレビに出なくなったこともあった。

 今は東京都知事という要職にあり、過去には自由民主党代議士として大臣さえ務めた方の学歴が嘘であったなど、本来あってはならない不祥事である。文藝春秋に告発文を掲載した元側近の方も、事実を述べることに、その影響の大きさから相当悩まれたことを記述されている。

 以前から、小池氏の学歴詐称疑惑はくすぶり続けていたわけだが、詐称する側が権力や金の力で、卒業証書等の証拠物件を取り揃えたとの言い分もあれば、摘発側には、小銭欲しさに強請りたかりのようなことをしていると、言うことも出来ないことはない。そういう事例さえあるかも知れない。真実を突き止めるのは難しい。

 小池氏の学歴詐称疑惑に対して、私が観ていないだけで、そういう放送があったかも知れないが、テレビのワイドショーなどに取り上げられているのを観たこともなく、権力側に滑り込むと、メディアに対しても強力なバリアができるものと思ってはいた。ただ、個人的には、『女帝』など読んでもいないが、小池都知事は相当黒に近いと睨んでいる。私自身は都内に住んでいるわけではなく、選挙があっても関係はないが。ただ、小泉元総理時代には、小池氏は環境大臣や防衛大臣として入閣している。内閣の広告塔も演じた訳だ。

 人脈という言葉があるが、繋がり合う人と人は必ずいい面でも悪い面でも響き合う所があるもので、本人を見ても分からない所が、その人の人脈から浮かび上がることは大いにあるものだ。総理大臣までも上り詰めればなお、大臣に任命する人物が学歴詐称で伸してきた人物だったなどと、後から知らなかったでは恥ずかしい話となる。その点安倍氏は、小池氏と距離をとっていたことは正解であった。彼は薄々気づいていたのであろう。

 相手が藤井八冠でなくとも、小池氏の人生ゲームはすでに詰んでいるのではないか。恥の裏塗りを繰り返すことなく、世界の大都市東京の名を汚すことなく、退任されるのが常道であろう。





新、時事散歩 第4回

2024年04月10日 | ブログ
裏金問題自民党の処分

 今回の騒動は誰が自民党総裁であっても難しかったと思う。「赤信号、皆で渡れば怖くない」に慣れ親しんで、議員個人的なスキャンダルは兎も角、今回のように党議員の相当数に関わるような件は、握りつぶすのが派閥の幹部や総裁の仕事となっていたと思われていたのに、問題が拡散し、党内「処分」を実施せざるを得ない事態になった。

  安倍首相時代の後半は、司法を取り込み自民党も政権も1強を謳歌したようにさえ見えた。三権分立も理解しない総理大臣を担ぎ、独裁政治志向は、政権の有様としては最も危険な選択だった。しかし、安倍さんの腰巾着世耕氏などから見れば、司法を制御できない岸田総裁には政治力が無きように見える。

 それにしても、安倍氏が健在の頃は、ヘイコラしていた派閥の連中が、亡くなった途端にその意向に反した行動をとって反省はなし。自派閥の総理を心底尊敬していなかったことを滲ませた。安倍さんもそのくらいは日頃から感じているから、岸田さんへの対抗馬に自派閥から立てず、高市氏を支援した。権力者は自身がその座から退いても、影響力を残したい本能がある。高市氏を操るぐらいは自信があったものと思う。

 岸田さんからすれば、裏金問題に乗じて、安倍派、二階派を潰したかったし、中でも二階氏と世耕氏の首を取れれば御の字だと考えて当然と思える。取り敢えず今回の騒動で、初期の目的は達したように見える。問題は岸田氏本人の権勢欲を、後継に禅譲(託すことが)できるかの自身の器に掛かっている。

 私的には、自民党の二階派と安倍派を除き、維新と国民民主を取り込んで、当面保守二党制で衆院選挙を行い、国民の信を問えば面白いと考えていた。勿論、保守片方の党首は上川現外務大臣または小野寺元防衛大臣。国政選挙の投票率も上がるのではないか。そこで、菅氏、小泉氏、石破氏あたりの無派閥族がどちらに付くかは見どころである。いずれも新時代の日本の総理には寸足らずであることに変わりはないが。






新、時事散歩 第3回

2024年04月07日 | ブログ
静岡県知事辞意表明

 先日の静岡県庁職員の入庁式で、職業差別発言があったと批判が殺到した川勝静岡県知事が、6月で辞めますと辞意を表明した。本人は入庁式でのその発言よりは、リニア新幹線反対問題でのモニタリング会議が意に添わなかったことで辞めることにしたとの意向で、職業を差別する意識は持っていないとのこと(この件、その後撤回して謝罪)。先般JR東海がリニアの大幅な開業遅延を認めたことで、自身の役割の区切りがついたための辞任であると強調していたようだ。

 そこで今度は早速、リニア開業を遅らせるためだけの反対であったのか、との声が挙がり、彼が手にするのであろう退職金の1億円についても批判が出ていた。

 国が認めたプロジェクトを知事が拒絶できる。普天間基地代替の辺野古への基地移設工事も、沖縄県知事の抵抗で遅延した。確かに地元の意向は無視できないが、そのための負のコストは誰が払うことになるのかと言えば、国民全体の負担となることは自明である。リニアの問題でも開業遅延は、静岡県民だけの負担になる訳ではない。

 ただ、国家プロジェクトにも疑問があれば、誰か反対を表明して、プロジェクトの功罪をしっかりさせる事は大切なことではある。リニアではトンネル工事によって生じる地下水への影響(地下水の流れが変化し、周辺河川や地域の生活用井戸水の枯渇)という話は聞いた。不具合が深刻なら工期遅延だけで済む問題ではない。工期を遅らせることで、その間に科学的に是非の結論に行き着いたのかどうか。さらにリニアには採算性の問題もある。人口減少傾向もあり、東海道新幹線ほどの需要はなく、投資が回収できないのではないかという懸念もある。しかし、ここまで投資して今更止めるという選択肢はないだろう。もっともリニアにせずに、地下トンネルは首都圏の核ショルターとしての活用はある。

 東京での豊洲市場の件では、小池知事の良く分からない横やりで、開業が遅れ、オリンピック向けの道路建設は間に合わなかった。本人はシャーシャーとしているが、選挙で再選されればなかったことになるようだ。前任者への批判で、自分を目立たせる手法は、「自民党をぶっつぶす総理」に学んだ手法にも思える。要は目立てば良かったのである。

 一方大阪万博(EXPO2025)は、当該知事は推進派であるようだが、建設費用は高騰し、工期が間に合いそうになく、出展辞退する国も出る始末。過去のドイツでの万博(2000年)も予定の半分程度の入場者数であったなどもあり、「中止したら」の意見もある。

 昔、青島氏が東京都知事に就くと、公約通り前任知事が進めていた都市博を中止した。この時は推進派の知事候補が選挙で、都市博反対の青島氏に敗れたことで、民意として推進派は涙を飲んだ。それで結果の収支はどうだったかは知らない。

 一長一短、リニアも万博も将来への夢へのチャレンジであり、やり遂げてみないと実施後の功罪は分からない。





新、時事散歩 第2回

2024年04月04日 | ブログ
大谷さん事件

 ドジャースの大谷選手の日ハム時代からの付き合いだった、専属通訳の水原さんが起こした事件のこと。情報が溢れており、敢えてここでそれらを紹介する必要などない。特に米国メディアは火に油を注ぐことで、自社の新聞や週刊誌的なものの売上を伸ばすチャンスと捉えて、大谷ブランドをスキャンダルに活用しているだけのように感じる。

 ここで言いたいのは、勿論、事件は個人で起こせるのだが、この社会システム、すなわち米国流の行き過ぎた資本主義が起こした事件であろうこと。その米国流資本主義に、わが国も近年近づこうとしてきた過ちがある。パチンコに始まり、競馬・競輪・競艇に宝くじとわが国にもすでに結構ギャンブルがあるのに、カジノを作る計画さえあるようだ。短時間に多額の現金が動くギャンブルは、闇社会の資金源として昔からある。これを公益としただけのものだ。

 わが国の近年の格差拡大もある。実質社会主義国家とさえ言われた戦後の経済成長時代があった。毎年従業員の賃上げが行われる一方、大企業の重役も数千万円レベルに留まる年収者が多かった。企業組織などで働きに応じた報酬は、できる限り公明正大そして平等な評価が基本であろう。同じ社員でも、その地位や仕事の内容と働きに応じた差があって当然である。またそうでないと、雇用側と従業員間のエンゲージメント(約束、契約、企業と従業員の関係性)が正しく維持されない。

 ただ、何でも「過ぎたるは及ばざるごとし」である。プロスポーツ選手などを獲得するための契約金などが、異常に高騰し、長期契約となる場合、大谷選手の場合のように10年で1000億円までにもなった。日本の球団ではここまで出せる所はなかろうが、それでも投資/効果として価値があるところが凄い。広い観客席の料金は、数千円から数十万円まで設定され、スター選手の登場は、その観客席を満たすのである。さらにグッズ類の売上が相当額見込まれるから、契約金は高くても大丈夫なのであろう。

 しかし、若くして億万長者となったスポーツ選手には、周辺に魔の手が忍び寄る。本人には全くと言えるほど責任はないところで、いろんな落とし穴が準備されるのであろう。球団との契約交渉で活躍する代理人。高額の収入を管理する会計士や弁護士。会計事務所や法律事務所の活躍の場がそこにある。

 それでも、今回のような事件は起きる。そもそも日本人は対人・対外関係に甘い。米国のような人種のるつぼの中で育っていないのだ。そこに海外に進出したスポーツ選手などには、米国流資本主義の行き過ぎた自由の反面、一歩間違えると奈落が待っているのではないか。

 今回の大谷さんの失敗は、原点にある。すなわち渡米時に日ハムの通訳の水原さんを、米国へ同伴したことにある。本来現地の諸事情に詳しい新たな通訳を、エンジェルスから紹介してもらうべきだったのだろうと思う。通訳とは初めから終わりまで、ビジネス上の付き合いに止めるべきであった。そんな事は、今だから言える。野茂さんやイチローさんや松井さんが其処らあたりをどう対処されたのか知らないけれど、そもそも米国は行き過ぎた資本主義の国、自身の儲けを一番に考える人々の群れである。油断は出来なかったのである。





新、時事散歩 第1回

2024年04月01日 | ブログ
自民党二階氏引退の意向

 3月末となって、自民党で幹事長在籍最長記録を打ち立てた二階氏が、次回の衆院選には出馬しないとの、今季限りの引退声明を行った。

 岸田政権が今回の裏金問題の件で、安倍派の幹部経験者などを筆頭に、処罰を検討し始めたが、先んじて、自身でけじめをつけたと聞けば潔いとの印象もあろうが、結局、二階氏への違法な金銭(裏金)、幹事長時代の5年間50億円も含めその出入りは不透明なままお蔵入りとなる公算が大きい。高齢でもあり、そのため(逃げ切り)の今季限りの引退声明だったと推測される。

 歴代の総理大臣はじめ有力代義士には、毀誉褒貶はつきもので、評価は人それぞれで、個人的な好き嫌いも大きく、客観的な評価は難しいところ。私は戦後の政治家人脈の流れに、負の流れを作った元凶ポイントが2つあると思う。一つは田中角栄氏から小沢氏、二階氏の流れ。所謂金権腐敗に加えて親中路線。もう一つは小泉純一郎氏から発した安倍氏への流れ。すなわち世襲定着と新自由主義経済もどき路線の推進。

 角栄氏は、列島改造論で新幹線の地方への延伸を進めた。先日開通した北陸新幹線金沢から福井県敦賀までのルートに見られるように、未だに大きな影響力とその功績の大きさを感じる。ただ、彼が公明党を通じて中共のわが国への浸透を許し、中華民国(台湾)を切り、その後、かなりの額のわが国の資金・技術をかの国に奪われることになった元凶であることは否めないように思う。政治家の金権腐敗は、小沢氏や二階氏に引き継がれ、対中共との交流に関しても両名は大きな影響力を行使した。

 小泉氏の流れで言えば、その郵政民営化が良かったのか悪かったのかと言えば、判断は難しいが、彼の確実な功績は北朝鮮の拉致被害者の一部でも日本に生還させたこと。しかし、一方でバブル崩壊後の経済再生に竹中平蔵氏を登場させ、結果として失われた三十年を残した。そして自身の後継に安倍氏を指名したことは、小泉家の世襲にとって、安倍氏の自民党内での影響力と、その若さで、進次郎氏への繋ぐための布石であったと、思われること。さらに現在の東京都知事である小池百合子氏の跋扈さえ許すきっかけを作ったのも小泉氏だったと思えること。

 東京都民はどこが良くて300万票も彼女に貢ぐのか知らないが、彼女は自民党を離れて一時期は二階氏の自由党などで交流があったようで、次回衆院選で、小池氏が東京の小選挙区から出て国政に復帰するなら、二階氏が協力するような話も聞かれ、一議員としてなら仕方がないが、総理候補に小池氏はごめんこうむりたいと思っていたが、二階氏が引退すればその線は薄くなって良かったのである。

 自民党の悪い流れの系譜は、世襲もあるが、マスコミの政治家への評価がきちんとできていないことに尽きる。小沢氏や二階氏に対する「剛腕」などという誉め言葉はいつから出て来たか知らないが、結局裏金を上手に作り、それで得た人脈を活用したもので、汚い金でも金に顔はなく、自由主義経済の欠点を衝く代表的政治家を、マスコミが誉め讃えるようなことは止めて貰いたいものである。