大手企業の品質問題
4月30日の読売新聞に、『日本を代表する製造業大手で昨秋以降、完成車の無資格検査や検査データの改ざん、不正の隠蔽などが相次いで発覚した。高品質を武器としてきた日本のものづくりの現場で、なぜ不正が起きたのか。・・・』との記事があった。
つい最近も日本ガイシ株式会社で、長期に亘る製品検査での不正が発覚している。
TQM活動(方針管理)もISO 9000の取得もやっている筈の大手企業で、なぜこのような品質問題が次々と起こるのか。ひとことで言えば、「現代の経営者に品質意識が低い」ことに尽きる。一からTQMを学び直す必要があるが、恐らく当該企業の経営者の辞書に「TQM」など無いのであろう。
新聞記事から不正の実態を簡単に振り返る。日産自動車とSUBRUの場合は、無資格の従業員に完成検査をやらせていた。これが確信犯の証拠として、両社とも国などの監査の際は無資格者を外していたらしい。
さらに罪が重いのが、神戸製鋼所、三菱マテリアル子会社、東レ子会社、SUBARU及びこの度発覚した日本ガイシの場合のように、検査データの改ざんややるべき検査をやっていなかったというもの。
このような不正が横行する原因として指摘されているのが、経営陣に現場への関心が薄く、不正を把握できないことや納期や利益優先があること。ここでは「品質第一」が軽んじられ、無理な受注で顧客の求める仕様の製品を作り込めず、損失を出さないためのデータ改ざんがあったりする。従業員には法令や契約を守る意識が希薄で、自社技術への過信から不適合であっても実用上問題はないと考えていたりすること。ただ、法令・契約遵守では、役員が不正を把握しながら握りつぶした事例もあるようで、従業員の責任でなく、企業風土に根ざす問題であることが多いようだ。
これらの品質問題を受けて、文藝春秋今年の2月号に、コマツ相談役で日本科学技術連盟会長の坂根正弘氏(社長時代に“品質と信頼性の追求”を掲げた「ダントツ経営」でコマツを世界第2位の建設機械メーカーに導いた)が「大企業の品質偽装はトップの責任だ」と断じている。
坂根氏は社長時代『取締役会などでバッドニュース・ファーストの経営姿勢を示し、子会社や社内の各事業所・部門から月報を上げる際、最初に環境と安全とコンプライアンスの問題、二番目に顧客で起こっている品質問題を書かせ、業績は最後とした』という。そして近年、経営トップが企業価値の向上に関心が強いことは当然としても、品質に対する関心を失いつつあることを懸念している。
『新たなビジネスを作り出す最大の武器は、顧客にとってその企業・商品でないと困る度合いを高めるためのダントツのサービス、ダントツのソリューションなのです。つまり広い意味での“品質”があるからこそ対価を払ってくれるのであり、企業価値の源泉はそこにしかありません。そのことに考えが至らないから、品質管理がおろそかになり、昨年のような不祥事が起きてしまったとも考えられます』と述べている。
各企業は、今またTQMを考えてみる必要があるのだ。
4月30日の読売新聞に、『日本を代表する製造業大手で昨秋以降、完成車の無資格検査や検査データの改ざん、不正の隠蔽などが相次いで発覚した。高品質を武器としてきた日本のものづくりの現場で、なぜ不正が起きたのか。・・・』との記事があった。
つい最近も日本ガイシ株式会社で、長期に亘る製品検査での不正が発覚している。
TQM活動(方針管理)もISO 9000の取得もやっている筈の大手企業で、なぜこのような品質問題が次々と起こるのか。ひとことで言えば、「現代の経営者に品質意識が低い」ことに尽きる。一からTQMを学び直す必要があるが、恐らく当該企業の経営者の辞書に「TQM」など無いのであろう。
新聞記事から不正の実態を簡単に振り返る。日産自動車とSUBRUの場合は、無資格の従業員に完成検査をやらせていた。これが確信犯の証拠として、両社とも国などの監査の際は無資格者を外していたらしい。
さらに罪が重いのが、神戸製鋼所、三菱マテリアル子会社、東レ子会社、SUBARU及びこの度発覚した日本ガイシの場合のように、検査データの改ざんややるべき検査をやっていなかったというもの。
このような不正が横行する原因として指摘されているのが、経営陣に現場への関心が薄く、不正を把握できないことや納期や利益優先があること。ここでは「品質第一」が軽んじられ、無理な受注で顧客の求める仕様の製品を作り込めず、損失を出さないためのデータ改ざんがあったりする。従業員には法令や契約を守る意識が希薄で、自社技術への過信から不適合であっても実用上問題はないと考えていたりすること。ただ、法令・契約遵守では、役員が不正を把握しながら握りつぶした事例もあるようで、従業員の責任でなく、企業風土に根ざす問題であることが多いようだ。
これらの品質問題を受けて、文藝春秋今年の2月号に、コマツ相談役で日本科学技術連盟会長の坂根正弘氏(社長時代に“品質と信頼性の追求”を掲げた「ダントツ経営」でコマツを世界第2位の建設機械メーカーに導いた)が「大企業の品質偽装はトップの責任だ」と断じている。
坂根氏は社長時代『取締役会などでバッドニュース・ファーストの経営姿勢を示し、子会社や社内の各事業所・部門から月報を上げる際、最初に環境と安全とコンプライアンスの問題、二番目に顧客で起こっている品質問題を書かせ、業績は最後とした』という。そして近年、経営トップが企業価値の向上に関心が強いことは当然としても、品質に対する関心を失いつつあることを懸念している。
『新たなビジネスを作り出す最大の武器は、顧客にとってその企業・商品でないと困る度合いを高めるためのダントツのサービス、ダントツのソリューションなのです。つまり広い意味での“品質”があるからこそ対価を払ってくれるのであり、企業価値の源泉はそこにしかありません。そのことに考えが至らないから、品質管理がおろそかになり、昨年のような不祥事が起きてしまったとも考えられます』と述べている。
各企業は、今またTQMを考えてみる必要があるのだ。