最近のテレビドラマから
テレビ地上波の連ドラは、「相棒」のように半年毎のものもあるが通常3か月毎に入れ替わる。4月から始まったものでは、木村拓哉さん主演の「未来への10カウント」が秀逸である。きちんと回ごと(まだ2回ではあるが)に見せ場がある。テンポがいい。助演陣がしっかりしている。特に満島ひかりさんの楽しそうな演技がいい。
ドラマは、まず脚本がしっかりしていること、主役と相方の相性がいいこと。物語の展開が、世間とかけ離れず、そして現実的になり過ぎない(夢がある)ことが必要であると思う。そこは脚本によるわけだが、空想科学ドラマなら現実離れしていて当然だが、現代を舞台にしたドラマで奇をてらい過ぎるのはダメ。初回途中までしか見なかったが、大泉洋さんと綾瀬はるかさんの、自分を殺した人間に全財産を譲るみたいな設定は、これからいろいろミステリアスで面白い展開もあるのだろうけれど、いただけない。大泉さんと綾瀬さんと当世の人気スターを揃えたはいいが、俳句に季語を2つ入れたような雰囲気になっていて、どちらも立たずの雰囲気がした。
土屋太鳳さんと松下洸平さんの「やんごとなき一族」(フジ)も現実離れの物語で、見始めてすぐに興ざめした。連ドラは見続けて貰える基礎的条件が必須で、先に希望がないと駄目。余りに極端な一族に抗して二人が結ばれてもどうなるものでもなかろうと思ってしまった。
堺雅人さんの3月末のスペシャルドラマ「ダマせない男」(日テレ)は失敗したようだが、こちらも現実離れした脚本と、主役と相方の組み合わせの失敗だったと診る。以前、堺さんはガッキーと組んで「リーガルハイ」を成功させている。これは脇の里見浩太朗さんの存在が大きかった。主役の二人を引き立てるに十分な脇役に力量があった。
この4月からの連ドラで、もう一本、継続して見ようと決めたのが、今田美桜さん主演の日テレ「悪女(わる)」。今田さんは、2019年のテレ朝深夜枠連続ドラマ「セミオトコ」に脇で出ており、その時は全く知らない女優さんだったが、光るものを感じたので調べてみた。「福岡で一番かわいい女の子」としてすでに知られる存在だったようだ。
彼女が主役なので、録画しておいたのに、いざドラマを観て、主役の「若い女優さんは誰だっけ」とまた調べてみたほど、過去の印象と今回の役柄にギャップがあった。このドラマのテーマとして、企業戦士には、今も女性が不利のようなドラマ作りは仕方がないが、職業によって性による適性の異なりは大きく、女性が主に活躍できる職業とそうでない職業との区分けはどこまでいってもあるように思う。
キムタクドラマに返って、木村さんは過去に宮本武蔵役や「武士の一分」で見せた剣の腕は知っていたが、ボクシングもかなり練習しているように診る。まあそこは、名の在る役者さんの凄いところで、単なる演技だけで、剣の達人や天才ボクサー役が務まるわけではなかろう。今回のドラマでの高校4冠達成の天才ボクサーは、大学時代網膜剥離でボクシングを断念した経緯があるという。
柔道の全盛時代に、やはり網膜剥離でその道を断たれた私には、強さのレベルは全く異なるが、その辛さが良く分かる。その意味でも、今後のドラマの展開に期待している。