哀しいカウントダウン
東京オリ・パラ開始まで2か月を切った。東京都議会選挙は6月25日告示、7月4日投開票だからあと一か月と少し。衆議院議員の任期は今年10月21日。その前に自民党総裁の任期が9月30日に切れる。菅首相は任期切れを待たずに衆院を解散すると見込まれているから、総裁選は衆院選の結果で大きく左右される。
東京オリンピックは7月23日から8月8日、パラリンピックは8月24日から9月5日となっているらしい。都議会選挙は、衆院選挙に影響が大きいと聞くが、小池氏の創設した都民ファーストの会との関係もあり、小池氏がオリンピック開催を最終的にどう判断するかは、自身の国政復帰との関係で立ち位置を計りかねているようだ。もっともIOCの圧力から、今更中止は言いだし難い。
一方菅総理にしてみれば、総裁の任期切れ前に東京オリ・パラの成否がはっきりするため、あれだけ国民や各界、外国のメディアから中止要請に耳を貸さず、大きな賭けに出ているように見える。ただ、コロナ変異株の感染拡大はオリンピック終了後にしか表面化しないから、国民にとって損な賭けである。
もっとも国民の声に押されて、決めていたことを180度転換するのであれば、代議員制度の意味がなくなる。決めていたことであるから、コロナ対策を十分にして粛々と実行すべきという意見も当然ではある。ただ、感染症は国民の命が掛っている。オリンピックは確かに人類の夢や希望を乗せてくるが、それも命があることが前提である。大きなリスクは回避するのが真っ当な人間の在り様と思う。その賭けは、勝てば現政権の継続で、負ければ歴史に残る失政となろう。いずれにしても国民にとっては不幸なことのように思う。
米国が米国人の日本への渡航を最高レベルに制限することになった。オリンピック選手や関係者の渡航に制限を加えるものではないとのことだが、バイデン大統領にしてみれば、「オリンピックを中止しろ」とは言えないが、菅首相への中止勧告と思える。
問題はIOCで、責任ある立場の人々から、日本国民を軽んじ、その感情を逆なでするような発言が随所で聞こえ、彼らの本性が垣間見える。
結論として、コロナはなくとも、金に塗れたスポーツの祭典は要らないということ。スポーツマンシップを錦の御旗に、オリンピック選手を過大に評価するのもどうかと思う。確かに彼らの一途な取り組みやその根性は見上げたもので、その体力・能力は、選手個人だけではなく、国々の民の活力の向上に貢献する。スポーツが素晴らしいことは論を待たない。問題は素晴らしいことをいいことに、これを国家単位の政治利用で国威発揚を計り、企業から流れる巨大マネーで、一部の人間が甘い汁を吸うようなシステムが問題なのだ。
いろんな組織は、通常醜く肥大化した後に崩壊する。今の21世紀のオリンピックしかり。ただ、それぞれの競技が好きでやってきた選手たちに罪はない。