年の瀬
年の瀬恒例今年の国内十大ニュース*7)のトップは、「中国製ギョーザ事件」だった。昨年は安倍総理の辞任がトップだったが、今年の福田総理辞任劇は2位に留まった。1国の最高責任者の突然の辞任も、続くと確かに新鮮さはない。それにしてもギョーザでの中毒事件が国内10大ニュースのトップ(正確には「中国製ギョーザで中毒、中国産食品のトラブル相次ぐ」)になるとは私は予想しなかった。顕在化した人的被害からすれば、秋葉原での殺傷事件(第5位)や大阪個室ビデオ店の放火事件(19位)、岩手、宮城地震(第9位)がはるかに大きい。しかし、食の安全は目に見えないため、潜在する不気味さを人々が敏感に感じているためであろう。それにしても食料自給率が低下し続けているわが国が、お金さえあれば何でも買えるとの慢心や、経済学的論拠の比較生産費説*8)を今後も推進するわけにはゆかないことに気付いたことは不幸中の幸いである。以前は、所詮日本は石油が入って来なくなれば何も出来ないのだからと、食料の自給率向上策に懐疑的な論者もいたが、流石にこの頃はその類の評論家をテレビでも見掛けなくなった。地産地消という言葉がよく聞かれるようになったが、業務の「見える化」に倣い、食の「見える化」も必要で、そのためにもやはり近隣で採れることが必要であろう。
世界の十大ニュース*7)は、オバマ次期大統領がトップ。2位は中国四川大地震、リーマン破綻金融危機が3位に続く。こちらの方が何となく分かり易く合点がゆく。ニュースではないが、今年の国内ヒット商品ランキング*9)の第1位は任天堂WiiFit(ウィーフィット)。2位は米アップルのiPhone(アイフォーン)。先端技術はやはり強い。
今年スポーツでは、オリンピックでの北島選手の連覇やプロスポーツ大賞に輝いた石川遼君の活躍は見事であったが、この年末にタレントの間寛平氏(59歳)が、ヨットとランニングで世界一周にスタートしたニュースには、驚きと同時に畏怖の念さえ感じた。完走すればオリンピックの金メダルの比ではない凄さだ。マラソン2万キロ、ヨット1万6000キロ、まさにアース・マラソン。途轍もないことを実行に移す人もいるものだ。
将棋の竜王戦も年末の話題の一つだった。結果羽生名人の3連勝から4連敗で幕を閉じたが、両者永世タイトルを賭けた戦いも初めてなら、将棋のタイトル戦7番勝負で3連敗から4連勝での決着も初めてとなった。第4戦に名人が敗れた時、というより3連勝した時点でいやな気分がした。24歳と38歳。どの世界にも共通であろうが、若い方は戦いながらも強くなる。羽生名人は25歳の時、先輩の谷川17世名人を王将戦で倒して7冠独占という快挙を成し遂げた。栄光もあれば屈辱もある。勝負の世界の厳しさを感じる。
この年の瀬36歳の孤独死がテレビのワイドショーの話題をさらった。「孤独死」の表現の適否は置くとして、彼女の何となく淋しげであった笑顔は、お金の在るなし、有名無名、老若男女に関わらず、なぜか人と人の間に吹く風が乾燥している時代を映していたのであろうか。
未曾有の不況と言われる中で、平成20年西暦2008年は暮れるけれど、一時200円近くまで高騰したガソリンは現在100円程度となり、11月では100円以上した灯油も60円台まで値下がりしている。また円高で、海外に出かける人には結構だろう。世の中悪いことばかりではない年の瀬である
*7)国内、世界の十大ニュースは読売新聞による。
*8)2国が、自らの得意な産業に特化して、貿易を行うことは両国に利益をも
たらす。という理論。日本では工業に比して農業の効率が悪いため、自由
貿易が保証される状況では、農産物は輸入に頼り工業製品を輸出すること
が効率的というもの。
*9)日経ビジネス08.12.15号
年の瀬恒例今年の国内十大ニュース*7)のトップは、「中国製ギョーザ事件」だった。昨年は安倍総理の辞任がトップだったが、今年の福田総理辞任劇は2位に留まった。1国の最高責任者の突然の辞任も、続くと確かに新鮮さはない。それにしてもギョーザでの中毒事件が国内10大ニュースのトップ(正確には「中国製ギョーザで中毒、中国産食品のトラブル相次ぐ」)になるとは私は予想しなかった。顕在化した人的被害からすれば、秋葉原での殺傷事件(第5位)や大阪個室ビデオ店の放火事件(19位)、岩手、宮城地震(第9位)がはるかに大きい。しかし、食の安全は目に見えないため、潜在する不気味さを人々が敏感に感じているためであろう。それにしても食料自給率が低下し続けているわが国が、お金さえあれば何でも買えるとの慢心や、経済学的論拠の比較生産費説*8)を今後も推進するわけにはゆかないことに気付いたことは不幸中の幸いである。以前は、所詮日本は石油が入って来なくなれば何も出来ないのだからと、食料の自給率向上策に懐疑的な論者もいたが、流石にこの頃はその類の評論家をテレビでも見掛けなくなった。地産地消という言葉がよく聞かれるようになったが、業務の「見える化」に倣い、食の「見える化」も必要で、そのためにもやはり近隣で採れることが必要であろう。
世界の十大ニュース*7)は、オバマ次期大統領がトップ。2位は中国四川大地震、リーマン破綻金融危機が3位に続く。こちらの方が何となく分かり易く合点がゆく。ニュースではないが、今年の国内ヒット商品ランキング*9)の第1位は任天堂WiiFit(ウィーフィット)。2位は米アップルのiPhone(アイフォーン)。先端技術はやはり強い。
今年スポーツでは、オリンピックでの北島選手の連覇やプロスポーツ大賞に輝いた石川遼君の活躍は見事であったが、この年末にタレントの間寛平氏(59歳)が、ヨットとランニングで世界一周にスタートしたニュースには、驚きと同時に畏怖の念さえ感じた。完走すればオリンピックの金メダルの比ではない凄さだ。マラソン2万キロ、ヨット1万6000キロ、まさにアース・マラソン。途轍もないことを実行に移す人もいるものだ。
将棋の竜王戦も年末の話題の一つだった。結果羽生名人の3連勝から4連敗で幕を閉じたが、両者永世タイトルを賭けた戦いも初めてなら、将棋のタイトル戦7番勝負で3連敗から4連勝での決着も初めてとなった。第4戦に名人が敗れた時、というより3連勝した時点でいやな気分がした。24歳と38歳。どの世界にも共通であろうが、若い方は戦いながらも強くなる。羽生名人は25歳の時、先輩の谷川17世名人を王将戦で倒して7冠独占という快挙を成し遂げた。栄光もあれば屈辱もある。勝負の世界の厳しさを感じる。
この年の瀬36歳の孤独死がテレビのワイドショーの話題をさらった。「孤独死」の表現の適否は置くとして、彼女の何となく淋しげであった笑顔は、お金の在るなし、有名無名、老若男女に関わらず、なぜか人と人の間に吹く風が乾燥している時代を映していたのであろうか。
未曾有の不況と言われる中で、平成20年西暦2008年は暮れるけれど、一時200円近くまで高騰したガソリンは現在100円程度となり、11月では100円以上した灯油も60円台まで値下がりしている。また円高で、海外に出かける人には結構だろう。世の中悪いことばかりではない年の瀬である
*7)国内、世界の十大ニュースは読売新聞による。
*8)2国が、自らの得意な産業に特化して、貿易を行うことは両国に利益をも
たらす。という理論。日本では工業に比して農業の効率が悪いため、自由
貿易が保証される状況では、農産物は輸入に頼り工業製品を輸出すること
が効率的というもの。
*9)日経ビジネス08.12.15号