中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

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2024日本の課題・世界の問題 第10回

2024年01月28日 | ブログ
アホな財界人の訪中と日中友好

 『日中経済協会、経団連、日本商工会議所のトップが率いる財界合同訪中代表団が23日、北京市に到着した。新型コロナウイルス禍前の2019年以来、約4年ぶりとなる訪中が始まった。』(産経新聞1月23日)

 深刻な経済危機に見舞われている中共は、苦しい時の神(国日本)頼みで、彼らがわが国に微笑みかける時はいずれも同じ。すでに中共の情報機関は、秋の米国大統領選挙でトランプの勝利を確信したようである。再びのトランプショックを、事前にジャパンクッションで緩和しようとしているのである。ただ、情勢が変わればポイとゴミの様に捨てられるわが国と知ってか知らずか、引き続き中共との交易で稼ごうと考える、アホな訪中団である。何が関係改善か!もっともこの日だけは尖閣の海から中共海警船団が消えたそうだ。

 日本には中共からの留学生が毎年10万人とか聞く。留学生が居なくなると潰れる大学など潰せ!よ。在日中国人の高齢化もあり、生活保護を受けている中国人は、東京は5年で2倍に増えたという。国内ではわれわれ零細自営業者からも消費税を集めるインボイス制度を設けながら、外国人までその税金で養うというのだ。一般の外国人は仕方がないにせよ、いつも上から目線でわが国を誹謗する中共政府の人民を養う義務まで無かろうと思う。

 日中友好など、初めからなく、単に中共のためのものだったとは、その著書で石平氏も述べている通りであろう。低レベルの経営者を集めた経済団体など百害あって一利なしとさえ思う。

 いみじくも、2024.01.29号の日経ビジネスに「日本の従業員エンゲージメント(仕事に対する充実度)は世界125カ国で最低」という記事があり、同誌巻末の「賢人の警鐘」にワークマン専務取締役の土屋哲雄氏が、『・・・昨今は億単位の報酬を取る上場企業の取締役が増えているが、若手社員の20倍以上も企業に貢献しているとはとても思えない。』と述べている。

 訪中財界人など、その億単位の報酬を取る取締役の上に胡坐をかくアホどもと言われても仕方なかろう。日中友好など無かった1970年代前半くらいまでのわが国の財界人には優れた方が多かったように思う。伴って政治家もそうだった。

 人間関係において重要なことは、良い友を持ち、優れた仲間と過ごす時間をより多く持つことであろう。中共、すなわち共産主義国家の我利我欲の連中、権勢欲だけの連中と交わっていると「朱に交われば赤くなる」如く、知らず知らずのうちに低脳化し(洗脳されてとも言う)、他人から見れば「アホ」となってしまう。そんな企業で従業員の仕事への情熱が高くなることなどあり得はしない。従って、訪中に喜喜としている財界人など「アホ」としか見えはしない。





2024日本の課題・世界の問題 第9回

2024年01月25日 | ブログ
続、中東

 前稿に引き続き、文藝春秋の記事(前国家安全保障局長の北村滋氏の「ガザは21世紀の硫黄島だ」)からの「・・これが6日戦争と呼ばれる第三次中東戦争だ」に続く引用である。

 『ソ連は、第三次中東戦争に敗れたアラブ諸国の軍の再建に注力する。1970年、エジプトでナセルが急死し、サダトが大統領に就任。同年、シリアでアサド(現大統領の父)がクーデターにより政権を掌握する。ユダヤ教の祭日である73年10月6日、両国がイスラエルを奇襲し、エジプトがシナイ半島、シリアがゴラン高原から進撃し、イラク、ヨルダンも参戦する。同月11日以降、イスラエル側が反撃に転じ、シナイ半島とゴラン高原の両方面で占領地を拡大。これがヨム・キップール(贖罪の日)戦争(アラブ側では「10月戦争」)、第四次中東戦争だ。

 1978年、カーター米大統領の仲介で、イスラエル(メナヘム・ペギン首相)とエジプト(サダト大統領)が平和条約締結に向けた枠組み合意を締結(「キャンプデービッド合意」)。79年、イスラエルとエジプトが平和条約を締結。相互に国家承認し、シナイ半島がエジプトに返還されたが、ガザ地区とヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治区の地位については交渉が決裂した。81年、サダト大統領は、イスラム主義過激派「ジハード団」によって暗殺される。

 1993年に締結されたオスロ合意では、イスラムとアラファト率いるパレスチナ解放機構(PLO)が、イスラエルを国家として、PLOを自治政府として、相互に承認した。94年には、エジプトに続き、ヨルダンがイスラエルと平和条約を締結する。

 2004年にアラファトが死去した翌年、マフムード・アッバースが自治政府議長に就任。一方、06年、パレスチナ立法評議会選挙でハマスが過半数を獲得する。さらに07年、ハマスが武力でガザ地区を掌握し、現在に至っている。』以上が「パレスチナ問題の起源」のであり、イスラエル・パレスチナの歴史的経緯である。

 第二次大戦後の70数年、イスラエル周辺は紛争に明け暮れていたことが分かる。今回のハマスのイスラエルへの広範囲の攻撃を許したことは、イスラエルとその同盟国である米国のインテリジェンスの失敗であった。一般市民を含む1200人以上、イスラエル史上死者数の最も多い1日となった。

 ハマスはこの攻撃の準備に、イスラエルの情報機関に察知されることなく大規模な兵器庫を築いていた。そしてハマスは徹底して傍受、察知されやすい情報通信技術を回避し、肝心な命令等の伝達はアナログな手段を用いていたそうだ。

 それでも、その準備段階で各種情報機関はハマス軍の行動にイスラエル政府に警告を発していたが、政府はその警告を軽視していた。

 現在のイスラエルとハマスの戦闘が、太平洋戦争末期の日本の硫黄島と重ねられるのは、規模こそ違え、日本軍もハマスも地下塹壕で戦っていること。圧倒的な米軍でさえ硫黄島で多くの死傷者を出したことによる。

 本稿は、文藝春秋二月号、前国家安全保障局長の北村滋氏の「ガザは21世紀の硫黄島だ」を全面的に参考にしています。





2024日本の課題・世界の問題 第8回

2024年01月22日 | ブログ
中東

 米調査会社「ユーラシア・グループ」の予測報告書で2024年の「10大リスク」の2番目にランクインされていたのは、「瀬戸際の中東」;ガザでの戦闘は紛争の第一段階。

 本稿では3番目だった『ロシアの侵略によるウクライナでの戦争』を優先したが、わが国では、ウクライナ戦争への関心の方が強いと感じたためである。ほとんどの石油資源を中東に依存するわが国にとっても、中東問題は非常に重要である。ただ中東の問題は複雑で、多くの日本人はその問題の本質まで正しく理解されている人は少ないのではないか。理解していないのは実は私だけかも知れないけれど。

 文藝春秋二月号に、「外事警察秘録特別編」として、前国家安全保障局長の北村滋(しげる)氏の「ガザは21世紀の硫黄島だ」とのレポートがあり、その中に「パレスチナ問題の起源」の項があり、イスラエル・パレスチナの歴史的経緯が述べられている。以下『 』は、当レポートからの引用である。

 『1947年、国連総会がパレスチナ(ヨルダン川と地中海・エジプトに挟まれた地域)をアラブ国家とユダヤ国家に分割する決議を採択し、翌年5月14日、イスラエルが建国を宣言すると、時をおかずしてアラブ5か国(エジプト、ヨルダン、シリア、レバノン、イラク)がイスラエルに侵攻する。これが第一次中東戦争だ。49年7月までに、休戦協定が結ばれ、イスラエルがパレスチナの大部分を獲得したが、ガザ地区はエジプト領となり、ヨルダン川西岸地区はヨルダン領となった。

 1956年7月、エジプトのナセル大統領がスエズ運河を国有化すると、同年10月、スエズ運河の株式を保有していた英、仏が、エジプトと対立していたイスラエルと共謀し、エジプトに侵攻した。これが第二次中東戦争だ。しかし、米ソ両超大国を含む国際社会から非難され、英、仏はスエズ運河から撤退。その後イスラエルも撤退し、エジプトは、「アラブの盟主」としての地位を確立する。・・・

 1957年、アラファト(パレスチナ国初代大統領1929-2004)がシリアの支援で「ファタハ」(アラビア語で「征服」又は「勝利」を意味する)を設立。主にヨルダンを拠点にイスラエルに対する武装闘争を繰り返した。66年には、同国とイスラエルとの国境に地雷を仕掛けてイスラエル兵士を殺害するなどの事件(サム事件)を引き起こしている。

 1967年、エジプトが、第二次中東戦争後シナイ半島駐留していた国連緊急軍を撤退させ、同国の地上部隊を進出させると、イスラエルはアラブ各国の空軍基地を奇襲し、シナイ半島を奪取(6月5日~10日)した。この結果、イスラエルがシナイ半島、ガザ地区、ヨルダン川西岸地区、ゴラン高原(シリア)を占領し、戦争は6日間で終了した。これが「6日戦争」と呼ばれる第三次中東戦争だ。』以下次稿





2024日本の課題・世界の問題 第7回

2024年01月19日 | ブログ
日中国交正常化

 本稿昨年末の「中国共産党 第8回」に『・・・ならば日本は何のために、共産党政権の中国と国交をむすばなければならなかったのか。この問題について、当時の日本の政治家も、後世の専門家も、誰一人として明確な答えを出していない。田中角栄を含む当時の日本の政治家や外務官僚はただ「日中友好」のムードに流されて、なんとなく、中国と国交正常化して良かったと思っていただけだろう。今から見れば、1972年の日中国交正常化の正体は、まさに中共政権による、中共政権のための国交正常化であった。その時から約半世紀にわたる、中国共産党による、日本の利用と、日本叩きの始まりに過ぎなかった。』と、石平氏の著作から引用して記述した。

 ただ、私は1972年、すなわち日中国交正常化を当時の田中角栄首相、大平正芳外務大臣が訪中して成した時すでに25歳であり、一部であれこの国の情報を聞き及んでいた筈である。思えば田中さんが総理に成られる前の政権は佐藤栄作さんで、その政権で田中さんは自民党幹事長をされていたと思う。当時のテレビ等に出演するジャーナリストでは、細川隆元さんや藤原弘達さんが有名で、現在の自民党広報似非ジャーナリストやテレビで見掛けるショボイ評論家などとはスケールが違っていた。

 藤原弘達さんが隣町に来られて講演をされた際に、直接聞いた話は、角栄さんが自民党幹事長の頃だったか。藤原氏の著作である「創価学会を斬る」の出版刺し止めを、角栄氏が直接要求してきたという話だった。その際藤原氏は、角栄氏に対して、「この国の総理総裁を目指している男が、言論の自由を封じるような行動をとって恥ずかしくないか」と返すと、角栄氏は青くなって額に汗していたと語り、皆さんにも見せてやりたかったと述べていた。

 創価学会、公明党は親中であり、その創価学会が角栄氏に都合の悪い出版物の発刊停止を依頼したという事は、すでに中共の日本浸透政策は、佐藤政権の自民党の幹事長にまで及んでいたということか。

 先々代(短期の石橋政権と池田政権を挟む)の総理総裁であった当時の岸信介氏は、一番の台湾派と聞いており、岸さんが預金する銀行から預金の全額を卸したら、その銀行は倒産する、などの噂を聞いていた。岸さんは自民党でも一番右寄りの政治家と目されており、池田元総理の流れを汲む大平さんなどとは距離があった。岸内閣時代、安保反対の大騒動がこの国にあったこともあり、当時の世相として、台湾派に負のイメージが残っていた。それらのイメージ醸成に、中共の工作がどこまで関与していたかなど分からないが、結果として中共との国交を後押しする世論があったように思える。

 石平氏はその著作で、『田中角栄を含む当時の日本の政治家や外務官僚はただ「日中友好」のムードに流されて、なんとなく、中国と国交正常化して良かったと思っていただけだろう。』という関係者に阿った印象を述べられているが、角栄氏がムードに流されてだったとは、今更ながら私には思えないのである。






2024日本の課題・世界の問題 第6回

2024年01月16日 | ブログ
ウクライナ戦争

 米調査会社「ユーラシア・グループ」の予測報告書で2024年の「10大リスク」の3番目にランクインされているのが、ロシアの侵略によるウクライナでの戦争。専門家の解析に基づく予測でも、先のことは「判らない」のが実態であろう。

 米国の大統領選挙で、トランプ氏が再登場となれば、米国のウクライナ支援は縮小されるとの見方がある。そうなればプーチンは濡れ手に泡で、ウクライナの肥沃な大地を手に入れて侵攻は大成功となるチャンス。反面すでに、ウクライナに加勢するロシア人による500人規模での義勇軍が登場しており、それを先駆けとして、プーチン大統領に対するクーデターが起こり、ロシア軍がウクライナから撤退するという可能性もなくはないらしい。しかるにプーチンにすれば、ロシア軍の疲労を考慮して、ウクライナのNATO加盟を認め、現状の支配地域を維持する形で停戦に持ち込むシナリオもあるという。

 一方、ゼレンスキー大統領は、先にロシアに巻き上げられたクリミア半島まで奪還するまで戦闘を継続する覚悟であろうから、ロシアの停戦案には応じないであろう。最近でもイギリスのスナク首相がウクライナを訪問し、4600億円の軍事支援を表明したし、日本の上川外務大臣も引き続きの支援を表明している。米国大統領選挙で、トランプ氏が選出されたとしても、西側諸国の結束を裏切るようなことは出来なかろうと思う。

 台湾問題では、総統選挙で民進党が初めて3連覇して、現状維持を宣言したが、これに中共は「あくまで台湾は中共の一部」と強調している。太平洋戦争のどさくさに、中国共産党は、蒋介石率いる中華民国を台湾にまで追い落としたが、結局台湾の共産化には成功していない。すなわち、台湾は一度も中共の領土であったことはない。現在の中共政府が台湾を中共の一部であり、台湾は中共の内政問題であるというのは、全く間違った発言というより、中共政府の妄想に過ぎない。わが国も角栄政権で間違えた。台湾(中華民国)を捨て、なぜ中共に走ったか。その歴史の渦中に立ち会った一国民としての私見は、次回述べたい。

 ロシアのウクライナ侵略は、中共と台湾の問題とリンクする、世界の中露二大独裁勢力の横暴の最たるものだ。停戦協議に中共を入れるという意見もあるようだが、中共が西側諸国の意向に沿うことは考えにくい。プーチンや習近平が、人権を無視して自分たちの権益のために武力でもって他国を侵略しようとする様は、人類の歴史を何週回も巻き戻している姿だ。

 彼らの横暴を、自国の目先の国益の天秤に掛けて許してはならない。ここで易きに流れれば、西側諸国の子供たちに重大なリスクを残すことになろう。目先の損得に囚われてはならないのだ。今年、奇しくも目白台の角栄邸が全焼した。住人であった真紀子氏などの所為では決してなかろうと思う。不思議な因果応報によるものであろうと思ってしまうのだ。








2024日本の課題・世界の問題 第5回

2024年01月13日 | ブログ
法治国家

 落語家の立川志らく氏が、松本何某の不祥事疑惑週刊誌報道が、松本氏の芸能活動当面休止に繋がり、世間で問題になっていることに関して、「被害を受けたという人は、警察に訴えるべきで、まず週刊誌が犯罪情報を把握するというのはおかしい。週刊誌のとやかく報道する内容を信じるのはおかしい、自分は週刊誌を信じていない」のような趣旨のコメントを発していた。

 ただ、安倍氏が銃撃されて亡くなった事件も、加害者が政治家と怪しげな宗教団体との癒着を警察に申し立てても、何も起こらなかったと思われる。今回の政治家のパーティー収入の政治資金収支報告書への不記載問題にしても、自民党幹部までに、逮捕者が出るようならそれは検察のクーデターだ。その後の法務・検察の人事で報復されることになるから、さすがに検察もそこまではやらない。というような大物政治家と言われる人のコメントがあったようだ。

 先にテレビの報道番組で、例の似非ジャーナリストが、「政治家には逮捕者は出ない」と発言しており、池田代議士の逮捕の後、不見識を詫びたということがあった。単なる自民党の報道官を政治ジャーナリストと呼び、コメントを求める世間やマスコミが悪い。

 要は、政治家の周辺をよく知っている人物ほど、この国が本物の法治国家などとは思っておらず、しかもそれを容認しているのだ。このような国で、犯罪者と微妙な関係にある被害者が、のこのこ警察に出掛けて被害を訴えようとは思わないし、訴え出たとなれば、闇に塗れてどんな危害を受けるかわからない。芸能人や政治家に対しては、警察よりも週刊誌の方が庶民の力強い味方に思えるのであろう。

 安倍氏が銃撃されて亡くなって直ぐに、どこかの大学の教授という人物が、どこかの企業のCEOを退任した。このような人物も、やっていることに後ろめたいことがある場合、警察は怖くないが、命を捨てる覚悟の人物は怖い。最近もなお、シャーシャーと「派遣労働者が増加したように言う人も居るけれど、わが国の勤労者6900万人のうち146万人。すなわち僅か2.1%に過ぎないのです」(数字は発言とずれがある)のように述べていたが、「派遣」という不安定雇用者が146万人も居るのである。その割合を論ずるなら、母数からパート・アルバイトの非正規雇用者数を差し引かねばならないだろう。大企業を儲けさせるためだけの人事施策を政府関係者が後押しするべきではない。

 また、政治家は権力を乱用するべきではなく、特に三権分立、法律の基盤である憲法は解釈変更で曲げてはならない。現行法で出来なければ、当面は別の方策を検討すべきだ。時の政権が都合の良い解釈で憲法を曲げるようでは、わが国は法治国家とは言えない。

 鳩山氏、菅氏、野田氏の民主党政権の拙さが、知性も教養も感じられない、それゆえやりたいことを強引に進めた政権が10年も続いた。財界も人材不足で中共にしゃぶり続けられた。日本のビジネスマンをスパイ容疑で拘束し、抗議すると「中国は法治国家だから、法に基づいて裁く」と皮肉られる始末である。





2024日本の課題・世界の問題 第4回

2024年01月10日 | ブログ
世界の10大リスク

 9日の朝刊に、国際情勢のリスク分析を行う米調査会社「ユーラシア・グループ」の予測報告書から2024年の「10大リスク」の記事があった。

 1位は、「米国の敵は米国」;大統領選で分断と機能不全が深刻化。以下、2位は「瀬戸際の中東」;ガザでの戦闘は紛争の第一段階。3位、「ウクライナ分割」;ロシアは占領地を維持、今年が戦争の転換点に。4位、「統治されないAI」;選挙に影響を与えるために生成AIが利用される。5位、「ならず者の枢軸」;ロシア、北朝鮮、イランの連携が脅威に。6位、「中国回復せず」;金融の脆弱性や需要不足に対応できず。7位、「重要鉱物をめぐる争い」;各国が産業政策と貿易制限を強化。8位、「経済的逆風」;インフレが経済の足かせに。景気刺激策は限定的。9位、「エルニーニョ再来」;異常気象が食糧難や水不足、病気の要因に。そして10位は、「米国でのビジネス」;企業は米国の「分断」への対応に苦慮。

 米国の調査会社が、自国の分断の深刻さを指摘しているのだから、相当のものなのだろう。石平氏の「中国共産党 暗黒の100年史」第1章「浸透・乗っ取り・裏切りの中共裏工作史」に、『中共の対米工作に関与している中国人民大学の翟東昇(てきとうしょう)教授が2020年末の講演で公然と、「トランプ政権以前、米中関係はわれわれの手の内にあった」と豪語し、そして今のバイデン政権の子息の名前まで持ち出して、今後のバイデン政権の対中関係改善に大きな期待を寄せている。中国共産党はこれまで、アメリカ政界にかなりの規模で浸透工作を進め、成功させてきたことがわかる』とある。

 すなわち、今回の10大リスクの筆頭に、米国の分断があるとすれば、それは中共の裏工作、浸透工作が、米国内の分断に向けられ、それは元々多民族国家である米国の弱みを突くものであり、 見事に中共の策に嵌ってきたということであろう。

 大統領選挙に関わらず、米国内に居住する中国人(中国系米国人も含め)に対して、その言動は取り締まりの対象とすべきであり、そのことはわが国も含め西側諸国すべての政府に対しても言えることだ。彼らは西側諸国の民主主義を逆手に取って、われらの自由と民主主義の国家を攪乱する。米国の内部対立を煽り、その国力を削ぐ戦略であろう。

 第6位にランクインされた「中国回復せず」は、中国経済の低迷が世界の経済に与える影響の大きさを言っているのであろうが、これは嬉しいリスクである。鄧小平の解放改革で巨大化した中共の自由主義的経済を、いまさら本来の共産主義国家の統制経済に戻そうとするのは、経済音痴の習近平だから思いつくことであろうが、国家としての経済発展には逆行する話で、国力は大いに低下する。

 中国は経済発展で民主化すると、手前勝手な思い込みで、悪魔と手を組んだ西側諸国の政財界の愚かさが、ここに来て失地回復となるかどうか。中国経済が回復しないことで低下する世界経済より、中共の横暴による、特に周辺国への脅威が低下する方が、何倍もありがたい話である。




 

2024日本の課題・世界の問題 第3回

2024年01月07日 | ブログ
大災害と大事故

 滅多にない年明けとなった。能登半島を中心とした大地震。7階建てのビルも倒れ、現地の木造家屋の多くが崩壊した。5日の時点で死者98名、安否不明者が未だ200名を超えている。しかし、2日の夕刻のテレビに映し出されていたのは、羽田空港滑走路で燃え上がるジャンボ機であった。海上保安庁の被災地へ救援物資を運ぶ小型飛行機と滑走路で衝突したという。

 ああ、何人の犠牲者が出る事かと暗澹たる気持ちになった。その後ジャンボ機の子供さん8人を含む乗客367人、乗員12名は全員無事(14名が負傷)との報道に安堵した。その後のネット情報では、イギリスのBBC放送は「奇跡の18分」とCA(客室乗務員)などの冷静な誘導を称賛していた。乗り合わせた中国人の方は、それ以上に静かにCAの指示に従って行動する乗客の態度に感動したという。中国で同様の事故が起きれば、乗客はパニックとなりCAの指示に従うどころか暴力をふるう事さえ想像してしまうという。

 残念ながら海上保安庁機の乗務員6名の内、5名は亡くなってしまった。小型機であったため、機体の損傷、火の回りも早く脱出できなかったようだ。

 日航乗務員の日頃の訓練の成果が見事に発揮された「奇跡の18分」であったが、それは乗客と乗員の心を合わせたファインプレーであった。乗員は訓練されていても乗客は旅客機に乗る訓練を誰もが受けているわけではない。事あるときにはそこのリーダーに身を任せ、指示に従う日本人の心根の為せる業である。

 そうであっても、対応した日航機の乗務員さんは、顕彰に値する仕事ぶりではなかったか。便利な世の中は、その分リスクと背中合わせである。確率は小さくとも、絶対“0”にはなり難い。事あるときにどのような行動をとれるか。常に自戒しておくことが大切である。

 わが国も政治・経済・社会に少なからず課題を抱えるが、外国人観光客などからは、気候風土、食事、歴史的建造物、人々の温厚な暮らしぶり、生活の利便性など賞讃の声が多いようだ。革命が起これば国王・領主などを皆殺しにしてきた国家群と比べ、わが国は権力者も皇室を敬い存続させてきた。特にわが国には徳川時代260年間という文化擾乱の稀有な時代があった。現在、外国の一般の人々がこの国を訪れて感動する精神文化は、江戸時代に育まれた文化に起因すると思われる。

 中共が、わが国や西洋のテクノロジーを入れて、経済発展を遂げても、所詮彼らに「江戸時代」はなかった。

 現在でも、山本周五郎、池波正太郎、藤沢周平などに代表される江戸時代小説が、テレビや映画の題材として残るのは、日本人の精神文化の有様を伝え残すものだ。勿論われわれにも課題は多いが、乗り越えて行けるはずだ。今回の「奇跡の18分」は、そんな希望を抱かせるものでもあった。





2024日本の課題・世界の問題 第2回

2024年01月04日 | ブログ
戦乱

 コロナが治まってきた2022年2月に始まったロシアのウクライナへの侵略は、もうすぐ2年を迎える。

 当初、盛んに流れたのはロシアの独裁者プーチンの重病説。中にはすでにプーチンは病院で死去しており、影武者の一人がプーチンを演じているというものまである。プーチンが亡くなれば侵略は停止されるという、希望的観測を西側諸国にバラマキ、ウクライナへの戦費支援を、もう少しの期間だから頑張れ的な世論誘導があったものか。

 現在のプーチンが本物であれ、影武者であれ、ロシアという国の非道さに変わりはない。独裁者プーチンより、取り巻き連中のほうが、なお始末に悪い。日本との北方領土交渉など、プーチンには少しであれ日本への歩み寄りが見られた。プーチンにすれば、歯舞・色丹の小さな島を返すことで、日本の技術と資金でサハリンやシベリア開発を進める方が、はるかにロシアにとって有益であると考えていたように思う。

 ただ、側近の連中のほうが、昔ながらの固陋で、戦争で取ったものは返すものかと絶対反対であったのであろう。ただ、歯舞・色丹だけではプーチンの言う「引き分け」にはならず、そのことで、シベリア開発に、日本が本格的に援助すれば、ロシアの国力は増大し、却って北海道全体が危うくなる懸念もなくはなかった。

 今年は米国大統領選挙の年で、トランプ優勢説があって、台湾問題、ウクライナ支援に大きな影響があるような報道がある。いずれにせよ、中共の台頭で、世界の勢力地図は塗り変えられてしまった。日本を含め西側諸国の根拠の薄い希望的観測で、民主化どころか軍事超大国まで中共を太らせた。米国のニクソン・キッシンジャーが蒔き、クリントンなどが育てた悪魔の大国である。近年ではドイツのメルケル、フランスのマクロン、一帯一路に協力したイタリア前政権、80年代以降の日本の歴代政権もその成長に貢献した。自国の財界との結託で、戦略的互恵どころか、中共に一方的に有利な関係を築いてきた印象がある。

 ここに来て、昨年からはイスラエル、すなわち中東問題が戦乱に加わってしまった。元々ハマスというテロ集団が起こした紛争であるが、西側民主国家へのガザ地区住民の受難を伝える世論誘導で、イスラエルは苦しい立場にある。

 民主国家は良いように見えて、悪徳商人や悪徳政治家が跋扈している。マスコミが彼らに加担することもある。自分への実入りを最大化する状況を作り出すために、悪魔とも手を組む。そこに中露の大国の付け込む隙が拡大する。戦争はなくなりそうにもなく、民衆の貧富の差は拡大する。





2024日本の課題・世界の問題 第1回

2024年01月01日 | ブログ
政治家の貧困

 年末は、政党の資金集めパーティーの抜け穴問題で、自民党安倍派(清和会)を中心に検察の捜査の手が入り大騒ぎとなった。安倍長期政権の何でもありは、私など素人目にも自民党の終わりの始まりに見えて、本稿でも触れたがその通りになってきた。

 政治家自ら「法令順守」を侮どり、中露のような独裁政治手法を真似て、三権分立もないがしろにするような総理大臣は、それは指導力でも突破力でも、政治力でもない、単なる横暴であった。 

 そのような政治家の闊歩の大きな要因として言われるのが、世襲への批判であり、対策としてあるのが、親の選挙区を離れて立候補しろという意見。しかし、今の小選挙区制で、空きがあればいいが、押し掛けられた元々の議員は迷惑千万であろう。

 要は、問題は「世襲」そのものではなく、先代の地盤を引き継ぐ子息等の品性・人格・教養・能力である。それらが政治家として合格点であれば、地元有権者も安心で支持するであろう。ただ、利権主義はいけない。テレビのインタビューなどの地元政治家への評価が、いかに国家予算を地元に引っ張って来ているかに価値観があるような弁が多い。そのことが国家的にみても必要で適切な投資であれば問題ないが、引っ張ってきたプロジェクトの担当業者から、「よっしゃ」「よっしゃ」で裏金を集める輩、政治家が多かったことも事実であろう。

 中共との関わり方を診ても、経済優先で、人権問題や地球環境対策からの視点は希薄である。日中友好はこの国にとって必須であるような思い込みがあるが、結果この国がいかにかの国から餌食にされて来たかが、石平氏の著書(「中国共産党暗黒の百年史」)からも明白である。中共との関わりがなかった1970年代前半までの日本の経済発展をみても、いかに中共などとの付き合いは無益で損害の多いことか知れているのに、弱みを掴まれているのかどうか、きちんとものの言える政治家も評論家もマスコミも財界にも居りはしない。

 未だに日本人の生き血が彼らに吸い取られ続けている現実を、まず政治家が問題視し、財界を指導して、経済のこの国の在り様を変えなくてはならない。中共はすでにわが国の技術協力なしで十分自立できる体制を築き、世界制覇に向けて原爆実験も再開するらしい。日本の原発事故の処理水問題では必要以上に文句を付ける中共だが、自国の原発では結構不具合も多く、自国民への刷り込みが両刃の剣となって、いざ大きな原発事故の発生時には、大混乱するのではないかとの懸念もある。

 貧しい国は次々と赤ん坊が生まれるのに、一般に先進国は少子化、高齢化が喫緊の大問題である。大きく構築された社会機構を維持するための、人材不足は深刻である。上から下まで人手不足。少子化を目先の給付金などで胡麻化しているから少子化は進む一方である。不具合の徹底した原因究明が成されずに、目先の手当てで胡麻化そうとするからうまくゆかない。要は政治家自身のさもしさに起因しているのだ。何でも金の尺度でしか評価できないからそうなる。人間としての自己価値観の再確認が政治家を筆頭に必要である。