品質管理の真骨頂
我々の日常は、問題解決の積み重ねと言っても過言ではないと思う。大小や緊急性に違いはあって、放っておいても格別当面なんということはない問題から、直ちに対処しなくては命に関わるような問題までさまざまであるが、誰もが日々避けて通ることは出来ず、対処しながら平和な生活の維持に努めている。これら問題解決に指針を与えるのが品質管理の考え方であり手法なのである。だから我々の社会生活の営み全般に通じる考え方であり、企業経営には欠くことができない管理手法なのである。
ここで言葉の意味を確認しておきたい。(社)日本品質管理学会編、新版品質保証ガイドブックによれば、『問題と課題の定義については書籍によって若干異なる。最も代表的なものは次の定義である。①問題:「あるべき姿」と「現状」の乖離。②課題:「ありたい姿」と「現状」の乖離。』とある。問題は現実にも溢れているし、望みもしないのに勝手にやってくる。一方課題は、その設定に意志が働く。多くの問題の中で、この案件についてはこのレベルまでは改善を図ろうというのである。
実はガイドブックの解釈と少しずれるのだけれど、私は課題については、前述のように数ある問題の中で、比較的緊急性が少なく一時的にしろ放置されていた問題の解決を方針管理に取り込んで(その時点で問題は課題となる)解決してゆくことだと解釈している。中には問題と認識さえされず放置されており、新任のリーダーやISO監査時の指摘によって知る問題もある。大きな問題だと分かっていながら、先送りされている問題もあるのではないか。
これら問題・課題解決手法を具体的なアプローチ方法として開発し、確立し実践して成果をあげたところに日本のTQCの素晴らしさがある。その要諦はPDCAであり、QCストーリー*20)なのだけれど、品質管理の真骨頂は、品質管理活動を企業において日常化することによって、従業員に問題を発見する習慣とその力が身に付くことにある。そしてその解決にしっかりした現状把握が必要であること。問題の原因の掘り下げによって、可能な限り根本原因に対して対策を講じることが重要であることを体得できることにある。
昔、社内教育で聴いた話がある。『旅人が農家の煙突が壊れて傾いているのを見つけ、炎が噴き出せば藁葺きの屋根に燃え移ることをその家の主人に伝えたところ、主人は「いらぬお節介は焼くな」とけんもほろろに旅人を追い返えした。しばらくして、煙突から火が漏れて藁葺き屋根に火がまわり、燃え上がっているのを見つけた別の旅人が農家の主人に通報し、協力して火を消した。農家は軽微な損害で救われた。主人はその旅人に感謝し、恩人であるともてなしたのである。しかしその後、それら一連の話を聞いた高僧は、最初に注意してくれた旅人こそ大切な人だと、その家の主人を叱ったのである』。
*20)問題・課題解決手法、PDCAおよびQCストーリーについては、本HPエッセー平成22年10月9日の「続、品質保証再考其の14」に解説している。
我々の日常は、問題解決の積み重ねと言っても過言ではないと思う。大小や緊急性に違いはあって、放っておいても格別当面なんということはない問題から、直ちに対処しなくては命に関わるような問題までさまざまであるが、誰もが日々避けて通ることは出来ず、対処しながら平和な生活の維持に努めている。これら問題解決に指針を与えるのが品質管理の考え方であり手法なのである。だから我々の社会生活の営み全般に通じる考え方であり、企業経営には欠くことができない管理手法なのである。
ここで言葉の意味を確認しておきたい。(社)日本品質管理学会編、新版品質保証ガイドブックによれば、『問題と課題の定義については書籍によって若干異なる。最も代表的なものは次の定義である。①問題:「あるべき姿」と「現状」の乖離。②課題:「ありたい姿」と「現状」の乖離。』とある。問題は現実にも溢れているし、望みもしないのに勝手にやってくる。一方課題は、その設定に意志が働く。多くの問題の中で、この案件についてはこのレベルまでは改善を図ろうというのである。
実はガイドブックの解釈と少しずれるのだけれど、私は課題については、前述のように数ある問題の中で、比較的緊急性が少なく一時的にしろ放置されていた問題の解決を方針管理に取り込んで(その時点で問題は課題となる)解決してゆくことだと解釈している。中には問題と認識さえされず放置されており、新任のリーダーやISO監査時の指摘によって知る問題もある。大きな問題だと分かっていながら、先送りされている問題もあるのではないか。
これら問題・課題解決手法を具体的なアプローチ方法として開発し、確立し実践して成果をあげたところに日本のTQCの素晴らしさがある。その要諦はPDCAであり、QCストーリー*20)なのだけれど、品質管理の真骨頂は、品質管理活動を企業において日常化することによって、従業員に問題を発見する習慣とその力が身に付くことにある。そしてその解決にしっかりした現状把握が必要であること。問題の原因の掘り下げによって、可能な限り根本原因に対して対策を講じることが重要であることを体得できることにある。
昔、社内教育で聴いた話がある。『旅人が農家の煙突が壊れて傾いているのを見つけ、炎が噴き出せば藁葺きの屋根に燃え移ることをその家の主人に伝えたところ、主人は「いらぬお節介は焼くな」とけんもほろろに旅人を追い返えした。しばらくして、煙突から火が漏れて藁葺き屋根に火がまわり、燃え上がっているのを見つけた別の旅人が農家の主人に通報し、協力して火を消した。農家は軽微な損害で救われた。主人はその旅人に感謝し、恩人であるともてなしたのである。しかしその後、それら一連の話を聞いた高僧は、最初に注意してくれた旅人こそ大切な人だと、その家の主人を叱ったのである』。
*20)問題・課題解決手法、PDCAおよびQCストーリーについては、本HPエッセー平成22年10月9日の「続、品質保証再考其の14」に解説している。