正体を見る
今回の一方的なロシアのウクライナ侵攻に、わが国でもいろんな論評が出て、図らずも日頃いろいろこの国の在り方を論評している面々の正体が垣間見える。
わが国としては、同盟国米国をはじめとするNATO側に立つことは当然のことで、そのために北方4島返還交渉が完全に途絶えたとしても、それは仕方のないこと。いずれにしてもロシア側は返還する意思はないのだから、ロシア側に配慮してという発想は元々無意味だ。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領のわが国のリモートによる国会演説にさえ猛反対した御仁もいらっしゃる。どのような案件でも賛成、反対があって仕方なく、誰でも意見を言う事のできることが、自由主義国の良い所なのだ。それにしても、紛争の当事国の一方にだけ加担するような配慮は如何なものかとする論調は、今回の件には全く当て嵌まらないように思う。全くの間違いなのだと思う。いろんな意見は結構だが、その前提の認識が間違っておれば、やっぱり論外である。
この紛争は、現在は戦争状態にあるけれど、お互いに宣戦布告したわけではなく、ロシアが一方的にウクライナの国土を取りに行ったのだ。ロシア脳からすれば、いろいろ理屈はつくだろうが、それを許したら世界の秩序は全く成り立たないことになる。ロシアと友好関係にある国、資源や資金提供を受けてきた国もあるかもしれない。立場、立場で思惑は当然に異なってくるだろうが、正しくないことは、国家間の関わり合いはどうあれ、正しくないと言わざるを得ない。
不法な侵攻(侵略)に対して、抵抗すれば国民の命が失われるだけだから、万歳しなさいとの助言も正しくない。全くの上から目線のおせっかいであった。しかし、現代の日本人には、当面の命を繋ぐことが、将来の復活に繋がるのだから、ここは臥薪嘗胆、一旦降伏しましょうとの意見を支持する考え方の方も結構いると思う。わが国の米国の戦後統治が上手く行き過ぎて、米国の思惑通り二度と戦争できないDNAが日本人に見事に組み込まれてしまったのだ。
ただ、これも実は正しくない。失われた国土は本来二度と還って来ない。日本の北方4島、竹島も見ても分かる。小笠原や沖縄が返って来たのは、米国が統治するのが面倒だったからに過ぎない。米国からみて、統治コストに見合う資源やその他、益する物がなかったということ。勿論冷戦下、日米同盟の維持にも必要な配慮でもあったと思われる。
それにしても、日頃いろいろな発言が、ネットなどで公開されるような方、(元)政治家であったり、著名な評論家だったり、しかし、みなさん「正体見たり枯れ尾花」で、本当に深い洞察力や教養がおありなのか疑われる。
それだけ、わが国の究極の危機管理、すなわち「国防」に関して、公的に深い議論や考察が成されていないことが大きな問題ということではないか。
韓国のように若い時に、国防に携わることが必要な気がする。自分も勿論経験がない。しかし、どのような仕事をするにせよ、究極のぎりぎりの選択に肝が据わる効果もあるように思う。