中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

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時事散歩Ⅵ 第10回

2017年11月28日 | ブログ
慰安婦問題への対応

 国家間の合意事項に逆行するような行動を続ける韓国。日本の外務省はいつも遺憾の意を伝えるが、向こうはそんなもの痛くも痒くもない。北朝鮮に対する制裁には過剰なほどに声高に叫ぶ安倍首相も韓国に対しては何のペナルティも課そうとしない。明らかな詐欺行為をこのまま無罪放免でいいのか。

 サンフランシスコ市に慰安婦像の設置、はたまた慰安婦の日の制定と、2015年(平成27年)12月28日の日韓外相会談で結ばれた、慰安婦問題を最終かつ不可逆的に解決するために行われた日本政府と韓国政府の合意が全く踏みにじられ続けているにも関わらずである。

 そんな中、わが国の財界は韓国への投資を増やし、最近訪韓した公明党の山口代表も韓国の大統領との会談で、慰安婦問題の日韓合意の履行を要求しないどころか、慰安婦問題さえ口にしなかったそうだ。唯一、サンフランシスコ市と姉妹都市を解消した大阪市長は立派。

 安倍首相はこの日韓合意を進める際、自分が責任を取るような発言があったそうだが、今や全くその気配はない。

 中国であろうが、韓国であろうが、確かに経済的つながりが強く、軽々に対立行動はとりにくいことは分からないでもないが、中韓は常にかなり一方的にその友好関係を踏みにじる言動を成す。多くの日本国民はすでに我慢の限界を超えているのではなかろうか。

 以前は、日本にいる中国人であろうが、在日の方、または韓国からの訪日の方でも差別感は無く、同じアジア人、隣人民族として友好的な感覚であった。ここ数年その感情は全くくつがえされ、観光客であろうが日本に長く住んでいる方であろうが中韓の方とは一線を画すような気持になってしまった。

 同じような日本国民は今の所多数派ではないにせよ、恐らく増え続けていくと思われる。これ以上政府が外務省ルートの苦情程度で、それ以上の踏み込んだ対応を取らなかった場合、中韓はさらに言いたい放題やりたい放題を続けるだろう。現在日本の政界は、野党が全く信頼できないことから、相対的に与党に多数の票が集まっているに過ぎない。国政選挙にして50%台の投票率がそのことを表している。民衆の不満はあるとき堰を切ったようにあらぬ方向に流れ出る恐れがある。

 韓国など、日本政府の甘い対応に、日本国民さえ舐めきっているのだろうが、一般の日本国民の怒りをこれ以上買って、どんな得があるのだろうか。昔スペインは、過去の植民地政策などをヨーロッパ諸国から繰り返し非難され続け、自分たちの民族に自信を失って凋落したとは、歴史の一側面であろうが、韓国がある時は国連を、ある時は米国さえ使ってまでもわが国を貶めようとしても、結果生じるものは日本国民の韓国人に対する反感だけだ。

 自由民主党、そして安倍首相も、日本国民をこの大和民族を甘く考えてはいけない。あなた方の権力がどこに根ざすものかしっかりと認識し、隣国に対して当然の対処をしなければならない。




時事散歩Ⅵ 第9回

2017年11月25日 | ブログ
トランプ大統領のアジア外交

 米国のアジア関与の低下は、オバマ政権の2013年APEC首脳会議以降顕著になってきたと言われる。中国が「一帯一路」、「AIIB」とアジア周辺地域に影響力を、増す中、米国の力が相対的に大きく低下しているのだ。

 トランプ大統領の登場で、これに歯止めが掛かるものと期待していたが、トランプ大統領も思ったより中国に配慮し、米国の物を買ってくれればそれで良く、中国の機嫌をそこねるような発言は北朝鮮関連以外ほとんどしなくなった。

 フィリピン、ベトナム、インドネシアなども中国の顔色を覗いながらも、南シナ海の領海問題ではトランプ大統領の法による支配の強化に期待していた筈である。しかし、大統領の今回のアジア歴訪では、北朝鮮には一定の強硬姿勢を崩さなかったものの、他は貿易問題に終始したようで、東アジアの安全保障対応はオバマ政権と大きな違いはないようだ。

 このまま推移すれば、AIIBはすでにドイツ、フランスを取り込んでおり、東南アジアはさらに中国の思うがままとなる懸念が大きい。それでフィリピンもベトナムもインドネシアもタイ、マレーシア、ミャンマーなどが本当に幸福になれるなら良しとしても、大きな人権問題を抱える一党独裁国家の経済的支配が、被支配国の真の幸福につながるとは考えにくい。

 安倍政権もトランプ大統領に、ここでも右へ倣えで、日中友好のため、一帯一路もAIIBにも関与を強める恐れがある。隣国との友好は誰しも反対しにくい。安倍長期政権継続には好都合である。しかし、自分の長期政権のために、その先の日本の存在を危うくさせて本当にいいのか。今、隣国を利することは、確実に先のこの国の存在を危うくすることは想像に難くない。

 今の財界人も先の国家よりも現在の自社の利益や株価をまず考える。少し中国の首脳が日本に歩みよってくれると大喜びで媚を売る。中国は未だ米国に軍事力で後れをとっていることは認めざるを得ない現状に鑑み、もう少し日本から取るべきものを取って、生産設備も軍事装備も最先端にするための時間稼ぎに過ぎない。日中友好で彼らの膨張主義に歯止めが掛かるわけはない。南シナ海の次は台湾や東シナ海である。

 トランプ大統領の登場によって、中国の野望を挫く大いなる構想に期待していたが、今のところその兆候は見えない。ただ、米国ファーストで、経済をまず強くしなければ、軍事力も維持できず、中国に後れを取ることになる。その意味では彼も耐えているのかもしれない。 

時事散歩Ⅵ 第8回

2017年11月22日 | ブログ
横綱の暴行事件が見せたもの

 別に一般人に暴行を働いたわけではなく、内輪の揉め事である。内輪だから暴力が許容されるものではない。しかし、仲間内の飲み会で生意気な後輩を諌める気持ちが高ぶって手が出た程度であれば、普通は警察沙汰にする所謂事件に当たらない。もっとも当初言われたビール瓶等での殴打があれば話は別。

 大岡裁きに「三方一両損」というのがあるが、今回の騒動では、八方関係者にそれぞれ問題のある相撲界の現状を、世間に知らしめることになった。

 まず、天下の横綱という立場にありながら、必要以上の暴力を振った形跡のある日馬富士は当然責められるべき。しかし、被害者である貴ノ岩も、横綱を激高させる態度を取ったことには責任がある。本来このような弟子の躾は、親方が日頃からしっかり行っておくべきことで、他の部屋の横綱に態度が悪いと咎められるようでは、貴乃花親方も責任の一端はある。

 さらに貴乃花親方は相撲協会の幹部である立場も弁えず、勝手に警察に被害届を出したのは、協会の隠ぺい体質を懸念しての行動だったとしてもいただけない。今回協会に届けて、協会が握りつぶしてから内部告発した方が正当性あり、世間も味方に付けられた。

 それにしても、怪しげな診断書を書いた医師の言い訳を聞くと、貴ノ岩の入院と休場が不可解なものとなるが、医師という商売のいかがわしさも垣間見える。当て身の「3年殺し」ではないが、症状が後で大きくなることは考えられないのか。

 そもそもモンゴル力士の寄合が問題である。現役の力士が、同郷のよしみとは云え、部屋を超えて集まって飲食を共にするのは、本場所におけるモンゴル勢同士の星の譲り合いを疑われかねない行為だ。大相撲には勝越しを掛けた一番、優勝を掛け、また大関や横綱に昇進を掛けた場所での取り組みなど、大一番がある。モンゴル力士が横綱はじめ幕内上位にこれだけ多くを占めると、彼らの裁量で大関、横綱を輩出できる可能性さえ生じる。まさに「李下に冠」である。

 現状の相撲部屋の有り様も問題を含んでいる。出世した弟子を輩出すれば部屋にも利益がある。それは当然だが、それゆえに強ければ海外からでも新弟子を引っ張ってくる。そこまではいいが、親方を超えたモンゴル人の弟子が、親方を軽視してわが物顔の振る舞いをしたこともあった。日本の伝統文化や相撲道が、本当に彼らに理解されるまでの教育を、今の協会や親方連中は出来ているのか。

 モンゴル勢の寄合やコロニーを誰も咎めない。しかしこのように「ちょっとどうかな」と思える現象は、ある時突然大きな問題となって噴出する。恐らく国内大企業に続く不祥事もこのように些事だと思われて見過ごしていたことが、ある時モンスターとなって組織を凋落の危機に陥れるそれである。
 
 相撲協会はすでに、儲け主義と内部抗争、権力闘争、足の引っ張り合いの組織に堕しているのではないか。骨の髄までの改革がなければ、大相撲は伝統の神事としての風格を失うであろう。大相撲界には抜本的な改革が必要である。






時事散歩Ⅵ 第7回

2017年11月19日 | ブログ
異次元の犯罪

 自殺サイトで呼び込み、まずはお金のため、そして自身の享楽のため、次々と殺人と死体遺棄を繰り返し、遺体を借家の自宅に隠し持っていた事件。

 便利であるべき、スマートフォンやインターネットが悪用された事件でもある。今やWEBサイトに起因する犯罪は数知れず、その利便性を優先した故に生じた犯罪は、車社会と同様の悲惨な裏側を見せている。

 日本は、世界の中で相対的に犯罪に関して安全な国と言われている。銃社会の米国などの頻頻と起こる乱射事件などを見るにつけ、豊臣秀吉の刀狩以来の効能が語られたりする。そのため、犯罪に遭遇した人はお気の毒様で、普通に生活している人は一般的に犯罪に対する備えは十分ではないように診る。私などの親の時代、戦前・戦中・戦後を生き抜いた多くの人々は「人を見れば泥棒と思え」が普通の感覚だったように思う。高度経済成長を経て、確かに貧しさゆえの犯罪は減少したであろうが、人間の本質が変わるものではない。人は常に悪魔の側面を持つことを認識しておく必要はある。

 我々が若い頃、繁華街では深夜水商売の以外の女性はほとんど見なかったものだ。いつの頃からか、深夜にも一人歩きする女性も多い。出会い系サイトやSNSでトラブルに巻き込まれる少女が居たりするということは、仮想空間で異性を求める女性が結構いるということ。女性の社会進出は結構だけれど、ファッションを楽しむのも結構だけれど、犯罪を誘うような行動は慎まねばならない。

 経済的な豊かさの影で、人々に癒せぬ渇望がある。引きこもり、虐待、DV、いじめ、家出、失踪など事件に発展するまで世間に知られない闇が人々の周辺に張り付いている。「強くなければ生きられない、優しくなければ生きてゆく資格がない」とは一昔前のコピーだけれど。多くの人が一応の豊かさを手に入れた今、人はより強く、より優しくなければならない。



時事散歩Ⅵ 第6回

2017年11月16日 | ブログ
白タク問題

 成田空港周辺で、中国人による明らかな白タク行為がまかり通っているとして、民放テレビ局が追跡調査し報じていた。

 中国の旅行業者と日本在住の中国人の間で契約し、中国からの日本への旅行者を成田から都心までワゴン車などで送り届ける。それは白タク営業者の個人犯罪であると同時に、中国企業による企業犯罪でもある。中国人旅行者は料金を事前に旅行会社に支払っており、白タクの運転手に直接支払うことはしない。金銭の授受の現場を押えなければ、旅客運送法の適用が難しいところから警察も手出しし難いと、取り締まりをしていないようだ。

 中国の法律は、携帯アプリなどを使ったこのような商取引の場合、旅客運送法的なものの規制を受けないらしい。テレビのコメンテーターの中には、日本の制度が世界の趨勢に遅れていることに問題をすり替える発言をする輩もいるようだが、物事の本質を全く見過ごしている。ここでも「破れ窓理論」を持ち出すけれど、このような行為を見過ごせば、彼ら外国人の行動はエスカレートし、この国の法律や生活習慣を破壊して当然となってしまう。

 横浜の中華街などでも、新参者のゴミ出し等の問題で地域の町内会などが相当困っている様をテレビは伝えていたが、地元警察は動かないようだ。

 どこの国籍の人間であろうが、日本に暮らす以上は、日本の法律を守り、地域住民の生活習慣に合わすべきで、それが出来ないなら、日本政府は堂々と国家権力を行使してでも彼らを排斥すべきだ。それは外国人の人権を疎かにするとか、ヘイトだとかとは全く異なる。

 成田の白タク業者にしても、証拠がないで済まさず、白タクをやっている車や人は特定できるのだから、警察はしばらくその車や人に捜査員を張り付けて、道路交通法違反でもその他軽犯罪であっても厳しく取り締まり、事実上白タク業務を行えないように追い込むことだ。千葉県警、成田署の奮起に期待する。

 彼らは日本を日本人を日本の司法もなめきっている。小笠原周辺領海でのサンゴの密漁と根っこは同じだ。自分たちの本国は、人口と経済力と何よりその軍事力で日本など消滅させることができると考えている。北朝鮮は口に出すけれど、彼らは今の所大きな声では言わないだけだ。

 日本に住まう以上、どこの国の人間であろうが、どのような人種であろうが、日本の法律を守らないならこの国から出て行って貰うしかない。

 白タク行為に実害は少ないと見過ごせばそのうちさらに傍若無人な行為がエスカレートするであろう。外国人によるテロ紛いの暴挙を未然に防ぐためにも、面倒でもこのような違法行為の芽を摘むべきなのだ。


日本でも経済特区的に一部白タク解禁を指向する向きがあるようだが、空港や駅前などでの白タク横行は、新たな犯罪さえ生む恐れが強く、タクシー業界保護などとは次元の異なる問題を含んでいる。

時事散歩Ⅵ 第5回

2017年11月13日 | ブログ
司法がより大きな犯罪を誘発させた

 神奈川県大井町の東名高速道路で6月、トラックがワゴン車に追突しワゴン車の夫婦が死亡した事件。死亡した夫婦のワゴン車の走行を妨害し追い越し車線で車を停止させた男が、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)などの疑いで神奈川県警に10月になって逮捕された事件は、テレビのワイドショーで連日報道されていた。

 逮捕された男は、事故1カ月前の5月8~9日、山口県下関市の一般道で3件の妨害行為をしており、追い越そうとした車に幅寄せして接触事故を起こしたとして、山口県警が自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で書類送検し、起訴猶予処分になっていた。

 思うに東名での死亡事故は、犯罪者への起訴猶予処分が招いたものではなかったか。人権と言う言葉で、犯罪加害者が守られる部分は多い。しかし殺された人にはすでに人権はなく、被害者やその遺族の人権さえ軽くあしらわれているのが現代日本の司法制度のようだ。

 テレビのワイドショーに出ていた女性弁護士は、逮捕された男の罪状について、追突したトラック運転手と同等の過失致死が相当との見解をさらりと述べ、他のコメンテーターからの「過失ではなく、危険運転致死を適用させるべきではないか」の発言にも否定的であったように思う。最近の弁護士の質の悪さはここらあたりにも見える。

 法律は手段であり、目的ではない。しかし、弁護士には法律そのものが目的化している。法律は人が気持ちよく社会生活を営むために、お互いが守るべきルールを定め、特に刑法にあっては、ルール違反者には相応の罰を与えるためのものだ。

 情状酌量という言葉があるように、その逆があっておかしくはない。犯罪者の態度、日頃からの言動なども勘案し、十分にお灸をすえるべきはそうすべきであったのだ。明らかな社会の秩序を乱す行為をしながら、罰せられず起訴を猶予された人間は、一歩間違えば死に至る重大な違法行為を、こんなものかと思ってしまう。罰が少ないということは罪も軽いと思ってしまう。その挙句、一か月後に同時に2人の命を奪う重大事件を起こした。本人が悪いのは当然だが、司法の甘々の処分が誘発した事件だ。これは山口地裁の大きな失策であり、その罪状は殺人教唆に近いのではないのか。

 「破れ窓理論」を思い出す。小さな違法行為を許容していると、大きな事件に発展する。勿論小さな犯罪の容疑者を不当に過剰な罰則に処するわけにはいかないが、一定期間監視状態に置くとか、犯した罪をしっかりと自覚させる啓発に効果が認めなければ、放免してはならない。車による公道での無謀運転による事故は、過失ではなく確信犯である。

 犯罪に甘い社会は、自分に甘い人間には住みやすいかもしれないが、真っ当な人々を地獄に落とす危険が大きいことを司法に携る者はもっと自覚すべきである。




時事散歩Ⅵ 第4回

2017年11月10日 | ブログ
トランプ大統領の訪日

 11月4日土曜日の東京では、地下鉄駅や東京駅地下街にも多くの警察官の姿があった。イバンカ大統領補佐官が帰国する日であるし、トランプ大統領訪日前日ということで、駅構内のコインロッカーなども使用禁止になっていたようだ。

 それにしても、トランプ大統領の長女で大統領補佐官というイバンカさんは、何と魅力的な女性なのか。ケネディ大統領の娘さんで、前の駐日大使を務めておられたキャロライン・ケネディさん同様、上品で知性的で偉ぶったところなど微塵もなくて、日本の女性政治家とは大きな違いであることだ。

 街の声でも、トランプさんは嫌いだけれど、イバンカさんはいいという声が通り相場であったようだ。因みに私はトランプ大統領も初めから好きな政治家だ。トランプ大統領あってのイバンカ嬢でもある。

 「日本は宝のように大事なパートナーであり、不可欠な米国の同盟国だ」。和気あいあいの首脳のゴルフ外交、ランチ、ディナーでの交歓、フォーマルな首脳会談。そして大統領の皇居訪問、天皇陛下とのご歓談。拉致被害者家族との面会。トランプ大統領をここまでの親日家に変えたのは、昨年11月の安倍首相のトランプタワー訪問の際のイバンカ嬢の安倍首相への好感にあるという。

 今回の政府のイバンカさんへのおもてなしは当然のことだ。初めての日本ということだが、気楽に日本観光をして貰えるのは何十年も先の事であろうか。テレビ東京の「YOUは何しに日本へ」という番組がそれまで続いており、成田空港で彼女を見つけインタビューして貰えれば楽しいだろうなと思ったりした。

 5日の朝はトランプ大統領が横田基地に到着する実況をテレビで見ていた。遠い異国で暮らす自国の兵士を、まず激励する姿勢は流石である。一国のトップが軍の総司令官であり、核のボタンを常に携行する国。陸でも海でも空でも宇宙でも世界一の軍事大国である。母国の有り様を誇り、兵士を鼓舞する姿は、恐らくギリシャ、ローマ時代から変わらぬ権力者の姿である。そのことは同時に、この世界が未だお釈迦様の手のひらの中から一歩も出ていないことを示すと共に、空疎な平和主義への警告でもある。

 横田めぐみさんのお母さまもトランプ大統領との面会後に語っていたという概ね良好な大統領の人物像は、米国マスコミなどを筆頭に報じる大統領像とは異なるものだ。やさしそうに見える人間は、往々にして弱さしか持っていない。現実の世界では、政治の世界は悪役になれるくらいの器量がなければ真のリーダーは勤まらない。

 トランプ大統領と蜜月なのは大いに結構だけれど、最近の安倍首相は長期政権を睨み、野党が教育無償化と言えば盛り込み、お金がないと財界におねだり。結局そのつけは国民に返ってくるものを。憲法改正は9条3項の加憲に留め、韓国の慰安婦問題への対応に落とし前をつけず、中国の「一帯一路」に協力するという軟弱に堕した。そんな安倍首相を大いなる戦略家とみる向きもあるが、懸念している。




時事散歩Ⅵ 第3回

2017年11月07日 | ブログ
リベラルという怪

 もともと外国人でもサポーターとして、党首選に投票できたという訳のわからない政党だった民主党改め民進党が分裂して、ほとんど壊滅状態になったことは良かったのだけれど、そのエネルギーの残渣が最後のキラメキのように新たな、またどうでもいい政党を生み出した。どうもこの国の住民は、小池さん支持もそうだったのだけれど、いじめられっ子をほっとけないようだ。

 希望の党に排除された、民進党の自称リベラル議員が急遽作った立憲民主党が思いのほか好評で本来の共産勢力や希望の党の議席を食って一挙に野党第一党に躍り出た。

 気が付けば、戦後最悪内閣との評判で日陰者だったその内閣の官房長官だった方が脚光を浴びたのだ。便乗してその時の元首相は小選挙区で勝利し、元民主党代表も生き返った。彼らがなぜ免罪されるのかは不明。今回小池さんにいじめられたから、及びまたは人は喉元過ぎれば熱さを忘れるとしか言いようがない。これも誰でも一人一票の民主主義である。

 民進党は国会で、安倍首相の森加計問題を突きあげていたけれど、彼らのトップだった元首相などもっと醜い疑惑で国会追及を受けていたのに、丁度大震災に救われる形になってそのままではないのか。

 リベラルという言葉は、解釈が広いようだが一般的には「穏健派」。過激な左翼でも右翼でもない中道で、この国では「護憲」「平和」「民主主義」を標榜する勢力らしい。「平和」「民主主義」に反対する国民は少なかろうと思うが、「護憲」には異論があるし、「平和」にはそれを維持するための方策で考え方が分かれる。

 今回立憲民主党を立ち上げた民進党の要職を勤めてきた方は元々弁護士だそうで、自民党政権が進めた安保法制や集団的自衛権を違憲だと切り捨てている。まあ今の憲法を字面だけ読めば集団的自衛権どころか自衛隊も違憲で、私学に国が補助金を出しているのも実は違憲なのだ。

 確かにソクラテスは「悪法も法なり」と言って毒杯を呷ったというけれど、戦後のドサクサに実質米国から押し付けられた憲法の字面を守って、1億2700万人の生命・財産を危険に晒せて法律家としてはそれでいいかも知れないが、到底政治家の仕業ではない。

 しかも米ソ冷戦時代と異なり、中国の台頭は東アジアに不気味な緊張を生み出している。安保法制も集団的自衛権も必要でなかった時代も確かにあった。しかし日米同盟にしても一方的に米国優位の時代なら兎も角、米国とギブアンドテイクの時代になっていることは当然で、米国民だって、自分たちは守ってくれない同盟関係など支持する筈もなかろう。

 多少法律を齧って賢いつもりで政治家になっても、政治というものがほとんど分かっていないのではないか。そんな人物がリベラルを語り、野党第一党の党首となっても到底この国を任せられないのは見え見えである。




時事散歩Ⅵ 第2回

2017年11月04日 | ブログ
希望は失望の始まり

 小池旋風がピタリと止まり、逆に国民から反感さえ抱かれるようになったのは、9月29日の記者会見での「さらさらない」「排除します」と民進党議員を厳しく選別する発言からとされる。しかし、SNSの詳細分析では、記者会見の2日前、希望の党と民進党の合流を模索し始めた9月27日にそのイメージはマイナスに転じていたという。(日経ビジネス2017.10.30号「時事深層」)

 SNSは多くの若者の意識は捉えるかもしれないが、SNSなど使わないおじちゃん、おばちゃんの世界はまた別であろうから、その分析が国民全体の意識をどこまで代表するかは兎も角、国民は思ったより早く、小池都知事や希望の党から離れていたようだ。

 もっとも私など、日本新党モデルの小池新党も小池都知事自身も信じていないから都民や国民が目を覚ましたことは良かったと思う程度だ。

 以前から「女性は政治家には向かない」という持論を持っている身からすれば、今回も見事に小池氏は女性の欠点を曝け出したと思っただけだ。弱弱しく見せながら、しかし一定の権力を握った途端豹変するのが女性の性だ。そして上手くゆかないと、ガラスの天井とか、女性には行く手を遮る見えない壁があるなどと吹聴して自身の実力のなさに目をつぶる。

 将来の女性宰相候補などとヨイショされて、内心その気になっている現役の女性議員は小池氏以外にも何人もおられるようだけれど、どうか勘弁願いたい。診るところ宰相の器を持つ女性国会議員など一人も居りはしない。勿論、政界などとは縁遠い世界で生きているただの庶民に何が分かるかと言われればそうだけれど、人には自然と発する「気」がある。言葉より庶民はその「気」を頼りに議員を評価する。

 それにしても、前原氏が希望の党との合流を決める前に、細野氏はじめ数人が離党し、希望の党ができると早速駆け込んだ民進党議員も居た。「猿は木から落ちても猿だが国会議員は選挙に落ちればただの人」とは数十年前のギャグだけれど、それだけ選挙は議員にとって切実なのだ。国家100年の計も、政治理念もかなぐり捨ててというより、初めからそんなものは無い面々が当選確率の高さを求めて風を読む。その繰り返しが国民からの信頼を失墜させる。

 「希望」、何と曖昧で、どんな政治理念もひっつけようと思えばひっつき、響きだけは良い言葉。新幹線の「のぞみ」は希望の大和言葉だと言う。列車のネーミングならいざしらず、政権交代さえ目指すという政党なら、やっぱりそれなりの名前が欲しいと思うのは、旧い人間だからか。小池氏を「3日天下」と評した評論家の方が居られたが、それにしても希望から失望、絶望へとの変化が早過ぎたのはやはりその実力ゆえであろう。

時事散歩Ⅵ 第1回

2017年11月01日 | ブログ
民進党撲滅解散

 森友学園問題では、妻の国会への証人喚問まで要求され、共産党は仕方がないが、「民進党許し難し」で安倍首相は、解散を決行したように思えてしまう。蓮舫代表が辞任に追いやられ、新代表選出後の党幹事長に内定した女性議員に不倫疑惑が浮上、急遽幹事長は差し替え、当の女性議員は離党したこの時期を解散の好機と見た。都議会選で大勝した「都民ファーストの会」の国政進出も準備不足と見過ごしてとは、盛んにマスコミは報じていた。

 首相の解散権には制約を与えるべきとの意見もある。国民世論に訴える大きな課題が生じれば、解散して審判を仰ぐことは当然だけれども、政権与党の都合だけで、解散していいのかと言う反発は当然にある。

 今回も当初は、北朝鮮対応もあり、政治空白は許されない時期でもあり、森加計隠しの大義なき解散との安倍首相への批判があった。

 ところが選挙戦の蓋を開ければ、与野党想定外の事態にうろたえることになる。まず、小池都知事の腹心若狭氏の国政新党立ち上げに民進党を離党していた細野氏、長島氏等が加わる構図となり、当該政治塾から100人規模の候補者を擁立するような話になった。ここまでなら自民党にとってはそれほど脅威ではなかったが、小池都知事が、新党立ち上げに汗をかいている若狭氏や細野氏を尻目に、「のけのけ!若狭新党リセット!私がやる!」と登場した。そして新党「希望の党」が結成されることになる。

 それにしても、小池氏の登場の仕方は、いつもながらマスコミ受けはしても、周囲の関係者にとっては鼻つまみものではなかったか。都知事選に出る時は、当時の石原都連会長からの自民党員への呼びかけには応えず、自民党が候補者を決定した後から「私も出る」と言い出した。これでは党を割る事になり、石原会長は顔が立たない。これがその後の息子の顔をつぶされた慎太郎氏の「厚化粧女」発言につながったように診る。しかし、か弱い女性を演じ、規制権力を悪役に仕立てた当時の小池氏には却ってありがたい発言となった。

 今回、若狭氏は新党準備を急遽リセットされたことに何も言わなかった。彼は小池氏あっての新党構想でもあり、行き掛かり上仕方がないが、細野氏など、よくそのままついて行くものと思えたものだ。

 すは!国政に小池氏登場となり、「希望の党」による政権交代まで視野に入り、2009年の悪夢が自民党内に過ぎったかも知れない。しかし、これは面白くなったとマスコミや国民は解散の大義なきことなど忘れ、選挙戦を見守ることになる。

 しかし、小池新党に怯えたのは自民党より民進党代表前原氏だった。急遽安倍政権打倒を口実に希望の党にまるごと抱きついた。元々、若狭氏は今の形での民進党との合流はないことを何度もテレビで語っていたのにも関わらずである。

 結果、安倍首相の狙い通り民進党は実質崩壊し小政党に転落、さらに希望の党は「失望の党」と化した。国際情勢の不穏な中、国会議員団の体たらくで、安倍首相は良くも悪くもわが国の憲政史上最長内閣を視野に入れた。