大杉漣さんのセリフが気になった話

2010-04-03 10:39:14 | 塾あれこれ
朝ドラ『ゲゲゲの女房』です。
団塊世代以上しか見ないのかもしれない朝ドラ。
大杉漣さんのセリフで気になるところがありました。

戦前、呉服屋の主人が客に値段を告げる場面です。

「よん円 ン十銭」

客が高くて買えないというシーンに続きます。

いまの若い人にも伝わるようにと「よん円」なのか?
子供のセリフじゃあるまいし戦前の商人なら普通は
「よ円」だと思うのですが、どうでしょう。

よ円が分かりにくいと思うなら「三円にまからない?」と
セリフをつければ済むことでして。


日本では最近「言葉は変化するものだ」が学者の応援を
得て、メディア受けが宜しいようです。
「守れ」というと苔むしたジジイと見られますね。

よん円に引っかかってるとカミサンが「ジ様はうるさい」
と云う目でこちらをご覧になっています。

変わってもよいという姿勢のタレナガシは間違っているの
ですが、以前にも書いたハズなので省略しましょう。

番組宣伝でも今更、(全然)に否定表現が続くか、なんて
古臭い話題を持ってくるセンス
それこそがいまのNHKの言語感覚がダメであることを
表していますよね。
(ずいぶん以前に、有名雑誌に高島俊男さんが
 「全然」の話を書いています。)

「言葉は変わるってのなら、全然~ない、と変わっていても
良いじゃん?」とも思ったりする私ですが。

間違いは潔く修正し、なるべく言葉は変えないように守る、
これが正しい姿なのですが、田中克彦大先生に叱られるかなあ?

符牒、隠語、若者特有の言葉などは構わないのですよ。
正しい言葉を知っていて使い分けできれば大丈夫です。

知らないでいるのはただの怠け者。

どうも近年はこれが多いようです。
日本人がどんどんバカになっている証明です。
日本人の心も情けない。
先輩や先祖、日本の文化・伝統へのリスペクトがないのです。
学者もイカンね。

ハハ、嘆いております、ナゲーテオリマス。


例の如くに大きな話になってきましたので
元に戻しましょう。

数え方でした。

日本古来の数え方が「ひ、ふ、み、よ・・」
漢字とともに中国から来た「イチ、ニ、サン、シ・・」

よって和語には、ひ・ふが付き ひとつ、ふたり、みっ日
漢語には、イチ、ニ、とついて イチ時間、ニ分、サン輌・・

・・これが基本だと言われます。

ところが、たぶん高島敏男さんも書いておられたと思いますが
使われ方が様々に変化しているのです。
人によっても語感が違うようです。

現に十歳若いカミサンは「よん円、で良いじゃん」


数え方のゆらぎを挙げてみます。

一人=ひとり  二人=ふたり と(ひ・ふ)で始まりながら
三人では「サンにん」と(イチ、ニ系)に引っ越し
では四人が「シにん」かというと「よにん」と、また(ひふ)
に戻るのです。
(よんにん)は勘弁してほしいなあ・・
そのあとは「ゴ、ロク・・」とまた漢語系に。。

(よ)と(よん)は言いやすさも関係するようです。
4本は(よほん)じゃなく(よんほん)ですね。
4個になると明らかに(よこ)はない!

両方使われている場合も多そうです。
4枚は(よまい)(よんまい)など。

どちらかというと(よん)は子供っぽいですね。
四角形=よんかっけい・・・大人には言えません。


「シ=死」で嫌われたのでしょうか。

とはいえ、4=シも無くはないので、四面、四匹、四杯
シメン、シヒキ、シハイなどと言えますが、
現在は(よん)が優勢でしょうね。
よん面、よん匹、・・

反対に(シ)>(よん)もあります。

四角形は(シ角形)で(よん角形)は子供用語。

(よん)では代用できず(シ)でなくてはならないというと
「四角四面」くらい?


(よ)は案外生きているようです。
四円、四畳半、四柱、四棹、四粒、四張、などなど。

(これで分かるように漢語にも(ひふみ)系がつくことが
ありますね。円、畳、が漢語。
逆に和語にイチ、ニがつくことも多い。)

なんだかゴチャゴチャですが、できるだけ現在まで使われてきた
語感を大切にしておきたいのです。
それが日本語らしいところですから。

アホな現代人には(よん)がオールマイティになりかけ何にでも
使われてはいますが・・
(よん)としては矢張り子供っぽいこともあります。

で、だな。

源兵衛の大杉さん!戦前の呉服屋が(よん円)ですか?


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