途中から映画を見る

2013-06-28 09:21:38 | 塾あれこれ
私が子供のころは映画というものは必ずしも
初めから見るものではなかったようです。

必ず初めから見て、途中入場はしない、というのは
岩波ホールが始めたことではないですかね。
とても気持ちが良かったものです。
つまり当時は途中入場が当たり前であり、煩わしかった。

ただし、岩波ホールには、例えば電車が遅れたりして、
その回が見られなくなった経験もありましたね。


昔はほとんどの人が映画を途中からでも構わず
見ていましたね。
「もう始まっちゃってるよ、今からは入れない」
なんて言えば「絶交」されかねない空気でしたね。

で、二本立てなどでも、ひとあたり鑑賞し、
最初の映画に戻って、見始めたところまでくると
「ん、見た見た」と映画館を後にするのです。

映画の筋などは自分の頭の中でつなげていましたね。

というより映画の構造が単純だったから、未見の処を
改めて見なくても大丈夫、なんてこと迄あったようです。

映画を見ている途中に人が出ていったり(足を踏まれ)
その席へ別の人が入ってきたり(また膝がぶつかる)
良いシーンでもブチ切れ状態にさせられます。

さらにセコい映画館だと、場内への客の出入に際して
明かりが入ってき、上映効果が台無しになりました。

呼び出し、なんてご存知ですか。

映画を見ていると、出入口から劇場の従業員が現れ
(光が差し込むんだよな)

「五日市の井上さ~ん、オウチからご連絡で~す。
 早く帰ってくるようにイ~」
大声で場内に叫ぶのですね。(広島弁では、オラブ)

はい、静寂な場面だろうが泣けるシ-ンだろうが
お構いありません。
子供ですらシラケましたね。

上映中の煙草もすごかったし
時折フィルムが切れて上映中断ってのもあったりね。

そんな有様でも映画は娯楽の王様でした。


小学校一年だったか二年だったか
一家で映画に行ったことがありました。

一大イベントです。
いまなら有名遊園地に行くくらいの興奮です。

親爺の仕事の関係で当然のごとく途中入場。
映画は子供でも分かる『海底二万マイル』
ヴェルヌ原作の楽しいSF映画でした。

真っ暗い場内に入ると右手に大きな画面。
上映はとっくに始まっています。

目に飛び込んできたのは
潜水艦が現れて海中を進み、海底から伸びた岩を
ぼっこんガキーンと壊して、平気に潜航し続けます。

ええ、小学低学年としては「驚いた、喜んだ」

あと、現地人が潜水艦を襲ってきた時に
船体に電気を流して撃退するところもありました。

この二つのシーンがいまだに忘れられません。
きゃっきゃと喜びました。

後日、何かと言うと潜水艦ゴッコでした。


映画を好きになった理由のひとつが『海底・・』
というのは間違いありません。

『地底探検』だったか、これも面白かった。


尾道では、ニュース映画+漫画映画+劇映画2本立
この組み合わせが多かったように思います。

ニュース映画は多くがブールデル(ロダンの弟子)の
「弓をひくヘラクレス」がタイトルバックでね。

子供ですから、ニュースの中身は分からず、続く
漫画アニメがもっぱら楽しみでした。
大きな画面で、かつ「総天然色」ですからね。

本編の映画も白黒で、カラーは漫画だけ。

時間は15分くらいでしたか。
時によれば漫画も2本、てのがありました。

TVでも漫画ポパイなんてやりましたが
映画館には敵いません。

劇場が劣悪な環境を改善出来ていたら
もしかしてTVには負けなかったのではないか?
少なくとも棲み分け出来ていたのでは。


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