免田さんの冤罪事件

2010-03-03 21:51:04 | 塾あれこれ
先頃、NHKが放映したドキュメンタリーは秀逸でした。
というより問題の重さに圧倒されますね。

免田さんの冤罪が晴らされて、あとに同様の裁判が続き
この国の冤罪もやっと戦前のくびきから逃れられる方向が
見えてきたと思えたのに先頃の菅谷さんの足利事件で
まだまだ不十分なことが明らかになりました。

マスメディアはもっとちゃんとした報道をなすべきで
ただ「可哀そう」だけではいけません。

きちんと伝えないと本当に心を大切にした情報には
ならないからです。

その意味でもよい番組でした。

およそこういう番組はサヨクの人が見るものという
空気がありますが、通常の自分の意見とは違いそうな
ものも勉強することは、どんな人にも大切です。


以前、生意気にも、自分の意見を持つべきだ、そのうえで
生徒に押しつけることがないように最大の注意を払うべき
という趣旨のことをこのブログに書きました。

読みようによっては(私は意見がしっかりしている)という
ことにもなると気付きました。

もちろん分からないことだらけですし、意見が二転三転する
こともよくあります。

たとえばそのひとつが死刑は是か非か。

あちらの意見を聞けばそれに引っ張られ
こちらの意見でまた変わり・・の連続です。

大学で刑法・刑事訴訟法の基礎などは習っていますので
ごく基本的な部分は分かっているつもりですが
ニュースを見ながら自分が推定無罪ということすらを
できている自信はありません。

松本サリンのときなどメディアを見ながら
「これは100%怪しい」なんて思っていたのですから。


番組では足利事件の菅谷さんと免田さんの対談もあり
冤罪の深刻なことがよく伝わりました。

冤罪の恐れが強い社会において、少なくとも死刑は避ける
べきだという考えは説得力があります。

とはいえ、凶悪な事件を目の前につきつけられると
「これは死刑!」とも思ってしまう自分もいます。

あまりに問題が多岐にわたるのですが
じっくりと考えるべきことであり、非常に悩む問題です。

なぜ、やってもいない「虚偽の自白」をするのか?
いったん警察に捕まればたとえ無実でもどんな目に逢うか。

ドキュメンタリーを見ながら改めて頭の整理ができたように
思います。

なかでも、ある心理学の先生のお話で
一般人の心理として被害者やその関係者の立場には立ちやすく
冤罪かもしれない側にはシンパシーが起きにくいという指摘
には蒙をひらかれました。

今ごろ分かったのかい、と恥ずかしい話ですが。


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