映画ピアフはカメラもすごい

2007-10-11 10:53:28 | 塾あれこれ
カメラは監督との共同作業ですからどこまでがカメラ
マンの技か我々素人には分かりづらいところは
あります。

映画『ピアフ・愛の賛歌』のカメラは日本人
ナガタ・テツオ(永田鉄男)さんです。

彼の他の作品では仏映画『うつくしい人生』を
テレビで見ました。
静的でとても美しい画面でした。
(今年8/13の文を参照下さい)

今回は一変していてエンドロールでナガタとあり
驚いた・・


映画の出だしで手持ちカメラのゆらゆらした
画面が出てきました。

こんな映画を撮る人がいたなあ、好きじゃないし
と思っていましたが、初めだけです。
ほぼ100年前、時代劇に近いシーンで手持ち撮影
は似合わないよな・・←意味ありでした。

フラッシュバックのように年代が飛び、ぼーっと
見ていたので最初カメラは意識していませんでした。

カメラが前面にでしゃばる映画はいけないので
それでよいのですが。


殺人事件に巻き込まれかかるところで「あれ?」
と思ったのです。

階段の上り下りを含めての長いシーンをワンカット
(1回見ただけなので多分繋いではいないと思う
 のですが間違ってたらスミマセン)
で撮っているのですね。

臨場感溢れるカメラです。

こういう、ドラマの内容を支えるカメラワーク
が好きですね。

初期の北野作品は格好だけで画面を作っていた
ので好みません。(最近は見る気も起きない。)
映画の数を見ていても大事な所が分かっていない
のでは良い映画監督とは言えないでしょう。
最近は後期のゴダールを意識しているのかなあ。

この人達の仕事を勉強されるとよいでしょうが
現場のチームワークが大変です。
スタッフのレベルが高くないとだめですね。


前進する人を正面から捉えて移動撮影をすれば
カメラは後ろへ進みます。

北から南へ向かう人がいればカメラは北を向いた
ままカメラマンの背になる南へ移動します。
テレビなどでもよく手持ちのまま後じさりして
いますねえ。

昔からレール移動などして撮られている普通の
撮影方法です。

それが使い方で以下のようになります。

ピアフが麻薬で倒れたあとのシーン。

男の人が部屋から部屋に次々と移動して行きます。
それを前から撮影します。
(ここは多分台車。手持ちではないでしょう。
 先の階段などではクレーン)

ぐんぐんと進むスピード感。
そしてある部屋に行くとそこに憔悴したピアフが
何か少し食べています。
「食べて元気にならなくちゃ」
もう1度歌うために。

後退するカメラの中にそのピアフの姿が入ってくる
ので、こんなところで一人・・という感じが強く
出るのです。
他のカメラワークでは難しいでしょう。

印象深いシーンになりました。
スターでも、地道に生きる日常があって初めて
よい仕事ができるのです。
生きなきゃ。


恋人が亡くなった日の朝、ここも長いカットです。
強烈な印象を与える演技に隠れた感じになりますが
カメラもすごい。

ちょっと長い話になりましたが、一ヶ所だけ印象的な
移動を使うのではなく、積み重ねて大きな効果を
生み出す方法ですね。
見ている側の心理に抵抗がうまれません。

(パラレルに物語を進める方法も
ラストに効いてきます。
これはカメラというより脚本や編集の力です。)

その他にもカメラについて顔のアップとかいろいろ
言いたいことがありますが、
塾のブログで映画とは?と言われそうなので。

明日、なぜ当ブログでピアフの映画かを
申し上げます。強引かも。

一つのネタで引っ張りますね~。