通でがんす

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(旧ブログタイトル:通じゃのう)

宮島言葉のいろいろ その37 「かばちをたれる」

2012年10月21日 | 広島弁
「宮島の町屋通りに飾ってある「宮島言葉のいろいろ」を紹介するこのシリーズ」

「第37回目の今日は「かばちをたれる」じゃね」



かばちをたれる…文句を言う・へりくつを言う
(撮影日:2012年1月4日)



「「かばちをたれる」とは、「文句を言う・へりくつを言う」という意味じゃね」

「「かばちをこく」という人もおってじゃが、わしゃ、「かばちをたれる」という言い方しかせんがのう」

「ところで、「かばち」って、どういう意味なん?」

「「かばち」というのは、もともと口や顎(あご)という意味じゃったんじゃと」

「へぇ」

「「口から出る」もんじゃけぇ、「文句を言う」「理屈を言う」という意味の「かばちをたれる」になったらしいんじゃの」

「あんまりええ(=良い)意味の言葉じゃないよね」

「ほかにも、「かばちがえー(良い)」とか「かばちが立つ」という言い方もあるそうじゃ」

「そりゃ、聞いたことがない言葉じゃね」

「皮肉まじりで「口が達者」という意味なんじゃと。たとえば…


「ありゃーかばちがえーでね(あの人は口達者だよ)」

「おじーまーかばちが立つのー(おじさんは口達者にしゃべるなあ)」


という使い方をするそうじゃ」





【今日の宮島言葉】

かばち

意味/文句・へりくつ

例文/「かばちゅーたてるな(=文句を言うな)」

参考文献:
廿日市市商工会議所『宮島本 改訂版 宮島検定テキスト』2008年






↓「かばちがえー(良い)」「かばちが立つ」については、こちら↓

「7 「かばちをたたく」」山口弁よもやま話





↓「かばちをたれる」についての関連記事は、こちら↓

広島弁「かばち」の意味は?





↓宮島言葉のいろいろについての関連記事は、こちら↓

宮島言葉のいろいろ その36 「かまう」

宮島言葉のいろいろ その35 「きんさい」

宮島言葉のいろいろ その34 「くじゅーくる」






「今日は、「宮島言葉のいろいろ」で「かばちをたれる(文句を言う・へりくつを言う)」について話をさせてもらいました」

「ほいじゃあ、またの」
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自動車の走らない街 ヴェネツィア~ヴェネツィア展 広島県立美術館(その3)

2012年10月20日 | 広島の話題
「県立美術館で開催されている『世界遺産 ヴェネツィア展 魅惑の芸術-千年の都』を紹介するこのシリーズ」

「3回目の今日は、「自動車の走らない街 ヴェネツィア」じゃ」

「自動車の走らない街!? そういや、自動車は走っとらんかったねぇ。みんな徒歩で移動しよった記憶があるよ。あとは、ゴンドラに乗って移動するとか」

「日本でもそうじゃが、ヨーロッパの映画を観よったら、小さな路地まで車が走りよるよのう」

「うん」

「ところが、県立美術館の1階ロビーにあるヴェネツィアの航空写真を見よったら、街中を走っとるはずの自動車が見当たらんかったんじゃ」



航空写真を見ている人


「えーっと。ヴェネツィアまでは自動車道が通っとったよね」

「鉄道も通っとるよのう」

「駅のそばにたくさんの車が駐車してあるんじゃが、街中に車の姿がないんじゃ」







「確かに、たくさんの車が駐車してあるね。なんでじゃろ?」


かつては海上に浮かぶ孤島であったが、オーストリア帝国治世下の1846年にイタリア本土との間に鉄道が敷かれ、後に自動車用道路の「リベルタ橋」も架けられ、イタリア本土との往来は容易である。
ただし、ヴェネツィア本島内は自動車での移動は不可能であり、自転車の使用も禁止されている(乳母車、車椅子は可。また、カンポ(campo)と呼ばれる広場では子供用自転車の乗り回しは可。)ため、車はリベルタ橋を渡ってすぐの所にある「ローマ広場」の駐車場に置いて、島内を徒歩か船舶で移動することになる。

(「ヴェネツィア」ウィキペディア)



「そういや、ヴェネツィアにある橋はアーチ型をしとったよ」

「ほうか! 運河を船が通るけぇ、橋はアーチ型をしとらんと困るよのう」

「アーチ型の橋は、車が通るのは難しいよね」

「鉄道や車ができるまでは、船が重要な交通機関じゃったけぇの。それも仕方ないかもしれん」

「ヴェネツィアの交通機関は、水上バス(ヴァポレット)や水上タクシー(モトスカーフィ)があるんよ。ゴンドラは、ほとんどが観光用になっとるね」





「今の世の中、自動車のない生活は考えられんよのう」

「自動車が走らない街というのは、ある意味で豊かな街じゃと思うよ」

「静かじゃしの」

「自動車を気にしないで生活できたら、子どもたちも外で自由に遊べるね」

「街には運河が縦横に走っとるけぇ、人も物も、なんでも船で運ぶんじゃろうの」



ヴェネツィアの運河に停めてある船


「ヴェネツィアといえば水の都じゃもんね」

「広島も、そう呼ばれとるよの」

「江戸時代は、軍事上の理由もあるけど、あんまり橋をかけんかったよね」

「逆にいうと、川を船で行き来しやすかったんじゃ」

「橋があると、帆がある船が通りにくいよね」

「広島から可部(かべ)あたりまでは、川舟で行き来しよったらしいけぇの」

「今では、広島の川を船で行き来するというのは、ほとんどなくなったよね」

「広島じゃったら、ひろしまリバークルーズか、雁木タクシーがあるくらいかの」

「そういえば、車も鉄道もない時代、サン・マルコ広場は海からの玄関口でもあったという話を聞いたことがあるよ」



サン・マルコ広場





↓ひろしまリバークルーズについては、こちら↓

世界遺産を結ぶ海上アクセス - 広島・宮島観光/アクアネット広島





↓雁木タクシーについては、こちら↓

広島/雁木タクシー NPO法人雁木組





↓ヴェネツィア展についての関連記事は、こちら↓

「カ・レッツォーニコ」様式のシャンデリア~ヴェネツィア展 広島県立美術館(その2)

記念オペラコンサート「Viva Venezia!」~ヴェネツィア展 広島県立美術館(その1)

ヴェネツィア展 10月6日から広島県立美術館




「今日は、ヴェネツィアでは自動車が走っていないということについて話をさせてもらいました」

「ほいじゃあ、またの」
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映画『濡れた荒野を走れ』 シネツイン本通り

2012年10月19日 | まんが・テレビ・映画
「先週の日曜日(2012年10月14日(日))、『濡れた荒野を走れ』という映画を観てきたんじゃ」

「この映画は、シネツイン本通りで上映中の「生きつづけるロマンポルノ 日活創立100周年記念」の1本です」

「いや~。久しぶりに日活ロマンポルノを観させてもろうたわい」

「どんな内容の映画なん?」


大胆! 過激!! 再び世に問われる、伝説のアクションポルノ!!!

ある地方都市。
教会の活動で集められたベトナムの難民救済募金が、覆面グループに強奪された。
グループは犯行が終わるや警察官に早変り。
主犯格の刑事・原田(地井武男)らは事件現場に急行し、捜査をするかのようにして証拠隠滅を計るのだった。
原田は署に戻ると、署長から精神病院に入院しているかつての同僚・中村が、脱走したことを知らされる。
中村の狂気が芝居ではないかと疑う原田たち。
彼らは警察による組織的な犯罪が露見することを恐れ、中村の行方を追って彼の自宅へ向かう。
だが、そこには彼の妻(川村真樹)と幼い子供がいるだけで中村の姿はなかった。
一方、中村は電車の中で出会ったまり子(山科ゆり)と逃避行を始めるのだった…。

脚本を、日本映画史上に残る大傑作『太陽を盗んだ男』を監督した長谷川和彦が手がけ、日活ニュー・アクションをリードした澤田幸弘が監督した衝撃の問題作。
迫力のアクションをみせる主人公に地井武男。
山科ゆりが色白の可憐な体をさらし、思春期の少女を好演している。

(「濡れた荒野を走れ」楽天ブックス)



「刑事や警官が強盗をするって、確かに「衝撃の問題作」じゃね」

「個人レベルじゃのうて、警察署ぐるみでの組織的な犯罪なんじゃ。そのせいか、ビデオは発売中止になってしもうたそうじゃ。DVDは発売されとるがの」

「刑事の原田たちは、ベトナムの難民救済の募金を盗んだんじゃね」

「その金額、約200万円」

「すごい」

「この映画は1973年(昭和48年)に上映されたんじゃ。この年の1月には、ベトナム和平協定が結ばれたんよ。とはいうても、ベトナム戦争が終結するのは、2年後の1975年(昭和50年)4月のことじゃがの。そういう時代の話じゃ」

「犯行が終わると、警察官に戻って強盗現場に行き、自分たちの手で証拠を隠滅する。おぉ、完全犯罪じゃん」

「警察署に帰ってみると、精神病院に入院していた原田の元上司・中村が、火事に便乗して逃げだしたことを聞かされるんよ。所長以下、警察署の署員たちが気にしていとるのは、中村が本当に記憶喪失なのかどうか、ということなんよの」

「この、腐りきった警察署から逃げるために記憶喪失のふりをしている、と考えとるんじゃね」

「原田は、中村を追跡し、もし彼が正気なら正当防衛に見せかけて殺せ、という命令を受けるんじゃ。中村の口から真実が語られると、自分たちの身が危ないけぇの」

「うーん、すごい設定じゃ」

「電車で逃げる中村を、原田たちは自動車で追うんじゃ。途中、遮断機が下りている踏切を突っ切るんじゃの」

「ひょっとして遮断機のポールを折るん?」

「あれは「遮断桿(しゃだんかん)」と呼ぶそうじゃが、多分、国鉄に無断で撮影しとってんじゃろうの」

「そうか。あのころはJRじゃのうて国鉄じゃったよね」

「中村は、電車内で女子高生を人質にし、車を奪って逃走。この事件の結末やいかに…? という話なんじゃ」





「それにしても、刑事・原田役で地井武男(ちい たけお)がポルノ映画に出よっちゃったとは知らんかったね」

「わしも知らんかった。考えてみりゃ、地井武男はテレビで見たことはあるが、映画で観るのは初めてじゃったのう」

「うちも、『北の国から』や『ちい散歩』で見たことはあるけど、映画は観た記憶がないねぇ」

「この映画では、サングラスにスリーピース(三つ揃い)スーツと、まるで石原裕次郎(いしはら ゆうじろう)演じる『太陽にほえろ!』のボスばりの格好で出てきとってんじゃ」

「へぇ。そりゃ見てみたいねぇ…」

「この映像の、2分36秒あたりから見てもらおうかの…」


「電撃!!ストラダ5 「地獄部隊をやっつけろ!」1 」YouTube


「おぉっ! なんかハードボイルドっぽいね。それにしても、うちが知っとる地井武男のイメージとは大違いじゃ」

「確かにのう。地井武男は、オリオン・殿村幻次郎(ストラダ2)役で出演されとってんじゃ」

「この『電撃!!ストラダ5』って、子ども向けの特撮番組?」

「『ストラダ5』は、1974年(昭和49年)に日活が製作した、「特撮ヒーロー風アクションドラマ」(ウィキペディアより)なんよ。日活がこのテの番組を手がけたのは後にも先にもこの作品だけなんじゃの」

「監督も日活の監督さん?」

「『ストラダ5』を担当された監督のほとんどが、日活ロマンポルノの監督もされとったんよ。ちなみに、第1話「地獄部隊をやっつけろ!」の監督をされたのが、映画『濡れた荒野を走れ』の監督も担当された澤田幸弘(さわだ ゆきひろ)」

「ということは、日活の女優さんも出演されとってん?」

「ストラダ5の一員、アンドロメダ・星カオリ(ストラダ5)を演じた山科ゆり(やましな ゆり)も、映画『濡れた荒野を走れ』を始めとする日活ロマンポルノに出演されとってんじゃ」


初期の日活ロマンポルノの主力の一人として主役から助演まで幅広く活躍。
純情派として高校生役などを得意とした。
同時期にロマンポルノに出演していた風間杜夫との共演が多く、風間のロマンポルノ出演14作品中8作品で共演している。

(「山科ゆり」ウィキペディア)



「えー! 風間杜夫(かざま もりお)も、日活ロマンポルノに出演されとったん?」

「「風間杜夫」の芸名で映画デビューしたのは、1972年(昭和47年)の日活ロマンポルノじゃったそうな」

「うーん。今日は知らんでもえかった話が出てくるねぇ」

「『ストラダ5』といえば、日活のスター・宍戸錠(ししど じょう)も司令官・ジュピター役で出演されとってんじゃ」

「エースのジョー!」

「『スターウルフ』(円谷プロ 1978年)では、キャプテン・ジョウ役で出演されとってんじゃの」

「『ストラダ5』には、ほかにどんな方が出演されとってん?」

「この番組が終わった4カ月後に始まる『仮面ライダーアマゾン』(毎日放送・NET 1974年)で主演する岡崎徹(おかざき とおる)が、ペガサス・堀田貫介(ストラダ1)役。
『これが青春だ』(東宝・日本テレビ 1966年~67年)などに生徒役で出演する剛達人(ごう たつひと)が、アポロ・竹中一念(ストラダ3)役。
そして、『ワイルド7』(国際放映、日本テレビ 1972年~73年)で主役の飛葉大陸(ひば だいろく)を演じた小野進也(おの しんや)が、ルナ・宝木正(ストラダ4)役で出演されとるんじゃ」

「主題歌を歌うとる、チャーリー・チェイって、誰? 外国の人?」

「チャーリー・チェイより、チャーリー・コーセイという芸名の方が有名じゃろうの」

「おぉ、『ルパン三世 TV第1シリーズ』(1971年~72年)で主題歌を歌われとった方じゃん!」

「アメリカと中国のハーフで、神戸生まれの神戸育ちじゃそうな」


足元にからみつく
赤い波を蹴って マシンが叫ぶ

(「ルパン三世その2」作詞:東京ムービー企画部)






↓宍戸錠については、こちら↓

Joe Shishido Official WEB ◆ DIRTY JOKER ◆ 宍戸錠オフィシャルサイト





↓剛達人については、こちら↓

剛遊会 剛たつひと公式ホームページ





↓チャーリー・コーセイについては、こちら↓

CHARLIE KOSEI チャーリー コーセイ





↓生きつづけるロマンポルノについては、こちら↓

「生きつづけるロマンポルノ」公式HP トップページ





↓シネツイン本通りについては、こちら↓

広島の映画館サロンシネマ、シネツイン、八丁座の広島地場劇場運営会社【序破急】





↓「生きつづけるロマンポルノ 日活創立100周年記念」についての関連記事は、こちら↓

生きつづけるロマンポルノ 日活創立100周年記念 シネツイン本通り





「今日は、シネツイン本通りの「生きつづけるロマンポルノ 日活創立100周年記念」で上映されている映画『濡れた荒野を走れ』について話をさせてもらいました」

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宮島言葉のいろいろ その36 「かまう」

2012年10月18日 | 広島弁
「宮島の町屋通りに飾ってある「宮島言葉のいろいろ」を紹介するこのシリーズ」

「第36回目の今日は「かまう」じゃ」




かまう…相手にする・からかう
(撮影日:2012年1月4日)



「「かまう」とは、「相手にする・からかう」という意味じゃね」

「「かまう(かもう)」の否定形は「かまうな(かもうな)」じゃの」

「これは、「ほっとけ(=相手にするな)」という意味じゃね」

「「かもうちゃるなや」という言い方もあるよのう」

「「かまって」といえば、そのむかし、『ひらけ!ポンキッキ』で「かまっておんど」という歌があったよ」

「おぉ、大竹しのぶが歌いよった歌じゃの」


あぁー かまって かまって かまって かまって
パパ ママ かまって ボクにかまって
みんなでかまって まいにちかまって
かまって かまって かまってくれなきゃ やーぁだ

(「かまっておんど」作詞:つかこうへい)



「似た言葉で「いらう(いろう)(=触る)」という言葉もあるよの」

「小さい子どもがいろんなものに触ったりするときには、
「それ、いらわんの(=それは、触っちゃだめよ)」
「いろうちゃいけんいうたじゃろ(=触っちゃだめって言ったでしょ)」
なんて言うよね」





【今日の宮島言葉】

かまう

意味/相手にする・からかう

例文/「こまー子をかまうな(=小さい子をからかうな)」

参考文献:
廿日市市商工会議所『宮島本 改訂版 宮島検定テキスト』2008年






↓宮島言葉のいろいろについての関連記事は、こちら↓

宮島言葉のいろいろ その35 「きんさい」

宮島言葉のいろいろ その34 「くじゅーくる」

宮島言葉のいろいろ その33 「けェー/けん」






「今日は、「宮島言葉のいろいろ」で「かまう(相手にする・からかう)」について話をさせてもらいました」

「ほいじゃあ、またの」
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万歩計~映画『天地明察』の小道具を展示 八丁座(その2)

2012年10月17日 | まんが・テレビ・映画
「今、八丁座で映画『天地明察』を上映中なんじゃが、映画で使われた小道具を展示されとってんじゃ」


只今上映中の「天地明察」で実際に使われた小道具と、本物のデザイン画を八丁座ロビーにて展示中!
すべて部谷京子さん作によるものです!!

部谷京子さんよりコメント
「観終わったあとに、“あのシーンのあれね!”と身近に感じて頂ける展示です。岡田准一さんが使った小物も…、ぬくもりが感じられるかも(笑)。ロビーでの展示なので小道具だけでも見にいらしてください!」

(「「天地明察」映画の撮影で使われた小道具を八丁座にて展示中!」広島の映画館サロンシネマ、シネツイン、八丁座の広島地場劇場運営会社【序破急】)





「なるほど。映画を観終わったあとじゃったら、「これは、あのシーンに出てきた○○じゃね」と実感できるじゃろうね」





「2回目の今日は、「万歩計」を紹介してみようかの」



劇中使用小道具
万歩計

本作のオリジナルで作成された小道具。
劇中では北極出地の際に使用し、歩数を記録していた。



「この万歩計って、どうやって使うんじゃろ?」

「映画の中では、こうやって使います、というような説明はなかったのう。わしが思うに、たとえば10歩歩くごとに、右手の親指で数字を回すと歩数が記録される、というように使うてんじゃないんかの」

「万歩計っていうのは、歩いた歩数を測るもんじゃろ?」

「ほうじゃのう」

「歩数を測って、何に使うん?」

「歩く人が、自分の一歩あたりの距離をあらかじめ測って知っておくんよ。そうすりゃ、一定時間に何歩歩いたかを記録しときゃ、
一歩あたりの距離×歩数=距離
を測ることができるんじゃ」

「いや、そうじゃのうて…。その測った距離を何のために使うんか、を知りたいんよ」

「地球の大きさを測るためじゃ」

「地球の大きさ?」


北極星の高さを測りながら真北へ歩くときに、北極星の高さが一度高くなる地点までの距離、すなわち緯度一度の間に、直線距離にして地表ではどのぐらい歩くかというのが、当時の大問題だったのです。

(井上ひさし『四千万歩の男 忠敬の生き方』講談社文庫 2012年)



「なるほど。地上(地表)で1度の距離が分かれば、それを360倍したら地球の大きさがわかるんじゃね。でも、地球が丸いってことを当時の方は知っとられたん?」

「江戸時代の日本では、もちろん一部の人だけじゃが、外国からの知識で「地球は丸い」という認識はあったそうじゃ」

「へぇ…」

「暦を作るためには、太陽や月、星の観測が必要になるんじゃ。その観測のためには、自分が居(お)る地球の大きさを正確に知っておくことが必要なんじゃの」

「伊能忠敬(いのう ただたか)も、日本全国を歩いて日本地図を完成させたよね」

「彼の場合は、2歩で1間(約1.8メートル)の歩幅で歩いて、緯度1度を28里2分(約110.75キロメートル)という数字を出されたんじゃ」

「歩けるところはそれでええけど、歩いて行けんようなところがあるよね。そんなところはどうやって測っちゃったんじゃろうか?」

「間縄(けんなわ)という道具で測ったそうじゃ」



間縄

距離を測るための縄。
長さは60間で1間ごとに印がつけられた。

(同上)



「麻や藤つる、竹縄などいろいろな種類が使われたんじゃが、クジラのヒゲが一番よいとされたそうじゃ」

「へぇ。クジラのヒゲか」

「天候の影響を受けない、伸縮をしない素材ということで、鉄の鎖も使われたそうじゃ」

「なるほど。いろいろと工夫されとってんじゃね」





↓映画『天地明察』については、こちら↓

映画『天地明察』オフィシャルサイト





↓八丁座については、こちら↓

広島の映画館サロンシネマ、シネツイン、八丁座の広島地場劇場運営会社【序破急】





↓八丁座に展示されている映画『天地明察』の小道具についての関連記事は、こちら↓

坤輿萬国全図~映画『天地明察』の小道具を展示 八丁座(その1)





↓伊能忠敬についての関連記事は、こちら↓

完全復元伊能図全国巡回フロア展in呉






「今日は、八丁座に展示してある映画『天地明察』の小道具 万歩計について話をさせてもらいました」

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