昨日(3月5日)の深夜、
トイレに行った後
布団の中でウトウトしていると、
耳元に置いている携帯ラジオから
ある歌が流れてきた。
♪アースがうんだ 正義はマグマ
地球の平和を まもるため
(「マグマ大使」
作詞:長谷川 竜生、歌:コール東京)
1966年から1967年にかけて
フジテレビで放送された
特撮テレビ番組『マグマ大使』
(制作:ピー・プロダクション)
の主題歌である。
思わず口ずさんでしまった!
↓「マグマ大使」については、こちら↓
「マグマ大使 Opening」YouTube
この日のNHKラジオ『ラジオ深夜便』
午前3時台は、作曲家の
山本直純(やまもと なおずみ)さん
の特集だった。
今日は、
「大きいことはいいことだ!」のCMで
一世を風靡(いっせいをふうび)した
作曲家・山本直純さん
についてでがんす。
山本さんは、
1932年(昭和7年)東京生まれ。
東京芸術大学の作曲科に入学、
のち指揮科へ転じる。
そのむかし、TBSのテレビ番組
『オーケストラがやって来た』で
指揮をされていたのは、
そういう理由だったんですね。
山本さんが生涯に手がけた曲は、
4000曲以上といわれている。
たとえば…、
『男はつらいよ』、
『8時だョ! 全員集合』、
『ミュージック・フェア』など
映画・テレビのテーマ音楽。
「一年生になったら」、
「歌えバンバン」、
「こぶたぬきつねこ」(作詞も担当)
などの子ども向けの歌。
そして、
♪大きいことはいいことだ
の森永エールチョコレート、
♪戸締り用心 火の用心
の日本船舶振興会などの
コマーシャル(CM)ソング。
森永エールチョコレートの発売が
1967年(昭和42年)というから、
わしが4歳の時。
テレビで観て、このCMが
すり込まれたのだろう。
今でもちゃんと歌えます。
↓森永エールチョコレートのCMについては、こちら↓
「【懐かCM・1967~68年】森永エールチョコレート「大きいことはいいことだ」」YouTube
また、このころの山本さんが
次のようなイメージであったことが
わかる。
当時、型破りでひょうきんな指揮者として人気を博しつつあった山本直純を起用した「大きいことはいいことだ」のテレビCMだった。
(「エールチョコレート」森永ミュージアム)
日本船舶振興会といえば、
1975年から1982年にかけて
テレビ朝日で放送されたテレビアニメ
『一休さん』(制作:東映)の
スポンサーだったので、
このCMは毎週のように見ていた。
先頭に立って纏(まとい)を
振っているのが山本さんです。
↓日本船舶振興会のCMについては、こちら↓
「戸締り用心 火の用心 完全版(月曜~日曜)」YouTube
以下、わしにとっての
山本直純ベスト3を紹介していこう。
ベスト3は、
風と雲と虹と、
恐怖の町、そして
明日の心だ。
■風と雲と虹と
『風と雲と虹と』は、
1976年に放送されたNHK大河ドラマ。
現在放送中の『鎌倉殿の13人』も、
大河ドラマの中では古い時代の
平安末から鎌倉前期が舞台だが、
この作品はそれよりも前の
平安中期を舞台にしている。
平 将門(たいらのまさかど)は、
京の都から遠く離れた坂東(ばんどう。
関東)の地で独立を宣言、
自らを新皇(しんのう)を名乗る。
将門はしかし、
朝廷に反旗を翻(ひるがえ)したことで
逆賊として討伐される
…という物語だった。
今から思えば、
『風と雲と虹と』から始まって、
『花神(かしん)』、
『黄金の日日』と、
わしの中学3年間は、
NHK大河ドラマとともに過ごした
3年間でもあった。
この作品のオープニングは、
演奏のバックに流れる
重々しいコーラスが
とにかくかっこいい。
↓「風と雲と虹と」オープニングについては、こちら↓
「風と雲と虹とop」YouTube
お聞きのとおり、
オープニングは演奏のみだが、
本作の脚本を担当した
福田善之(ふくだ よしゆき)さんが
作詞を手掛けた歌もある。
主役の平 将門を演じた
加藤 剛(かとう ごう)さんと、
演歌界の大御所
村田英雄(むらた ひでお)さんが、
それぞれ歌われています。
↓「風と雲と虹と」加藤 剛版については、こちら↓
「加藤剛歌「風と雲と虹と」」YouTube
↓「風と雲と虹と」村田英雄版については、こちら↓
「風と雲と虹と 村田英雄」YouTube
(村田英雄「風と雲と虹と」東芝EMI)
余談じゃが…。
村田英雄版のB面に入っているのが、
「ひとり笛」という曲。
これは、平 将門を陰から支えた
スパイや忍者のような存在の
(とにかく、足が速い!)
鹿島玄明のテーマ曲。
この鹿島玄明を演じたのが、
新人でまだ若かりし頃の
草刈正雄(くさかり まさお)さん
でした。
↓「ひとり笛」については、こちら↓
「ひとり笛 村田英雄」YouTube
■恐怖の町
「恐怖の町」は、
1968年から1969年にかけて
TBSで放送された特撮テレビ番組
『怪奇大作戦』
(制作:円谷プロダクション)
の主題歌。
(桑田次郎『怪奇大作戦』朝日ソノラマ 1999年)
主題歌といっても、
エンディングで使われている。
子ども向け番組で
主題歌がエンディングに流れるのは
珍しかった。
オープニングに流れるのは、
本作で劇伴を担当した
玉木宏樹(たまき ひろき)さん
が手掛けた20秒ほどの
「メインタイトル」。
↓「メインタイトル」と「恐怖の町」については、こちら↓
「サニー・トーンズ「恐怖の町」」YouTube
(「SF特撮TV音楽全集3 怪奇大作戦・ウルトラセブン」キングレコード 1986年)
この時点(1986年)では、
『怪奇大作戦』単独でLPを出せるほど
音源が発見されなかったため、
『ウルトラセブン』との
カップリングになっている。
■明日の心だ
「明日の心だ」は、
『小沢昭一の小沢昭一的こころ』の
テーマ音楽。
『小沢昭一の小沢昭一的こころ』は、
1973年から2012年まで
月曜から金曜までの平日の10分間、
TBSラジオで放送された番組。
放送回数が10,410回を誇る
ご長寿番組でもある。
わしが敬愛する
小沢昭一(おざわ しょういち)さんが
毎週ひとつテーマについて
その軽妙な話術で語る、
というものだった。
わしが子供のころ、夕方になると
おふくろが聞いていたラジオから
流れてきた番組である。
20秒ほどのテーマ音楽に、
番組のナレーションを務めた
藤田恒美(ふじた つねみ)さんの声で、
今日は「(その週のテーマ)」について考える。
口演(こうえん)・小沢昭一。
筋書き・(作家の名前)。
お囃子(おはやし)・山本直純。
の紹介が入る。
余談じゃが…。
この音源、実は
NHKになかったので、
中古で手に入れて
放送されたそうです。
逆にいうと、
中古で手に入れてまでも
放送したかった曲ともとれた。
↓「小沢昭一の小沢昭一的こころ」については、こちら↓
「小沢昭一 オープニング」YouTube
以下、余談。
先に、
山本さんが生涯で手がけた曲は、
4000曲以上といわれている
…と書いた。
山本さんの弟子で、
『怪奇大作戦』の劇伴を手がけた
玉木宏樹さんは、
次のように語っている。
当時は、師匠の名前で弟子が曲を書くことが多かったんです。
(略)
『男はつらいよ』のイントロとアレンジは僕やってますから。山本直純音楽監督ですから、いわゆる直純節の曲を意識して書きましたけど。
(荻野友大・白石雅彦・なかの陽『怪奇大作戦大全』双葉社 2001年 206ページ)
山本さんが書いたメロディに、
玉木さんがイントロとアレンジを加えて
今のような形になったというのだ。
もちろん、山本さんの
凄さについても触れている。
1日に4本テレビの音楽録ったことがありますよ。その日の最後が40人編成(オーケストラ)で、何にも曲書いてない。そうしたら「大丈夫だ、俺に任せろ」ってダーッと書いちゃう。その頃はそれくらい実力があって仕事の鬼でした。
(同上)
今日は、
作曲家・山本直純さん
について話をさせてもろうたでがんす。
ほいじゃあ、またの。