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算額絵馬~映画『天地明察』の小道具を展示 八丁座(その3)

2012年10月31日 | まんが・テレビ・映画
「映画の上映は終わったんじゃが、八丁座で映画『天地明察』の小道具を展示されとったんじゃ。今日は展示されていたもののひとつ、算額絵馬(さんがくえま)を紹介してみようかの」





「絵馬の真ん中下側に、「六寸 関」「七寸 関」と書いてあるじゃろ?」

「これが問題の答えになっとるんじゃね。ところで、ここに書いてある「関」というのは誰? かん? せき?」

「関孝和(せき たかかず)という方じゃ。名前は聞いたことあるじゃろ?」

「江戸時代の数学者で、和算(わさん)を作った方じゃね」

「正解じゃ。『天地明察』の中では、ほとんどあらゆる問題を「一瞥即解(いちべつそっかい)」、問題を一瞥、チラッと見ただけで答えがすぐに分かる、という人物になっとるんじゃの」


だが、娘の答えは、春海の想像を遥(はる)かに超えた。
「先ほどいらして、どれも一瞥(いちべつ)して答えを書いてらしたのを見ておりました」
「どれも…?」

(冲方丁『天地明察 上』角川文庫 2012年)



「数学が不得意な人から見ると、うらやましい限りじゃね」

「これは算額絵馬いうて、江戸時代、算術の問題を絵馬に書いて神社や仏閣に奉納したものなんじゃ」

「確かに、絵馬に数学の問題が書いてあるね。でも、なんで絵馬に書いてあるん?」

「もともとは、「おかげさまで、自分はこんな問題を解くことができました。ありがとうございました」と感謝を込めて奉納したのが始まりらしいんじゃ。それが、問題だけを書いた絵馬が奉納されるようになったらしいんよの」

「問題だけを書くということは、この絵馬を見た人に「この問題を解いてください」ということじゃね」

「人が集まる神社や仏閣に絵馬を奉納するということは、その絵馬がたくさんの人の目に触れる機会がある、というわけじゃの。ほいじゃけぇ、寺小屋の宣伝なんかにも使われたそうじゃ」

「本とかにして出版するわけじゃないけぇ、お金もかからんし、安上がりじゃね」


このような算額奉納の習慣は世界中をみても他に類例がなく、日本独特の文化といわれる。
その一部は重要文化財や民俗文化財に指定されている。
明治時代になると、日本には西洋式数学が導入されることとなったが、算額奉納の風習は、この導入を容易にしたとも評価されている。

(「算額」ウィキペディア)






「問いと答えというと、アニメの一休さんで、問答をするときに「そもさ!」「せっぱ!」と言いよったのを思い出すね」

「おぉ、そういうのがあったのう」


そも‐さん

[副]《中国宋代の俗語から。もと、禅問答のとき、相手の返事を促すのに用いた語》さあどうだ。いかに。

(「そも‐さん」Yahoo!辞書)



せっぱ【説破】

スル
議論をして相手を言い負かすこと。

(「せっぱ」Yahoo!辞書)







「この間の中国新聞に出とったんじゃけど、復元された算額絵馬が宮島に飾られたそうじゃね」


廿日市市宮島町の厳島神社に奉納された江戸時代の数学の絵馬「算額」の復元作品が、末社の千畳閣に掲げられた。
実物は約30年間、一般公開されておらず、受験シーズンを迎える受験生にも見られるようにと、広島県外の研究家が復元して今月、同神社に奉納した。
映画「天地明察」で和算が取り上げられる中、新たな観光スポットとして関心を集めそうだ。

和算の研究家たちでつくる日本数学史学会(事務局・東京)の運営委員長で、「天地明察」の和算監修を務めた小寺裕さん(64)=奈良市=が12日、同神社を訪れて復元算額を奉納した。

実物の算額は縦75センチ、横180センチの木製。
広島藩の算学者桧山義况(ぎけい)の弟子たちが作成し、文政10(1827)年に奉納した。
算額には図形問題7題と師の略伝が記されている。
千畳閣に掲げてあったが、強風や温度変化による劣化を防ぐため昭和50年代に格納庫に収蔵された。

復元算額は、大阪の和算研究家が1965年に作成した模写図のコピーを、2010年に小寺さんが入手。
学会メンバーなど約60人からの募金を元に、木の板に転写して今春に作成した。

算額は数学の問題が解けたことを神仏に感謝し、さらなる勉学に励むことを祈願して神社・仏閣に奉納された。
学会などによると、全国に約900面が現存するとされ、県内には同神社などに4面が残る。

「厳島神社の和算は高度な問題」と小寺さん。
「合格祈願で島を訪れる受験生たちにも、先人の学問に対する真摯(しんし)な気持ちを感じてほしい」と話している。

(「「算額」復元 宮島で公開」中国新聞 2012年10月28日)



「この算額を奉納されたのは、『天地明察』の和算監修を務められた小寺裕氏なんじゃ」

「映画『天地明察』が取り持つ縁なんじゃね」

「この絵馬は、昭和50年代まで千畳閣(せんじょうかく)に掲げてあったものなんじゃのう」

「それにしても、縦75センチ、横180センチというのは大きいね」

「ここには、図形問題7題と、師匠である桧山義况(ぎけい)の略伝が記されとるんじゃの」

「ウィキペディアによると、日本全国で975面の算額が現存しとるんじゃと」

「このころは盛んじゃったんじゃのう」





↓映画『天地明察』については、こちら↓

映画『天地明察』オフィシャルサイト





↓八丁座については、こちら↓

広島の映画館サロンシネマ、シネツイン、八丁座の広島地場劇場運営会社【序破急】





↓八丁座に展示されている映画『天地明察』の小道具についての関連記事は、こちら↓

万歩計~映画『天地明察』の小道具を展示 八丁座(その2)

坤輿萬国全図~映画『天地明察』の小道具を展示 八丁座(その1)






「今日は、八丁座に展示してあった映画『天地明察』の小道具 算額絵馬について話をさせてもらいました」

「ほいじゃあ、またの」
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