西日本豪雨(その14)
救助者から見たあの日
東広島市志和町志和堀 関川沿い
日本漢字能力検定協会による、今年、2018年の世相を表す今年の漢字は「災」。
西日本豪雨や大阪府北部地震、北海道胆振(いぶり)東部地震を始め、自然災害が相次いだためだ。
わしにとっての「災」は、なんというても、今年の夏に発生した西日本豪雨じゃの。
↓日本漢字能力検定協会については、こちら↓
公益財団法人 日本漢字能力検定協会
西日本豪雨を受けて、中國新聞では「いのちを守る~検証 西日本豪雨」という特集が組まれている。
11月27日からは、「救助者から見たあの日」ということで、消防や警察・自衛隊などの救助者から見た現場の様子が、7回にわたって描かれた。
第1回目(11月27日掲載)は、「「自分にしか」直後に濁流」。
下手を打つと自分が二次災害に巻き込まれるという状況の中、助けに行くべきか、撤退するべきかの決断を迫られた話である。
この記事の現場は、2018年7月6日、東広島市と広島市安佐北区白市を結ぶ県道46号線(東広島白木線)に沿って流れ、三篠川(みささがわ)に流れ込む関川そばの志和町志和堀(しわぼり)。
その関川が豪雨のためはん濫、人が車ごと流されたとの無線を受けた巡査部長が、ひとりで現場へ向かう。
現場には、ボンネットちかくまで水に漬かった軽自動車があって、そばに男性がいた。
今なら助けに行けると考えた巡査部長は、歩いて男性のもとへむかう。
その直後、ごう音とともに、背後にある関川から流れ込んできた濁流に流される。
巡査部長は山側にある木を伝いながら濁流から脱出し、生還することができた。
が、あの日から5ヵ月ちかく立った今も、「この現場に立つのはまだ怖い」という。
「撤退する勇気も必要だったかもしれない。
ただ、助けを求める人を前に去ることはできなかった」
なぜ今回、この記事を取りあげたか?
それは、この出来事があった翌日の7月7日、わしはこの災害現場を通ったからじゃ。
わしゃ毎日、広島市内から東広島市内まで、JR山陽本線で通勤しとる。
7月6日、大雨のためJR山陽本線は15時30分で運転を取りやめた。
19時過ぎ、広島市に住む会社の人の車に便乗させてもらって帰ることにした。
が、時すでに遅し。
瀬野川(せのがわ)がはん濫したため、国道2号線は広島市安芸区あたりで数カ所にわたって陥没(かんぼつ)。
大渋滞となっていたため進むことができず、やむなく会社へ引き返して一泊。
翌7日、志和経由で広島市を目指したものの、行く道、行く道がことごとく通行止め。
志和堀から北へ向かって志和口を目指す途中、通行止めを無視して県道46号線を進むと…、
道を進んでいくと、道の真ん中で車が止まっとった。
雨も止んだことじゃし、何かの作業中で車を止めとってんかと思うたら、これが大間違い。
道の左側を流れる川が決壊して、この車は前から流れてきた川の水に立ち往生して、そのまま乗り捨てられたらしいことが分かった。
車のタイヤには、大量の泥と水草が絡まっていた。
山側には、川の流れに押し流されたと思われる車が2台。
川側には、停まった車と、その車に突っ込んだ車が2台。
合計5台の車が、20メートルくらいの範囲に取り残されとった。
嗚呼、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…。
そこを無事、通り過ぎたと思うたら、その先に道がない!
車の外に出てみると、川の濁流に流されて道がえぐり取られ、文字どおり道がなくなっとった!
無言で、引き返す。
「広島市への帰還!」
山側に押し流された車が、今回の被害にあった男性が乗っていた軽自動車。
あの日からずっと気にはしとったが、この災害に巻き込まれた人が無事、生きとることがわかって、安心した。
その県道46号線は、8月1日に仮復旧をしたそうじゃ。
幅9メートルの片側1車線の道路が、長さ95メートル、高さ6メートルにわたって崩落。
13日から工事を始め、大型土のう約500個を積み、アスファルトを敷設した。
「東広島白木線が仮復旧」(中國新聞 2018年8月3日)
…以下、余談。
西日本豪雨がおこった7月6日の夜、八本松から瀬野あたりにかけて、道路に乗り捨てられた自動車を3~4台見かけた。
土砂崩れに巻き込まれ、進むに進めなくなって乗り捨てられた車である。
あの車に乗っていた人たちは無事、家までたどり着くことができたんじゃろか?
あの日からもうじき半年になるが、今でもときどき思い出すんじゃの。
今日は、西日本豪雨での、志和町志和堀あたりで関川がはん濫した現場について話をさせてもらいました。
というわけで、今年(2018年)も、これでしまい(=終わり)じゃ。
今年1年、このブログを読んでいただき、ありがとうございました。
今年は「災」の年じゃったが、来年は少しでもええ(=良い)年になるようにしていきましょう。
来年もまた、よろしゅうお願いいたします。
ほいじゃあ、またの。
救助者から見たあの日
東広島市志和町志和堀 関川沿い
日本漢字能力検定協会による、今年、2018年の世相を表す今年の漢字は「災」。
西日本豪雨や大阪府北部地震、北海道胆振(いぶり)東部地震を始め、自然災害が相次いだためだ。
わしにとっての「災」は、なんというても、今年の夏に発生した西日本豪雨じゃの。
↓日本漢字能力検定協会については、こちら↓
公益財団法人 日本漢字能力検定協会
西日本豪雨を受けて、中國新聞では「いのちを守る~検証 西日本豪雨」という特集が組まれている。
11月27日からは、「救助者から見たあの日」ということで、消防や警察・自衛隊などの救助者から見た現場の様子が、7回にわたって描かれた。
第1回目(11月27日掲載)は、「「自分にしか」直後に濁流」。
下手を打つと自分が二次災害に巻き込まれるという状況の中、助けに行くべきか、撤退するべきかの決断を迫られた話である。
この記事の現場は、2018年7月6日、東広島市と広島市安佐北区白市を結ぶ県道46号線(東広島白木線)に沿って流れ、三篠川(みささがわ)に流れ込む関川そばの志和町志和堀(しわぼり)。
その関川が豪雨のためはん濫、人が車ごと流されたとの無線を受けた巡査部長が、ひとりで現場へ向かう。
現場には、ボンネットちかくまで水に漬かった軽自動車があって、そばに男性がいた。
今なら助けに行けると考えた巡査部長は、歩いて男性のもとへむかう。
その直後、ごう音とともに、背後にある関川から流れ込んできた濁流に流される。
巡査部長は山側にある木を伝いながら濁流から脱出し、生還することができた。
が、あの日から5ヵ月ちかく立った今も、「この現場に立つのはまだ怖い」という。
「撤退する勇気も必要だったかもしれない。
ただ、助けを求める人を前に去ることはできなかった」
なぜ今回、この記事を取りあげたか?
それは、この出来事があった翌日の7月7日、わしはこの災害現場を通ったからじゃ。
わしゃ毎日、広島市内から東広島市内まで、JR山陽本線で通勤しとる。
7月6日、大雨のためJR山陽本線は15時30分で運転を取りやめた。
19時過ぎ、広島市に住む会社の人の車に便乗させてもらって帰ることにした。
が、時すでに遅し。
瀬野川(せのがわ)がはん濫したため、国道2号線は広島市安芸区あたりで数カ所にわたって陥没(かんぼつ)。
大渋滞となっていたため進むことができず、やむなく会社へ引き返して一泊。
翌7日、志和経由で広島市を目指したものの、行く道、行く道がことごとく通行止め。
志和堀から北へ向かって志和口を目指す途中、通行止めを無視して県道46号線を進むと…、
道を進んでいくと、道の真ん中で車が止まっとった。
雨も止んだことじゃし、何かの作業中で車を止めとってんかと思うたら、これが大間違い。
道の左側を流れる川が決壊して、この車は前から流れてきた川の水に立ち往生して、そのまま乗り捨てられたらしいことが分かった。
車のタイヤには、大量の泥と水草が絡まっていた。
山側には、川の流れに押し流されたと思われる車が2台。
川側には、停まった車と、その車に突っ込んだ車が2台。
合計5台の車が、20メートルくらいの範囲に取り残されとった。
嗚呼、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…。
そこを無事、通り過ぎたと思うたら、その先に道がない!
車の外に出てみると、川の濁流に流されて道がえぐり取られ、文字どおり道がなくなっとった!
無言で、引き返す。
「広島市への帰還!」
山側に押し流された車が、今回の被害にあった男性が乗っていた軽自動車。
あの日からずっと気にはしとったが、この災害に巻き込まれた人が無事、生きとることがわかって、安心した。
その県道46号線は、8月1日に仮復旧をしたそうじゃ。
幅9メートルの片側1車線の道路が、長さ95メートル、高さ6メートルにわたって崩落。
13日から工事を始め、大型土のう約500個を積み、アスファルトを敷設した。
「東広島白木線が仮復旧」(中國新聞 2018年8月3日)
…以下、余談。
西日本豪雨がおこった7月6日の夜、八本松から瀬野あたりにかけて、道路に乗り捨てられた自動車を3~4台見かけた。
土砂崩れに巻き込まれ、進むに進めなくなって乗り捨てられた車である。
あの車に乗っていた人たちは無事、家までたどり着くことができたんじゃろか?
あの日からもうじき半年になるが、今でもときどき思い出すんじゃの。
今日は、西日本豪雨での、志和町志和堀あたりで関川がはん濫した現場について話をさせてもらいました。
というわけで、今年(2018年)も、これでしまい(=終わり)じゃ。
今年1年、このブログを読んでいただき、ありがとうございました。
今年は「災」の年じゃったが、来年は少しでもええ(=良い)年になるようにしていきましょう。
来年もまた、よろしゅうお願いいたします。
ほいじゃあ、またの。