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坤輿萬国全図~映画『天地明察』の小道具を展示 八丁座(その1)

2012年10月11日 | まんが・テレビ・映画
「今、八丁座で映画『天地明察』を上映中なんじゃが、映画で使われた小道具を展示されとってんじゃ」


只今上映中の「天地明察」で実際に使われた小道具と、本物のデザイン画を八丁座ロビーにて展示中!
すべて部谷京子さん作によるものです!!

部谷京子さんよりコメント
「観終わったあとに、“あのシーンのあれね!”と身近に感じて頂ける展示です。岡田准一さんが使った小物も…、ぬくもりが感じられるかも(笑)。ロビーでの展示なので小道具だけでも見にいらしてください!」

(「「天地明察」映画の撮影で使われた小道具を八丁座にて展示中!」広島の映画館サロンシネマ、シネツイン、八丁座の広島地場劇場運営会社【序破急】)





「なるほど。映画を観終わったあとじゃったら、「これは、あのシーンに出てきた○○じゃね」と実感できるじゃろうね」





「今日は、「坤輿萬国全図」を紹介してみようかの」

「…なんて読むん?」

「「坤輿萬国全図」と書いて、「こんよばんこくぜんず」と読むんじゃ」


イタリアの宣教師マテオ・リッチが作成した漢訳版世界地図であり、地球球体説を基にして六枚一組にして、卵型の図形の中心に中国を描き、他に天文図なども含んだ。
当時の中国人の世界観に大きな影響を与えた。
1602年に北京で刊行され、鎖国時の日本にも輸入され、世界についての知識の典拠となった。

(「坤輿万国全図」ウィキペディア)







「すごいねぇ。今から510年前に、こんな地図が作られとったとは知らんかった…」

「この地図は、主人公の安井算哲(やすい さんてつ。渋川春海(しぶかわ はるみ))が、水戸光圀(みと みつくに)から頂いたものなんじゃ」

「水戸光圀って、水戸黄門(みとこうもん)の水戸光圀?」

「ほうじゃの」


水戸光圀

水戸家二代目藩主。
若い頃は傾奇者(かぶきもの)と言われたように、非常に行動が激烈だったと言われてます。
一方、学問が好きで、儒学の研究をしたり、書物を集めたり、歴史書を編纂したりもしていました。
また、日本で最初にラーメンを食べたのは光圀だったと言われています。

(「政治 天地明察を楽しむためのキーワード」映画『天地明察』オフィシャルサイト)



「日本で最初にラーメンを食べたのが光圀じゃったん?」

「ウィキペディアによると、最初に光圀が食べたとされるものは、ラーメンをはじめ、餃子、チーズ、牛乳酒、黒豆納豆などがあるそうじゃ」

「そりゃ知らんかった。水戸光圀って、越後の縮緬(ちりめん)問屋のご隠居と名乗って、諸国を漫遊されとるイメージしかないもんね」

「光圀自身は諸国漫遊をされとらんのは知っとるがのう」

「かといって、水戸光圀はこんな人生を送られた方です、って知っとるわけでもないよね」

「のちに『大日本史』と呼ばれる歴史書の編纂(へんさん)作業を始められたり、文化的な活動もされとってのは知っとるがの」

「へぇ…」

「それはともかく…。その光圀から「改暦に必要なものがあるか?」と問われた春海が、游子六(ゆうしろく)の『天経或問(てんけいわくもん)』が欲しい、と言うんじゃ」

「『天経或問』…?」


だが『天経或問』は、切支丹の教義書ではないとされているものの、星は宗教と密接につながっている。
どこで切支丹の記述に出くわすかわからない。
禁教令を破ったとみなされれば、即座の投獄が待っており、春海の人生は終わる。

(冲方丁『天地明察』角川文庫 2012年)



「「切支丹」は「キリシタン(=クリスチャン)」、つまり「キリスト教徒」のことよね」

「江戸幕府は、禁教令、つまりキリスト教を禁止する法令を出したのは知っとるじゃろ? 隠れキリシタンを見つけ出して、その教えを棄てさせる強制改宗をさせたりしたんじゃ」

「つまり、その禁を犯してまでも春海はその本を欲しいと思うたんじゃね」

「頼む春海もすごいが、それに応えた光圀もすごいよのう」

「光圀も、改暦にそれだけ力を入れていたということじゃね」

「話を「坤輿萬国全図」に戻すと…。『天経或問』と一緒に光圀から春海に届けられたが、この地図なんよ。ほいで、この地図を見て驚いたのが、今の日本で売られている世界地図と同じなんじゃ」

「…同じ? なにが同じなん?」

「ヨーロッパやアメリカで売られとる世界地図じゃったら、日本は地図の右(=東)の端っこ(=極東)にあるじゃろ? でもこの地図は、日本が真ん中にあるんじゃ」





「ほんまじゃ。なんで?」

「…なんでじゃろ? わしにも分からん。わしの想像では、この地図は中国で作られたけぇ、中国・日本が中心にきたんじゃないんか、というくらいじゃ」

「グリニッジ子午線が決められたのは、いつじゃったっけ?」

「ウィキペディアによると、1884年(明治17年)にアメリカで開催された国際子午線会議で、グリニッジ子午線が国際的な基準子午線となった、とあるんじゃ。グリニッジ天文台自体は、1675年に設立されとるけぇの」






劇中使用小道具
地球儀

劇中、算哲が作成した地球儀。
世界地図を描き、それを球体に貼り付けていき作られた。



「世界地図を描いて、それを球体に貼り付けた…?」

「小学校の時に、地球儀を作ったことがあるじゃろ? あれと同じことじゃ」

「あぁ、そうか。この時代に地球儀があっても、不思議でもなんでもないんじゃけど、こうやって世界地図や地球儀を見ると、人間ってすごい! と思えてくるね」

「江戸時代の人でも、こうやって世界地図を見たり、地球儀を見たりして、世界を想像される方がおられたんじゃのう」





↓『天経或問』については、こちら↓

「天経或問 日本の天文学の歩み 展示資料」東京大学附属図書館





↓映画『天地明察』については、こちら↓

映画『天地明察』オフィシャルサイト 2012年9月15日公開!





↓八丁座については、こちら↓

広島の映画館サロンシネマ、シネツイン、八丁座の広島地場劇場運営会社【序破急】





「今日は、八丁座に展示してある映画『天地明察』の小道具 坤輿萬国全図について話をさせてもらいました」

「ほいじゃあ、またの」

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